校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

7月14日中高等科 夏休み前の集会 普通の生活から学ぶこと

2023.07.15

 中高等科は7月14日に合唱コンクールを行い、4月からの生活を締めくくりました。17日からは学年により校外での活動を行います。合唱コンクールは4年ぶりに行われ、各クラスのこれまでの努力に成果を発表し合い、お互いの歌声に聞き入る時を過ごしました。上の画像は夏休みの各種の作品募集のお知らせ掲示です。

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 合唱コンクールが4年ぶりに行われ、皆さんの歌声を聞くことができ、とてもうれしく感じます。これまでの3年間も、毎年音楽の日として、その時にできることを精一杯工夫して音楽を楽しんできました。今回はこの当日まで皆さんが一生懸命練習しているのをずっと耳にして、今日の姿に接し、とても感慨深いものがありました。 

 今日まで4月から毎日学校生活を続け、普通の日常を取り戻してきました。授業や部活動、委員会や係の活動、行事など、色々な活動をしてきました。保護者の方に授業参観に来ていただくこともできました。これらを通して、普通の日常生活がリアルにできたという、当たり前の大切さを改めて実感しています。皆さんはどのように感じているでしょうか?

 「普通」ということは、安定をもたらします。予測がつきます。一方で、「普通」ということは、繰り返しのつまらなさも生じさせます。そして、「普通」ということには、あいまいな広がりも生じます。面倒なことや、自分の思い通りにならないことも生じてきます。特に、人との関わりが増える、ということも普通の生活の特徴で、ちょっとした関わりがあることはとても自然なことですが、関わることをトラブルに感じたり、逃げたいように感じたりすることもあるかもしれません。

 しかし、そのような普通の生活の中で学ぶことは大きいものです。自分の弱さや未熟さに気づくこともあれば、まわりの人のやさしさに気づくこともあります。人との関わりを築くことの難しさと大切さにも気づきます。このようなことに直面してきた、この春からの学校生活だったのではないでしょうか。とても貴重な日々でした。

 リアルな人間関係の中で、色々なできごとに出会い、直面すること、これはとても人間らしい、普通なことであり、皆さんの人柄を育てる、人として大事なことです。

 合唱コンクールの練習の日々にもきっと色々なできごとがあったでしょう。クラスのメンバーの心が一つになるということはたやすいことではなかったはずです。人との繋がりを作ることには痛みや辛さもあります。それらをどのように生きるかというところに、私たち一人ひとりに問われるものがあり、意味が生まれます。振り返ってみて、楽しさの中、難しさの中で、自分はどのようなことを感じてきたか、自分に素直に感じ取ってみてください。

 皆さんには、人との繋がり、関わりを作ることを前向きにとらえてほしいと願っています。

 今年度の学校目標は「私から私たちへ 対話:問いかけ、話し、聞く」ですが、対話は人との関わりを築くものです。対話について、色々な人が注目しています。色々な説明をみつけました。まず、対話と会話は異なります。おしゃべりでもありません。また、対話では、相手の話を一方的に聞くのでも、こちらが一方的に話すのでもなく、自分も相手も考えたことがないことを一緒に考えようとします。新しい言葉を生んでいく、何かを作りだしていく場です。勝ち負けが目的でないし、自分が正しい、相手が間違っているというものではありません。討論とも別物です。自分の考えを相手に納得させるのが目的ではなく、自分も相手が変わることが重要です。相手も私も〇の関わりで、お互いに「あーそうなんだ」をくり返すなかで、共通の「これだ」に近づいて、ほっとするような、一緒に探す、生み出す作業とも言えます。このような対話についての言葉に出会いました。まだまだあるかもしれません。対話には、大きな可能性がありそうです。大事なことは、相手の話をよく聞くことから始まること。そして、ちょっとした問いから深まっていくことです。

 皆さんはこれまでのどのような対話ができたでしょうか。この夏にも対話によって、「私から私たち」を広げていってください。

  明日からの夏休みに、皆さんが豊かな体験をしてくださることを期待しています。

 学びの体験もぜひしてください。宿題も出されているでしょう。課題をこなすだけにならないように心がけてください。皆さんが学ぶのはなぜですか?学校の授業でやらなければならないからですか。テストがあるからですか。受験があるからですか。そういうこともあるでしょう。でも、皆さんが自分の深い所で、「学ぶことはおもしろい」ということを感じていてくださるように願います。何かを学ぶときに「役に立つ、役に立たない」ということは関係ありません。学ぶのはやっぱりおもしろいからです。そして、学ぶことは自分のものの見方を作ることです。新しい世界が広がります。自分で学び、自分一人で考える、自分の世界を作ることです。この夏休みに、毎日の学校の時間割から離れて、自分で学ぶことをぜひ深めてください。

  そして、聖心の学びについて、皆さんにもう一つ考えてもらいたいことがあります。職員室の2階の右側のドアのところに、ユネスコスクールのプレートがあります。皆さんは気づいていましたか?私たちの学校は2012年に認定されたユネスコスクールです。ユネスコスクールは世界ユネスコ憲章の考え方に基づいて、平和を築く人を育てる学校です。私たちの学校が聖心として「私から私たちへ」を目標に、世界の一員として共に生きるという考え方は、ユネスコスクールに一致しています。奉仕活動やSDG'Sもそうです。そのような聖心の教育が認められて、ユネスコスクールに認定されました。ユネスコスクールは、知ること、為すこと、人として生きること、共に生きること、これらの4つを学びの基本としています。聖心が魂・知性・実行力の3つを育てることとも重なります。

 これまであまりユネスコスクールであることを皆さんにお話ししてきませんでしたが、ユネスコスクールも世界にネットワークが広がり、日本でも1115校、世界では12000校以上が仲間ですから、これからは聖心のネットワークと共に、ユネスコスクールのネットワークも活かしていかれれば、皆さんの学校生活がもっと豊かに、世界に広がっていくと考えています。これからチャレンジしていきましょう。

 最後に、皆さんにICTに関して、チャットGPTなど生成AIの話します。HRで担任の先生からも話があることと思います。生成AUは、人間に代わってコンピューターが文章を書いてくれる便利なツールです。将来皆さんの生活に欠かせないものにきっとなっていくでしょう。しかし、今の皆さんは、自分の力で文章を書くことを学んでください。私たち、先生たちは、どんなにつたなかったとしても、皆さんが自分で考えて、苦しんで書いてくださった文章を読みたいと思っています。文章は自分で書かないと、書く力は身につけられません。自分の考えや気持ちを表す言葉を自分で見つけてください。

 私も検索にチャットを使ってみました。11年生の探究の講演に来てくださった彫刻家の森淳一先生のお話を聞いて、とても興味をもち、どのような方なのかもっと知りたくなりました。そこで、まず検索してみたところ、いくつかの作品や批評記事をみつけました。そして、次にチャット入ってみて、最新作は?と尋ねてみたら、文章がサーッと出てきて、映画の作品を教えてくれました。森先生は映画も製作していらっしゃるのかとびっくりしながら、しかし、何か不審に感じて、また検索にもどって確かめたところ、同姓同名の別人の映画監督が存在していたことを知りました。もし、チャットが言ってきたことをそのまま信じていたら、大変なことだったと思います。皆さんもどうぞ気をつけてください。自分で、苦労したとしても、自分のほんものの言葉をみつけてください。それが学びです。

  それでは、良い夏休みを過ごしてください。健康に気をつけ、安全な生活をしてください。皆さんの毎日が充実しているように願っています。校外での研修や活動がある学年は、それぞれよい経験をしてきてください。7年生、10年生は学校に残りますが、よい活動ができますように。神さまに見守られて日々を過ごしてください。

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