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7月25日から8月1日カンボジア体験学習を実施しました。参加者は本校11年生・12年生12名と札幌、不二、小林の各姉妹校から2名ずつの18名、引率者5名でした。この体験学習は、カンボジアの歴史・文化遺産、平和の構築、人々の生活の現実、これらを実地に学びとる旅です。これまでに数回実施できない年もありましたが、今回で15回を数えます。行程はベトナムのホーチミン経由でプノンペンに入り、ポル・ポト時代の悲惨な歴史を留める場所の見学を中心とする2泊、その後はアンコールワット遺跡群の町シェムリアップに移動します。帰路はハノイを経由して成田着。
現地では、少年時代を日本で過ごしたチア・ノルさんに毎年お世話になっています。チアさんはシェムリアップで日本政府によるアンコールワット遺跡修復の仕事に従事しながら、農村の人々の生活向上のためにも活動しています。日本語で通訳もしながら、ポル・ポト時代のご自分の歴史を語ってくださる貴重な存在です。
チアさんの話を聴く
首都プノンペンではツールスレン刑務所、キリングフィールドを訪問して、ポル・ポト時代の厳しい現実を学びました。日本は戦後72年間の平和を維持してきましたが、カンボジアはまだ20年ほどです。戦乱の記憶が生々しく、平和を維持する困難さと大切さを生徒たちは深く感じていました。
ツールスレン刑務所
キリングフィールド
プノンペンでも子どもたちに出会います。ストリートチルドレンの保護施設であるクルーサートゥメイで、園長先生から子どもたちの状況についての説明を受けた後、一緒に遊びました。男の子達は元気いっぱい、小さな子どもたちは折り紙や魚釣りを楽しみました。持参してきた、本校12年生の生徒たちが子どもたちのための作ってくれた人形劇や遊具を早速使いました。子どもたちは喜んでくれたようです。
クルーサートゥメイの子どもたち
プノンペンは都市化が進み、おしゃれなカフェやコーヒーショップも街角に数多く見られるようになりました。平和が定着し、人々の生活が安定してきた印ならうれしいことです。一方で、貧富の格差が懸念されます。生徒たちはバスの車窓からも多くを学びました。
シェムリアップでは、少女たちの自立支援のための伝統舞踊学校をまず訪問。伝統舞踊の稽古を体験させてもらいました。言葉が不十分でも身振りで交流。少女たちのまっすぐ伸びた背筋が、希望を感じさせます。観光的な舞踊ショーの背後に、このような少女たちの努力があることを知る経験となりました。高等学校、中学校、幼稚園、農村と訪問を続け、出会いを通して、生徒たちは異なる現実を目の当たりにしていきます。
シェムリアップ芸術学校
アンコール高校生とディスカッション
日本の修道会ショファイユの幼きイエズス修道会が経営する幼稚園で
バイヨン中学校で一緒に昼食
アンコールクラウ村の子どもたちと
そして、遺跡の見学。アンコールワット、アンコールトム、バイヨン寺院、タ・プローム遺跡を訪問しました。生徒たちは石の文化に触れ、スケールの大きさに圧倒されながら、美を堪能しました。
アンコールワット
バイヨン寺院では遺跡修復について学ぶ
タ・プローム遺跡 樹木の根がからまる
この旅に先立って生徒たちは事前学習を重ね、現地ではふり返りと話し合いの時間を持って、体験したことを深めました。都市と農村とのあいだに生じ始めた貧富の差を見て、本当の発展とは何か、国全体が幸せになるとはどういくことか、考え合いました。旅の成果としてこの大きな問いを持ち帰り、生徒たちは考えて続けていきます。