校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

4月7日中等科入学式・始業式 学校目標「私から私たちへ:問いかけ、話し、聞く」

2023.04.08

 中等科は入学式と始業式を合わせて行い、今年度は7年生の保護者が参列してくださった上に、8年生・9年生も一緒に参列しました。コロナ禍を経て、やっと全員参加の始業式を行うことができました。

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 7年生の皆さん、中等科入学おめでとうございます。8年生・9年生の皆さん、進級おめでとうございます。

 7年生の皆さんは、中等科生として、青のシンボルカラーの学年となりました。これから青の学年として6年間の歴史を作ります。今年は学校創立から115周年です。この年に中等科生となった皆さんが、どのような青の学年になっていくのか楽しみです。これから未来に向けて、皆さんの中にある可能性を開いていってください。

 初等科からの仲間と一緒に7年生になりましたが、これから中等科生として一人ひとり今までとは違った自分をきっと発見していくでしょう。聖心の中等科生活は様々な可能性があり、皆さんのまだ知らないことがたくさんあります。セカンドステージの4年間でも、前半の2年間と後半の2年間はとても違います。セカンドステージは変化の目まぐるしい時期です。それを大いに楽しんでください。皆さんにはチャレンジを乗り越えて、自分を大きくしていく力がすでに蓄えられています。

 学習にも行事にもチャレンジがいっぱいです。初等科とは違うものがたくさんあります。部活動も始まります。自分のやってみたいものをぜひ見つけてください。新しい自分を発見し、新しいお友だちを作るチャンスでもあります。それを活かしてください。

 ここにいる8年生、9年生は皆さんを迎えることを楽しみに待っていました。一緒に中等科生活を進めましょう。

 中等科では自分たちで考えて決めることが多くなります。自分で選ぶ、自分で決める、というときは、自分の気持ちや考えを大切にしてください。人と比べたり、人を気にしてしまったり、人に合わせてしまうと残念です。勇気をもって自分らしくなってください。それが一番のびのびして、心から満足できることです。お互いにそうなれるように、お互いを大切にしてください。

 7年生の皆さんは生徒手帳をいただきます。そこには聖心の生徒として大切にすべき事柄が書いてあります。学校の校章について説明してあるページもあります。皆さんは校章の意味をもう知っていると思いますが、7年生になった今日、もう一度確認しておきましょう。2本のゆりの花が東京聖心を表すTSの2文字を囲むように描かれていて、一番上に太陽が輝くように描かれているのはイエスのご聖体です。その意味はどのようなことでしょうか?ゆりの花は、12月のゆりの行列で花をお捧げするように、私たちの美しい心を表しています。それがイエスと神様に向かって成長する姿として描かれています。そして、それも一本だけではなく、2本が向かいあわせに描かれていて、私たちが一人ではなく、仲間と共にある共同体であることを示しています。そして、この心はイエスと神様に向かって成長していくのです。十字架は書いてありませんが、イエスの姿がミサの中で配られるご聖体の形で書いてあります。ご聖体は、イエスがご自分をパンとしていのちを捧げられたことを示しています。だから、私たちはいつもイエスに養われ、イエスにいのちをいただいているということを聖心の校章は表しています。聖心の生徒は一人ひとりがイエスに養われながら、イエスに向かって、仲間と共に成長していく、そのような学校だということを表しています。このことを心において、中等科の生活を始めましょう。

 ここから、8年生・9年生の皆さんと一緒に、今学年の目標についての話を聞いてください。昨年度私たちは「私から私たちへ」を目標としましたが、これはとても大切な動きでした。というのも、世界では色々なところで対立や分断が生じ、人と人とのつながりが脅かされたり、「私から私たちへ」が大切にされない動きが見られたりしたからです。そこで、今年度も「私から私たちへ」を続けながら、特に「対話」をつけ加えて大切にします。対話というのは、問いかけ、話し、聞くことです。このことをよく表す聖書のエピソードがルカによる福音書の中にあります。

 教会では、9日の日曜日にイエスのご復活、イースターを祝います。7日の金曜日はイエスの十字架を思い起こして祈る日ですが、ご復活のイエスを先取りして、ルカの福音書の24章にあるエマオへの旅人の箇所を考えてみることにします。イエスが十字架の上で亡くなられたあと、二人の弟子がエマオというところに向かって歩いています。この二人はイエスが自分たちの期待と違って亡くなってしまったので、気落ちして、どうしたらよいかわからなくなり、逃げるような気持ちで歩いています。そして、歩きながらイエスについて話しています。するとそこに一人の人が一緒に歩いてきて、二人が話しているのを耳にして、「あなたたちが話していることは何ですか」と問いかけます。それで二人は驚きながら、この人に向かって、イエスについて自分たちが考えていることを話します。すると、この人は二人に向かってイエスについて詳しくていねいに説明してくれます。その話がとてもおもしろくて、夢中になって聞きながら歩いていると、気づいたら夕方になってしまいます。それで、二人はこの人を引き留めて、一緒に一晩泊まりませんか、一緒に夕食を食べましょうと誘います。そこで、一緒に食卓につき、その人がパンを分けてくれると、二人はその人がイエスだったと気づきます。そして、話している間、自分たちの心は燃えていたと気づき、仲間のところに戻ることにします。イエスは生きていて、自分たちと共にいてくださると確信したからです。この二人はイエスの復活の証人になります。この聖書のエピソードはイエスの対話の力を表しています。イエスは問いかけ、話し、そして聞いています。対話から新しいものが生まれます。弟子たちの心は力強い、新しいものになりました。

 対話は相手を大事にする話し方です。相手の話をよく聞いて、問いかけることで相手の考えも自分の考えもより明らかにし、共に話し合うことでお互いの考えを深め、新たなものを引き出します。皆さんにはぜひそのような対話を学校生活の中で生み出してほしいと思います。

 コロナ禍により、人と直接に関わる機会がこれまで少なかったかもしれません。これからは、もっとお互いに関わることを学校生活の中でも大切にしたいと思います。

 ラインやインターネットや便利なコミュニケーションツールを皆さんはもっていますが、お互いに出会わない気楽さはあるものの、文字だけのやりとりは誤解を招いたり、一方通行になったり、相手を傷つけたりする可能性も大きなものです。私たちは今年度の目標をもとに、お互いの対話を大切にしたいと思います。その中からほんものの関わりを築いていきましょう。

 イエスはいつも共にいてくださいます。もし、関わりがむずかしくなってしまったとしても、その時こそイエスが共にいてくださることに信頼して、お互いがよい関わりを取り戻すことに勇気を持ちたいものです。希望というのは、一番むずかしいときにこそ大切に見つめるべきものです。

 今年の目標「私から私たちへ 対話:問いかけ、話し、聞く」に導かれて、今学年を進めましょう。今年は学校に海外からの姉妹校生をたくさん迎えることになります。5年生も4クラスになってふじ組が生まれています。正門前のマンションにも多くの人が引っ越しされてきています。登下校の道も変化しました。新しいご近所の方々ともよい関わりを築いてください。道の上にある聖心女子学院の門柱も新しくしているところです。皆さんも新しい気持ちでこれからの毎日を過ごしてください。

 7年生の皆さんは、今日から実り多い中高等科生活を始め、8・9年生の皆さんもお互いによい関わりもちながら、自分を磨いていってください。皆さんの間にたくさんの対話が生まれることを期待しています。1年間充実して過ごしましょう。

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