校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

2月5日初等科朝礼 「おふだ」昔の聖心 いまの聖心は「対話」

2025.02.06

 初等科では3年生が社会の学習で昔の生活について学びます。歴史の学習の始まりです。学院の歴史についても学びますので、その一貫として例年、本校にも以前は設けられていた寄宿舎の生活について話をしています。今回の朝礼では、以前は存在し、今は行っていない学院の行事の一つ「おふだ」について話しました。

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 3年生の皆さんが昔の生活について学び、昔の聖心についても学ぶときには、頼まれて毎年寄宿舎のお話をしています。聖心の学校は聖マグダレナ・ソフィアによって、200年前に創立された、長く続いてきている学校です。世界に広がって、色々な国に聖心の学校があります。同じ聖心の学校でも、それぞれの国で少しずつ違うところもあります。長い歴史の間に、ずっと変わらないで大切にして来たこともあれば、変化していくこともあります。変化しないこととしては、たとえば、イエスのみこころを大切にするところ、聖心の一つの家庭というところ、これらは今も大切にしています。しかし、時代が変化すると、やり方は変化することもあります。同じものを大切にするとしても、表し方や強調点が変わってきます。

 200年前の日本は江戸時代でした。武士の時代です。みんな着物の生活をしていました。女の子のための学校もまだありませんでした。日本のそのような時代に、聖マグダレナ・ソフィアは聖心の学校を創立したのです。

 今回は、昔の聖心の生活の一つとして「おふだ」についてお話しします。私が生徒だった時には、毎週一回「おふだ」という集まりがありました。月曜日の午後に行っていたと思います。「おふだ」とは変な言葉です。「ふだ」というと、目印のためにつけたりするものです。カルタの取りふだ、お守りのおふだもあります。おふだの「お」は丁寧語の「お」です。

 おふだの集まりでは、初等科講堂に、2学年か3学年ずつ集まり、校長先生のシスターが正面の舞台の前にいらっしゃり、児童は各クラス縦長く2列になり、講堂の真ん中を広く開けて、片側に一列ずつ左右に分かれて並びます。以前は各学年ばら組とゆり組2クラスだけでした。自分たちの学年の番になったら、中央のスペースに並びます。そして、校長先生に向かってお辞儀をすると始まります。

 校長先生からは前の週の生活がどのようであったか発表があって、とてもよくできた人は名前を呼ばれて、Very Good のカードをもらいます。どのようなことで Very Good になったかと言えば、何かを一生懸命にがんばりました、係やもゆるの仕事をがんばりました、忘れ物をしませんでした、整理整頓がきちんとできました、友だちに親切にしました、クラスのために働きました、などのことでした。名前を呼ばれた人は 前に進み、校長先生からVery Good と書かれた小さなカードをいただきます。しかし、カードを返す場所が用意してあって、カードはすぐお返ししました。このカードのことを日本語にして「おふだ」と言っていたのです。

 皆は並んで立ちながら、今日は誰の名前が呼ばれるかしら、私も呼ばれるかしら、とどきどきしながら聞いています。

 Very Good のつぎにはご注意がありました。何か良くできなかったことがある人の名前が呼ばれます。約束を守りませんでした、決まりを守りませんでした、静かにするべきところで騒いでしまいました、人に迷惑をかけてしまいました、忘れ物が多かった、などです。ご注意にはカードはありませんでした。

 この後には Fair というものがありました。Fair は大変悪いことで注意されることなので、もし Fair をいただいてしまったら大変残念なことですから、皆とても気にして心配していましたが、実際には Fair をもらう人はいませんでした。Fair にはカードがありましたが、もらった人はいません。

 最後に、「その他の方は Good」 となって、「おふだ」は終わります。おふだはつまり表彰と注意の機会でした。

 この「おふだ」は私は初等科4年生くらいの時を最後になくなってしまいました。その後は、何か良くできたことがあった人は名前を呼ばれておメダイをいただき、それを一週間をつけて生活するということがありました。リボンのついた小さなメダイを安全ピンで胸にとめました。一週間終わるとそのメダイはお返しします。

 「おふだ」は何のために行われていたのでしょうか。シスターや先生にいつも監視されていて、悪いことがあったら注意される、ということであったら、学校はびくびくした怖いところになってしまいます。あまりよい感じがしません。そうではなく、シスターや先生方はいつも児童・生徒のことを見守っていて、良いことがあったらほめてくれるし、注意すべきことがあったらきちんと伝えます、そのような目的だったと思います。

 今の私たちの学校生活でも、皆さんを見守ることを先生方は大切にしています。でも、以前と伝え方がちがいます。今は、授業中や、朝の会や帰りの会など色々な機会に直接に伝えています。そして、各学年で学期ごとに行っている学年のつどいが大切な機会です。学年のつどいでは、自分で考えて気づいたことを作文に書いて読んだり、分かち合ったりして、お互いに伝え合うことを大事にしています。今は、対話によって伝えることを大事にしています。

 昔の聖心と今の聖心ではやり方は変わりました。でも、自分を磨いていこう、お互いにより良くなっていこうということは変わりません。

 

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