舞台美術家・東京藝術大学 准教授
原田 愛 さん
85回生2000年卒業
東京藝術大学大学院修了後、Theater Project Tokyoでの研修を経て舞台美術家・二村周作のアシスタントを務め、2011年に独立。演劇・ミュージカル・オペラなどの舞台デザインを手掛ける舞台美術家として活動している。2021年より東京藝術大学美術学部先端芸術表現科准教授。
聖心で過ごした1 2 年間を振り返ってみると、最も育まれたことは、人とつながる力だと考えています。聖心から美術大学に進学し、卒業後は舞台美術家として活動してきました。総合芸術といわれる舞台芸術においては、限られた時間の中で演出・照明・音響・衣装・演者など様々なセクションのメンバーと協働することが求められますが、奉仕の心、人のことを思いやり自分のためだけでなく人のために惜しまず努力すること、人と人とをつなぐ架け橋となる意識が、しっかりと土台になってコミュニケーションの力と創作する力を支えてくれていると感じています。今は大学にて教育に関わる機会も得て、世代や国籍を超えて多様な価値観に出会う毎日ですが、改めてこの心の在り方が身につくように指導してくださった先生方、自然と同じ価値観を共有できた友人たちに出逢えたことに感謝しております。そして確かな心の財産として、後輩たちに伝えていきたいと思います。
株式会社アストロスケール 誘導航法制御エンジニア
岩澤 ありあ さん
91回生2006年卒業
慶應義塾大学理工学部物理学科卒業。同大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了。米国Purdue University航空宇宙工学科訪問研究員。大手電機メーカーとスタートアップにて人工衛星の開発に従事。宇宙利用分野における社会課題解決型人材育成や小中学生を対象とした研究教育にも取り組む。
宇宙で星を見てみたい。宇宙の美しさを捉える宇宙機の開発に携わりたい。技術畑での仕事を選択したため、卒業後は男性が多い環境に身を置くことが多くなりました。それでもなんとか幼少からの夢にチャレンジし続けることができたのは聖心の教育のおかげだと思っています。聖心ではもゆる会などの奉仕活動を通じて、(1)もの惜しみしない心、(2)他者に譲る心、(3)お祈りする心を培っていただきました。これらの心は競争が激しい社会においても、お守りのように自身を守ってきてくれた気がします。他者に手を差し伸べるためにはまず個が心豊かで自立している必要があると感じています。私自身学びの過程にいますが、聖心の多くの諸先輩方がそうされてきたように、誰かのために動くことができるよう、人の喜怒哀楽の感情に寄り添えるよう、これからも心を鍛えていきたいと思っています。卒業後も温かくご指導してくださる聖心の先生方に感謝しています。
読売新聞東京本社 教育部 記者
染木 彩 さん
92回生2007年卒業
聖心女子大学文学部(国際交流専攻)卒業、2011年読売新聞東京本社入社。前橋支局(群馬県)社会部を経て、2017年から3年間産休・育休を取得。2児の母。復帰後は社会部で「読売KODOMO新聞」を担当し、2024年9月より現職で教育分野の取材に携わる。
新聞記者というと、よく「文章を書くのが得意なのですか」と言われます。しかしどんな記事でも求められるのは「相手の話を聞く力」です。私の場合、聖心で培った「思いやり」こそ武器であり、失ってはならないものだと感じています。初等科の頃から途上国や被災地の話を聞く機会が度々あり、高等科でのカンボジア研修では過酷な現実の中で瞳の輝きを失わない子ども達に出会いました。こうした経験から、勝手な思い込みで人を判断せず、耳を傾けることの意義を学びました。例えば、大きな事故や災害でご家族を失った方にどう声をかけるか。どんな思いでいらっしゃるかを想像し寄り添うことで、伺えた話がたくさんありました。私を信じて話してくださったことを世の中に伝える使命は重いものです。その使命に押しつぶされそうになった時には、各地にいらっしゃる卒業生の温かさに支えられ、「聖心は一つの大きな家庭です」という言葉を実感しました。聖心スピリットは私の心の幹となっています。
佐伯 世理菜 さん
109回生2024年卒業
University of Illinois Urbana-Champaign Gies College of Business 第1学年在学中
私は初等科から本校に通い、小学3年生から6年生を父の仕事の関係で海外で過ごしました。中高等科では特に二つの点においてグローバルなマインドセットを培いました。一つ目は、聖心の英語に溢れた環境です。中等科ではEnglish Dayでの英語スピーチコンテストなどを通し、英語を活用し表現する力を学びました。高等科では選択科目を通しアカデミックに英語と向き合える機会が多くありました。Research and Presentationでは英語で社会課題を研究し発表を行ったり、質の高い知識を得ることができました。二つ目は、聖心の世界各国の姉妹校との交流の機会です。私はVirtual CollaborationやSacred Heart Liveなどコロナ禍でも世界に目を向けて同年代の生徒とオンラインを通してディスカッションを行いました。今後は聖心での学びを生かして世界で活躍する人材になりたいです。
ファーストステージ生(4年生)
朝、友達と笑い合って、明るい一日が始まります。聖心の魅力は、3つあります。1つめは、自然の美しさです。毎朝、門を通ると美しい木々のすき間から暖かい光が照らしてくれます。自然が驚くほど豊かで、生き物との調和を大切にしている学校で、どんなときでも神様とつながっていることを感じられます。2つめは、どの教科の授業も充実しているところです。答えを出すだけを目標とせずに、考えを深めていく授業では、友達との対話が多くなります。さまざまな考え方に触れることで学びが充実していく面白さがあります。3つめは、他学年との関わりが多いところです。交流会を行ったり、共に行事の準備をしたりと学年の枠を越えて過ごす機会に恵まれていて、他学年とも仲良くなります。全学年で集まって祈る時間にはみんなの心がひとつになります。この瞬間にも「聖心は一つの大きな家庭」であることを実感します。
セカンドステージ生(6年生)
前期児童会会長
児童会では、今年から新たにウクライナと交流を始めました。ウクライナとロシアの戦争について、ニュースや新聞で情報を得ていましたが、実際にオンラインで交流を行うことで現地の様子を伺うことができました。最初は、戦争中の子どもたちとどのように接していいかがわからず心配していましたが、交流を重ねるごとに戦争中の国というイメージがなくなり、同じ小学生の友達と会話しているように感じました。しかし、ウクライナは物資が足りていなかったり、未だに警報がなって地下のシェルターに入ったりと、普段とは違う生活をしていると伺いました。児童会で話し合い、「私たちにできることをしていこう」と活動するようになりました。そして、文房具の寄付、クリスマスカードの作成、靴下の寄付、募金活動を実施することができました。お手紙を送った際には、ウクライナの子どもたちからお返事が来てとてもうれしかったです。また、募金で集まったお金で、プリンターやパソコンを購入できたと伺い、誰かの役に立つ喜びを感じることができました。私は、この経験を通して、自分に何かできるか考え、困っている方のために進んで行動していこうと考えるようになりました。
サードステージ生(12年生)
聖心では、創立者である聖マグダレナ・ソフィア・バラの精神「清貧を愛する心」について学び、考え、行動します。クリスマスウィッシングや練成会、日々の祈りなど、静かに自分と向き合う時間は、大切な伝統の一部です。日常の喧騒を離れ、心を落ち着けるこの時間の貴重さを改めて実感し、物質的な豊かさではなく、心の豊かさに目を向ける大切さを学びました。また、東北でのボランティア活動やお昼のおかず代を募金する活動、毎日の祈りを通して、「人に尽くす」ことの大切さも学びました。初等科のときからこうした活動に参加し、自分の時間や力を惜しみなく人のために使う姿勢や、誠実に他者に尽くす行動力を養うことができました。そして、それらが「清貧を愛する心」と深くつながっていることに気づきました。物質的な豊かさを追い求めがちな現代社会において、真の豊かさは持ち物の多さではなく、心の充実や人とのつながりにあると思います。本当に大切なものを見極める力を育むことができたことに感謝し、これからもこの学びを生かし、日々の生活の中で実践していきたいと思います。
サードステージ生(12年生)
聖心での12年間を通して、私が最も身につけたのはリーダーシップと国際性です。リーダーシップとは、単に皆の前に立って先導するだけでなく、周囲と協力しながら最適な判断を下し、全員が力を発揮できる環境を作ること、すなわち縁の下の力持ちとして皆を支えることであると学びました。聖心では初等科、中等科、高等科という枠組に加え、4・4・4制を採用していることから、どの学年になってもリーダーシップを発揮する機会に恵まれています。特に生徒会会長を務めた際にはリーダーシップに欠かせない、多様な意見を尊重しながらまとめる力、常に周囲に目を配り全体を見渡す力を身につけました。また、国際性とは、単に語学力を磨くだけでなく、多様な文化や価値観を理解し、柔軟に適応する力であると思います。聖心での質の高い授業や海外の姉妹校との交流、留学などを通じて、異なる背景を持つ人々の考え方に触れ、自らの視野を広げることの大切さを学びました。聖心で培ったリーダーシップと国際性を活かし、これからも世界の一員として多様な価値観を尊重しながら他者と協働し、より良い社会の実現に貢献していきたいと考えています。
2018年度 保護者後援会会長
與田 健一 さん
聖心女子学院の真髄は「心の教育」だと思います。勉学に励むだけでなく、謙虚に学ぶ、何事にも感謝する、他者の為に惜しみなく尽くす、といったキリスト教の価値観に基づく精神的なルールを12年間の生活を通じ会得することに重きが置かれております。こうした教育理念の下で毎日コツコツ一つ一つのことを丁寧に積上げることでグローバル化の進む実社会の中で逞しく生きる底力が養われるものだと考えます。クラブ活動や多くの行事が生徒による主体性の下で運営され、心と体験の共有が卒業後も続く仲間との人間関係の礎になっていくとものと思います。シスター並びに先生方が世の中の環境変化を敏感に捉えることを大切にし、伝統を維持しつつ先進的な取組をされておられます。私自身も学院の門をくぐる度に背筋の伸びる緊張感を得ます。温かさと厳かさに包まれた素晴らしい教育環境の中で、娘と共に親としても日々学ばせて戴いておりますことに感謝しております。
2017年度 中・高等科母の会会長
伊藤 珠美 さん
今、将来を担う子どもたちは、「自分さえ、自分たちさえ、自国さえ良ければいい」という大人社会の風潮を肌で感じながら成長しております。しかし、それは21世紀における世界平和と共生の願いから遠ざかることを意味するのではないでしょうか。聖心の子どもたちは、初等科から高等科までの一貫教育の中、自分のためだけに頑張るのではなく、他者のためにも快く働き、それを自らの喜びとする心を学んでおります。その「Generosity 惜しみない心」は一日にして成らず、学校と家庭の双方で丁寧に育みながら時を経て、聖心を巣立つ頃には誰もが自然と身に着けている心の礎となります。思うに、聖心の教育理念にある「かけがえのない存在」であることを自覚し、「惜しみない心」で他者に尽くし、感謝と思いやりの心を携えて成長した子どもは、きっと将来、「世界の一員」として大きくはばたくことでしょう。そこに、聖心の教育方針にある「知性」と「実行力」が伴えば、まさに社会が望む最強のレディとして輝くことと思います。聖心に集う子どもたちには、この緑豊かな学院の中で、生命が奇蹟の積み重ねであることを感じつつ、神様の愛に包まれながら、しなやかに「Generosity 惜しみない心」を育んで欲しいと願っております。
2016年度 中・高等科母の会会長
清水 美佐 さん
娘には、将来社会に出て生きていく力を身につけてほしいと願っております。聖心女子学院では、都会の喧騒から離れた静かで緑豊かな環境の中、シスター・先生方に見守られ、様々な場面で一人一人が力を発揮し、活躍をする機会を与えて頂いております。日々の生活の中で多くの体験をさせて頂き、物事の真理をとらえ、じっくりと考え、自分の意見を伝えることを学び、周りの方とぶつかりながらも互いに理解を深め、コミュニケーションする力を伸ばしています。また、朝夕の祈りの場では、静かに自分自身と向き合い、振り返る時間を大切にしています。そのような環境の下、様々な経験を通して身に付けた力は、将来社会人になった時、母親になった時、しっかりと自分の足で歩んでいける大きな力となり、女性らしい、しなやかな大人に成長してくれるのではないかと思っております。