校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

10月2日 初等科朝礼 センス オブ ワンダー 自然教育園に行って感じたこと

2024.10.05

 残暑の厳しい夏もようやく過ぎ去り、秋らしい気候を感じることができる日も増えてきました。とは言え、まだ昼の日差しには暑さを感じます。校庭でも木々の葉やどんぐりに秋の気配が感じられます。9月1日から10月4日まで、カトリック教会では「すべてのいのちを守るための月間」ともされています。レイチェル・カーソンの「センス オブ ワンダー」の本を取りあげて、子どもたちと共に自然との関わりについて考えてみることにしました。2年生は自然教育園を春夏秋冬それぞれの季節に訪問して、自然の移り変わりを観察しています。12年生がその経験を思い出して書いてくれた文章をきっかけとして考えてみました。上の画像は校庭に落ちていたヒマラヤスギの実です。

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 9月の終わりから急に秋らしさを感じるようになりました。木の葉も色づいてきて、きれいな落ち葉も見られます。テニスコートの前には、白と赤の彼岸花も咲いています。葉はないのに花だけが咲く、不思議な姿をしています。キンモクセイの香りもしてくるようになりました。自然の変化を感じます。

 皆さんは「センス オブ ワンダー」という本を知っていますか?森や海の写真がいっぱいの美しい本です。本の題は英語です。どのような意味でしょうか。「センス」という言葉は、日本語でも「センスが良い」とか「センスが悪い」というように使っています。「センスがよい」と言えば、「感じがよい」という意味になるでしょうか。センスとは、感覚のことでもあるので、「考える」ことより、「感じる」ことを指しています。「ワンダー」は「不思議」です。まだ知らない世界の素晴らしさを指しています。だから、「センス オブ ワンダー」とは、不思議の感覚、不思議のセンス、ということになります。

 この「センス オブ ワンダー」の本を書いた人はレイチェル・カーソンというアメリカ人の女性で、科学者でした。「沈黙の春」という有名な本も書きました。これは60年くらい前に書かれた本で、自然を守ることの大切さについての本です。上級生の皆さんの中には読んだことがある方もいるかもしれません。

 「センス オブ ワンダー」の本には、海や森、自然の美しさについて、自然界には不思議なことや人間の知らないことがたくさんあるということが書かれています。作者のレイチェル・カーソンは甥にあたる少年と一緒に海や森に行って、色々なものを見つけます。美しいものや、不思議なものをみつけ、知らないことに出遭って、すごいなあと思うことを大事にしています。レイチェルは何かを知るということより、感じる心の方が大切だと言っています。レイチェルは大人で科学者ですから、自然についてたくさんのことを知っています。それに対して、甥は子どもで、知っていることは少ないですが、不思議を感じる心は豊かにもっています。子どもの方が「センス オブ ワンダー」を持っていて、大人はそれをなくしてしまうのかもしれません。大人は自然をすごいなあと思うよりも、自然を人間のために利用することを考えてしまうからです。人間は自然とどのように関わることがよいのでしょうか。レイチェルは本の中で問いかけています。

 一人の12年生がこの本を読んで、2年生のときに自然教育園に行ったときのことを思い出したそうです。1年間に4回、季節ごとに自然教育園に行くと、同じ場所に行っても毎回違う感じがしました。園の方に説明を聞くと、色々な自然の秘密を学ぶことができました。2年生以上の皆さんは、自然教育園に行ったときのことを思い出すことができるでしょう。同じような経験を感じた方もいるかもしれません。この12年生は、毎日私たちの緑豊かな学校で生活していて、この環境にいつの間にか慣れてしまって、自然の美しさや不思議さに気づかなくなってしまったのではないかと感じたそうです。このことを「センス オブ ワンダー」の本を読んで気づいたそうです。身近なところにも、自然の不思議さがあるということです。

 10月1日の都民の日は学校はお休みでしたが、私が学校に来てみると、校庭で地面に落ちていたおもしろいものを見つけました。ヒマラヤスギの実です。去年のものでカラカラに乾いて、色は焦げ茶色で、形はバラの花にそっくりです。築山の上に置いておいたら無くなっていましたから、きっと誰かが見つけて持って行ったのだと思います。これからもまた落ちてくるかもしれません。学校生活の中でも自然の不思議が見つけられます。皆さんも「センス オブ ワンダー」を働かせてください。

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