校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

9月18日初等科朝礼 仲秋の名月を見て かぐや姫は自由な心の人

2024.09.18

 17日は仲秋の名月でした。夜空に美しく輝く月を見た心持ちで、子どもたちと共に「かぐや姫」について考えてみました。昔の物語が伝えてくれる女の子の幸せとはどのようなことでしょうか。

 ~~***~~

 秋は月のきれいな季節、お月見の季節です。昨日は仲秋の名月でした。まん丸で大きな月が見えました。皆さんも見ましたか?昨日の夜は天気も良く、明るい月が見えました。月に黒い影が模様のように見えると、何だろうかと想像が膨らみます。ウサギがいると昔から言い伝えられてきました。おもしろいことです。

 満月と言えば、「かぐや姫」の物語を思い出します。「かぐや姫」は先週お話しした「源氏物語」と同じくらい古い物語です。そして、とても不思議な話です。思い出せますか?少しお話ししてみます。

 昔、竹を取って、ものを作る仕事をしているおじいさんがいました。竹やぶで光るものを見つけると、それは小さな女の子でした。家につれて帰って、おばあさんと一緒にかぐや姫と名前をつけて大切に育てたら、美しい少女になりました。とても美しいのでたくさんの人にほめられて、評判になっていきました。おじいさん、おばあさんは自分たちの育てた娘がほめられるので、とてもうれしく思いました。

 かぐや姫がだんだん大きくなって、お嫁に行く年頃になると、遠くの都からも人が来て、美しいかぐや姫をお嫁さんにしたいという人が出てくるようになりました。お金持ちで立派な服装の有名な人たちです。でも、かぐや姫はお嫁さんになるつもりはないらしく、いつもお断りしています。すると、あまりお断りばかりしているので、男の人たちは怒ってしまいました。それで、かぐや姫は集まった人たちにとても珍しい宝物を探してくることをお願いすることにして、ちゃんと探して持ってきた人と結婚しますということにしました。

 集まった人たちは、それぞれかぐや姫に言われた宝物を探しにいきました。どれもとても珍しいもので、探すのは大変でした。大変な旅をして、長い期間かかって、苦労してやっとみつけましたと言って男の人たちは帰ってきて、かぐや姫に探してきた宝物を見せて、自分こそかぐや姫をお嫁さんにしようとしました。ところが、かぐや姫は全部にせものであること、ほんものでないことを見破ってしまいます。それで男の人たちは恥ずかしくなって帰ってしまいます。おじいさん、おばあさんはかぐや姫がどうなっていくのか心配です。

 満月が近づいてきました。かぐや姫は月を見て泣いています。おじいさん、おばあさんはびっくりして、かぐや姫に理由を聞くと、「実は自分は月からきた娘なので、満月になったらお迎えが来て、月に帰らなければなりません」と言って泣いています。それを聞いて、おじいさん、おばあさんは悲しくなってしまいました。すると、その話を都の帝が聞いて、「そのような美しい姫を月に取られてはならない。自分が兵隊を送って、姫を月から来る者たちからお守りしよう」と言って、おじいさん、おばあさんの家に兵隊をたくさん送って武装して、かぐや姫が連れて行かれないようにしました。ところが、満月の夜に月からのお迎えが来ると、兵隊たちは月の明るい光に照らされて身動きがとれなくなり、戦うことができなくなりました。それでかぐや姫はおじいさん、おばあさんとお別れして月に帰っていきました。

 こんなお話です。この物語は誰が書いたかよくわかっていません。1000年くらい昔のお話です。不思議な物語です。何を言いたいのでしょうか。考えてみると、女の子の幸せとは何か、というお話かもしれないと思えます。かぐや姫は人がうらやましく思うものはたくさん持っています。美しい姿、お嫁さんにほしいと言ってくれるすてきな男の人たち、立派で有名でお金もちの男の人たち。そして助けようと言ってくださる都の帝は、国中で一番力がある人です。このようなものをかぐや姫は全部いりません、と言っているようです。では、かぐや姫は何を求めていたのでしょうか。

 かぐや姫は見た目の美しさでなく、見かけでなく、ほんものを大事にしたいのではないでしょうか。宝物のにせものを見破ってしまったように。うわべの美しさではなく、心の中の美しさを大事にしたかったのかもしれません。みんなが良いというものでも、自分が良いとは思えなかったら、そのことに正直でいる。自分の心に素直で、自分の大切にしたいものを大切にしたい。そんな自由な心の持ち主だったのかもしれません。そのようなかぐや姫は普通の人と違った変わった人、特別な人と思われたかもしれません。それで、この世界の人ではなく、月から来た人という話になったのかもしれない、そんな風にも考えられます。

 そうだとしたら、かぐや姫が教えてくれたことを大切にしたいです。女の子だからこうでなくてはならない、ということはない。自分が大事にしたいことを大事にして良い。みんなと同じでなくても良い。自分の心を大切にする。そこに人と比べられない特別な美しさがある。このようなことをかぐや姫は私たちに伝えてくれているのではないでしょうか。

 また美しい月を見たら、かぐや姫のことを思い出して、私の大事にしたいことは何かと考えてみましょう。

このページのトップへ
このページのトップへ