校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

7月2日中高等科朝礼 ジェンダーギャップのない国

2024.07.02

 世界経済フォーラムが発表するジェンダーギャップ指数を毎年注目しています。女子を育てる学校として注目すべき数字と考えています。2024年の指数が発表され、日本の順位もわかりました。ジェンダーギャップ指数1位の国はアイスランドです。その国の交響楽団の映像に接した経験から、ジェンダーギャップについて考えてみました。上の画像はアイスランド国旗です。

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 皆さんはアイスランドという国を知っていますか?ヨーロッパの北にある小さな島国です。火山があり、時々大きな噴火で世界を驚かせます。自然豊かな国です。

 最近アイスランド交響楽団の演奏を目にする機会がありました。ある曲を聴きたくてYoutubeで探していたところ、たまたま見つけたのがアイスランド交響楽団の演奏だったので、その動画を開いてみたら、驚いてしまいました。なぜなら、オーケストラの楽団員が女性でいっぱいだったからです。画面に映る風景が違いました。指揮者は男性だったし、コントラバスや金管楽器は男性が担当していましたが、主席バイオリニストは女性でしたし、ある画面では映っているのが全部女性奏者に見えるほどで、本当に驚きました。日本の楽団でも女性奏者が増えていますが、比ではありませんでした。数えてみることはしませんでしたが、おそらく男女は半々だったでしょう。そして、納得しました。アイスランドはジェンダーギャップ指数世界第一位の国です。ジェンダーギャップがないということはこのようなことか、と感じました。

 2024年のジェンダーギャップ指数は日本は146ヶ国中118位で、去年の126位からは持ち直したと言われていますが、それでも現実は厳しいものです。日本が立ち遅れているのは、政治・経済の分野と言われています。

 アイスランドでは国会議員に女性の占める割合は48%で、世界では7位です。1位はルワンダで6割を超えています。2位はキューバです。日本の国会で女性議員が半数を占めたら、どのような風景となり、どのような議論がなされるのでしょう。

 しかし、アイスランドもずっと以前から女性議員が多かったわけではありません。2009年に初めて40%を超えて、2016年には45%以上になり、2017年から2020年は40%以下となってしまい、2021年に再び45%を超えて今に至ります。ジェンダーギャップ指数1位は13年連続です。それを考え合わせると、女性議員が40%を超えるということはジェンダーギャップ指数の改善にも大きなことであるのでしょう。

 1975年にアイスランドでは女性の大ストライキがありました。「女性の休日」と呼ばれて、アイスランドの女性労働者の9割以上が参加し、仕事や家事を休んでストライキに参加したと言われます。賃金格差やジェンダーギャップによる暴力への抗議だったそうです。9割の女性の参加とは大きな連帯の力です。それだけの関わりを女性たちが築きあげていたということです。

 アイスランドは人口の大きな国ではありません。港区の人口が約27万人、品川区が約43万人ですが、アイスランドはその中間の38万人です。そのような小さな国ですが、その小さな国でも世界に誇れるものがあるということです。

 去年の10月にも女性中心のストライキが行われました。今回は男性も含めて、人口38万人のうち10万人が参加したと言われています。子どもや高齢者は参加していないでしょうから、この数も大変なものです。女性の賃金が今だ10%低いという格差が今回の争点だったそうです。首相も女性で、この日は公務を休業したということです。新しい大統領が選挙で決まったばかりですが、それも女性です。

 私は皆さんが大人になった時の日本社会を想像して、風景が変わっていて欲しいと考えますし、変えていかなければとも感じています。また、皆さんが大人になって、世界で色々な女性たちと出会って共に活動するとき、このような国から来た女性たちとも出会うのだと想像して、その時に、東京の聖心で学んだこと、経験したことが皆さんの中で大きなしっかりした土台となっていることを願っています。皆で女子校の可能性を追求しましょう。

 

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