トップページ > Spirit of "Mikokoro" > 6月18日中高等科朝礼 イスラム教の祈りの場に行って
中高等科では6月18日に保護者ための授業参観を実施しました。雨にもかかわらず、多くの方が来てくださり、生徒たちの授業を参観してくださいました。今回の朝礼では、イスラム教の祈りの場を見学させていただいた私の体験を生徒に分かち合いました。画像は礼拝所の天井ドームです。
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イスラム教の礼拝所に行きました。その経験をお話しします。場所は代々木上原です。小田急線と地下鉄千代田線が接続する駅です。駅の近くの静かな住宅街の一角にあるエキゾチックな建物で、塔が立っていました。東京ジャーミーという名前です。
どの宗教にも祈りの場所があります。日本の宗教だったら、神道は神社、仏教はお寺です。それぞれの場所は、その宗教の特徴によって、独特なものです。しかし、共通して、聖なるもの、神様や仏様への尊敬の念が感じられ、厳かさや静けさがあり、祈りの雰囲気が感じられるものです。祈る場所として、そこで一人で祈ったり、集まって祈ったりします。キリスト教なら教会で、学校なら聖堂です。
宗教によって色々なシンボルがあります。神道なら鳥居やしめ縄でしょう。自然との関わりも大切にされ、森や大きな木があったりします。仏教なら仏像、キリスト教なら十字架です。
東京ジャーミーはイスラム教の祈りの場所です。イスラム教は世界に広がっている大きな宗教で、地域によって宗派も異なるものがあります。東京ジャーミーはトルコのイスラム教の人々が建てた礼拝所で、歴史は1917年に遡ります。その当時ロシア革命が起き、色々な理由でロシアのカザン州に移住していたトルコ系の人々は困難に遭い、イスラム教徒に対する迫害を受け、イスラム教を守れないとして日本に移住してくることになりました。そして、日本の人々の理解を得て、自分たちの宗教の礼拝所を建てることができました。日本との友好関係の歴史を大切にしています。そのためもあるのでしょうか、今も見学者を広く受けいれてくれます。私も見学させていただきました。
建物はモザイクやステンドグラスが美しいものでした。入り口を入ると、お茶と水、デーツ(なつめやし)のお菓子のおもてなしがありました。1階には食堂にもなる集会室などがあり、礼拝所は2階にありました。礼拝所は天井が高く、モザイクやステンドグラスで飾られ、大きなシャンデリアもあって、美しい場所でした。床にはカーペットが敷いてあり、靴を脱いで入ります。女の人はスカーフを被る決まりになっているので、私も被りました。ベンチなどの置いていない、広いところでした。
イスラム教の人々には、メッカという聖なる方角があります。メッカはイスラム教の発祥の地です。礼拝所でもメッカの方に向かって祈ることになっているので、メッカの方角を示す装飾された場所が壁に作られていて、わかるようになっています。(この場所はミフラーブと言われるアーチ状のくぼんだ場所です。)
一日に何回か祈りの時間があり、見学者も参加できることになっていました。時間になると、声の美しい青年がマイクをとって、歌うように祈りの呼び出しをしていました。イスラム教の国でなら、近所に向かって外にも知らせるところでしょうが、ここでは館内放送でした。人々が集まってくると、男の人は前の方、女の人は後ろか2階と決まっていて、男女は完全に分かれています。男の人は前からつめて並びます。30人くらいでしょうか、普通の服装の人々で、日本人もいました。
祈りが始まるとリーダーの人が号令し、立ったり、座ったり、おじぎをしたり、合図で皆一緒に祈りの動作をしていました。コーランを長々と唱えるのかと思っていたら、そうではなく、静かな祈りでした。見学者は後ろで座って見ています。小学生くらいの男の子はお父さんの隣で一緒に祈っていました。15分くらいでしょうか。終わったら、となりの人と挨拶して別れていきました。金曜日には大きな礼拝があるらしいですが、私が行ったのは日曜日でした。
イスラム教の人々にも色々な人がいます。国によってもきっと違います。東京ジャーミーの人々は静かに祈っていました。イスラム教の教えを大切にしていることが伝わってきました。宗教が異なっても、祈りの雰囲気は共通だと感じました。日本で友好的に生活したい人々なのでしょう。一日に何回も祈っている、人々のまっすぐさが伝わってくるように感じました。行ってみなければわからない体験でした。
世界の中では宗教の違いを対立としてとらえることもあるかもしれません。しかし、違いに注目してしまうのではなく、共通点をみつけられたら、平和に向かうことができるかもしれません。いつか皆さんも見学に行って、イスラム教の人たちの祈りを体験することができたらと思います。違いと共通点をみつけてください。