校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

1月23日中高等科朝礼 ハイチの聖心会の今 厳しい現実の中で

2024.01.24

 初等科では年に3回の「ハイチデー」を設け、お弁当をおにぎりなどのシンプルなものとし、おかず代を支援を必要としている所に向けて募金する活動を続けています。毎回ハイチを支援しているわけではありませんが、ハイチへの支援が活動名の由来になっていることから、初等科生にも、ハイチという国名はなじみ深いものです。しかし、実際にハイチについての情報に接することは、日頃は日本の中ではあまりありません。ハイチでは国情不安定が続いています。聖心会のシスターたちはわずかな人数ですが、ハイチでの活動を継続しています。今回は、ハイチの聖心会について最新の情報を伝えました。上の映像は聖心会ウェブサイトで公開されているハイチについての記事より転載しました。https://rscjinternational.org/news/update-our-sisters-haiti-january-2024

https://rscjinternational.org/news/month-anse-a-pitres

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 ハイチの聖心会について、世界の聖心会のウェブサイトの最新ニュースからお話しします。今4名のシスターが Ansé-a-Pitres という町に住んでいます。

 Ansé-a-Pitres はドミニカ共和国との国境に近い町で、人口は3万人くらいです。ハイチはカリブ海の島国で、東西に細長い形をしています。西側がハイチ、東側がドミニカに2分されていて、Ansé-a-Pitres は島の南側の海岸に位置しています。

 以前、聖心会は首都ポルトープランスの東側にある Balan という村に住んでいました。以前にもお話ししたように、ハイチの国の状況は、政治も経済も治安も非常に悪く、普通の人々の生活が安全ではありません。聖心会として、もうハイチから撤退するか、それとも残留するか真剣に考え、祈り、残ることに決めました。メキシコから新しいメンバーも加わって、4人で継続しています。しかし、Balan から Ansé-a-Pitres に移りました。Balan の人々、学校、センターから離れざるを得ませんでした。Balan は危険過ぎるからです。少しでも安定してハイチに定着できることを選びました。

 今回 Google Earth Ansé-a-Pitres がどこに位置しているか見てみました。Ansé-a-Pitras は国境間際の町でした。もし何かあったら脱出せざるを得ない覚悟なのだろうと感じさせられました。しかし、国境は現在封鎖されているので、自由に行き来することはできないそうです。買い物や食料調達にも不便だということですが、毎週金曜日には国境近くの市場に行って、果物や野菜を買っています。果物はオレンジ、バナナ、マンゴー、野菜はアボカド、キャベツ、ナス、ジャガイモ、ニンジン、トマト、カボチャ、タマネギ、ハヤトウリ、ビーツなどがあるそうです。飲料水の確保も大切です。

 仕事としては、他の修道会のシスターと協力して、幼稚園や小学校の子どもたちの教育の支援、貧しくて学校に行かれない子どものケア、近隣の家庭や仕事をもつ女性の訪問など、地域の人々の様子をまず知って、できることをしています。他の国の聖心会とのつながりも保ち、Zoom での交流もしています。太陽光発電を整えて、通信の確保も大切にしています。

 Balan の学校とも関わりを続けています。学校は維持を委託しています。しかし、昨年11月には Balan の町は窃盗団に襲われ、略奪されてしまいました。学校は閉鎖し、避難することしかできませんでした。人々は近くの村へ逃げ、子どもたちも親類の家などに逃れています。行く場所がなく、放浪している人々もいるらしいということです。窃盗団は近くの村も襲っているということで、状況は一層複雑になっています。聖心会のセンターや家、学校も侵入されてしまいました。

 シスターたちはこのような状況を知り、心を痛めつつも、クリスマスと新年を迎えられたことに感謝しています。今できることは限られていますが、ハイチに存在していることが大切と考えているのでしょう。これは世界の聖心会にとっても同じです。世界の最も困難なところを大切にしてくれる仲間がいるということはとても大事なことです。世界の弱さ、人間の弱さと共にいるという姿勢は、世界に対する聖心のスタンスです。

 皆さんもハイチについてこれからも心にとめておいてください。日本ではハイチについてのニュースは大変限られていますが、聖心に属する私たちにはハイチは大切な国です。

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