校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

1月16日中高等科朝礼 人の言葉に耳を傾けるとき

2024.01.16

 寒い朝を迎えました。能登半島の被災地ではどのようなことかと思わざるを得ません。1月17日は阪神淡路大震災の日です。それぞれの地の人々に思いを馳せると同時に、自分達の防災の意識も高めたいものです。画像は図書室の特集展示です。

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 皆さんは周りを気にすることがありますか?自分のことを考えるだけでなく、周囲に対する配慮をもつことは大事なことです。一方で、空気を読むことに気を遣いすぎると、周りを気にして自分らしさを見失うことになりかねません。周りに振り回されたり、合わせなくてはならないと思うと辛くなったります。

 ある精神科の先生の文章が目に留まりました。中学生に向けて書かれたものです。他人の言うことに振り回されるな、「あたなは変」というような言葉には耳を傾けるな、無神経に一方的に悪口として言われたようなことは聞かなくてよい。中学生の心は柔らかく、プリンのように揺れ動くもの。親や先生と考えが違う、皆と違う意見を持っている、ということがあったら、それは自分らしさというものだから大切にしてほしい。しかし、自分らしさは簡単にわかるものではなく、一生かかってもわからないかもしれない。

 中学生はそのような自分を探す旅の始まりだ。そのような時に「変」とか言われるととても苦しい。みんなと違うことを欠点と思うな。「おかしい」と言う人を信じず、「ここが良い」とほめてくれる人を信じた方が良い。「暗い」と言われても考え込むな。周りが言うことは気になるが、自分のことは自分しかわからない。これがこの方の考え方です。

 この方も大学受験に失敗した経験があり、人生をずっと模索して、60歳を過ぎてやっとわかったこともあるという、自分自身の旅を続けています。人と比べられない、自分のものが大切だということでしょう。このようなことをはっきり言ってくれる人の存在はありがたいものです。

 確かに、色々な考え方の人がいます。「1番」についての考え方を3人の人が新聞紙上で述べていました。1番目は集団の中でトップと務める方の考えです。自分自身の努力もあってのことですが、「周りに支えられて、共にある」という考え方です。2番目の方は元スポーツ選手で、自分は1番になることはできなかったが、「1番を目指せ」という考え方です。そのような気概がないと力を伸ばし、出し切ることができないと考えています。3番目の方は登山家で、基準は自分にあるという考え方です。世界で一番高い山や一番困難だと言われる山に登っても、自分は何も変わらなかった。むしろ、自分が楽しめた山が自分にとって大事だった。外の基準やランクは問題でない。このような考え方でした。私は3番目の意見に一番納得しました。

 人の言葉を聞くな、という人の意見について私は一生懸命に考えました。「人の言葉を聞くな」と言う人の意見を聞いていたことになります。つまり、誰が、どのような思いで言っているかということが問題なのでしょう。Critical friend、批判的な友人というものがあるそうです。これは相手のことを考えて、厳しいことを言ってくれる友人です。このような人の言葉は聞くべきです。

 誰が言っていることなのか、この言葉には真実があるのか、これを見分けることが大事になります。自分の中のセンサーを働かせなければなりません。そのために自分を磨く。失敗しても、私は大丈夫。そう思って自分を磨く。失敗しても、親身に助けてくれる人は必ずいる。そう思って自分を磨き続けましょう。

 (2023年12月19日毎日新聞「14歳の君へ」香山リカ氏、2024年1月16日朝日新聞「耕論 ナンバーワンじゃなくても」を参考にしました。)

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