校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

10月11日初等科朝礼 魔女の修行は普通のことから ~ 梨木香歩「西の魔女が死んだ」

2023.10.11

 梨木香歩作の「西の魔女が死んだ」はとてもおもしろく、深い作品です。しばらく前に映画化され、NHKBSでも放映されました。山の自然の中で繰り広げられる少女の成長の物語は、子どもたちの心に響くものです。そして、魔女は子どもたちにとって不思議に満ちた魅力的な存在。この物語に登場する魔女は自然の知恵に満ちた存在にも思えます。そして、普通の生活の中に知恵は生まれます。後期の始まりに、この物語を紹介しながら、いのちの不思議を子ども達と一緒に考えました。上の画像は4年生の図工の作品です。(梨木香歩「西の魔女が死んだ」新潮社)

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 梨木香歩さんが書いた「西の魔女が死んだ」というすてきな物語があります。映画にもなりましたし、テレビでも放映していました。よいお話なので、紹介してみようと思います。

 主人公は「まい」という女の子で、中学1年生なので、皆さんより少しお姉さんです。学校でちょっとうまく行かなくなって、お友だちと一緒にいることに疲れてしまったので、おばあさんの家に行くことになりました。このおばあさんが特別!おかあさんのおかあさんです。山の中の小さな家に一人で住んでいます。「こんにちは」とお迎えしてくれたおばあさんはイギリス人です。すてきな長いスカートを着ています。

 それから、まいは山の中の小さな家でおばあさんと一緒に生活することになりました。山の中の家だから、お昼のサンドイッチを作るときに、庭の畑にレタスを採りにいきます。そうしたら、レタスに大きなナメクジがいて、まいはびっくりしてしまいます。この場面を見たときに、皆さんだったらびっくりするのかな、どうかな、とちょっとおかしくなりました。次の朝、裏山に行ったら、野イチゴがたくさんなっていて、おばあさんと二人でバケツにイチゴをたくさん摘んで、庭で火をたいてイチゴジャムをたくさん作りました。それから森を散歩して、すてきなお気に入りの場所もみつけました。まいのおばあさんは自然の中で生きていて、まいも少しずつ元気になっていきました。

 この物語の題名、「西の魔女が死んだ」というのは不思議でしょう。実はこのおばあさんは魔女でした。魔女と言っても、魔法は使いません。おばあさんは、まいに、「私のおばあさんは魔女でした」と言います。そして、若い時に、海で遭難したおじいさんに遠いところから心の中で呼びかけて助けたことがあります、と教えてくれました。それで、まいはびっくりして、自分も魔女になりたい、とおばあさんに言うと、魔女になるには修行が必要です、と言われてしまいます。

 修行はどんなことだったと思いますか?早寝早起き、食事をしっかり食べて、運動する。規則正しい生活をする。「えー、そんなことなの」とまいがちょっと驚くと、おばあさんに、そういう一番普通のことができないと魔女にはなれません、と言われて、まいは頑張ることにします。それから、次に大事なことは、自分で決めて、決めたことは実行すること。魔女には意志の力、心の力が必要です、と言われてしまいます。それがしっかりしていない魔女はだんだんだめになってしまいます。それからまだ大切なことは、気持ちに引っ張り回されないこと。たとえば、いやだ、嫌いという気持ちは、自分の気持ちとして大切なものです。まいにも絶対にいやだ、というものがありました。しかし、そればかりになってしまうと、大事なことが見えなくなります。それでは良い魔女にはなれません。

 まいは頑張りました。しかし、すぐには思うようにはなりません。そして、また学校に行くようになり、おばあさんの家を離れて、魔女の修行はお休みになったようです。まいは少し忘れていたかもしれません。

 しばらくして、おばあさんは亡くなりました。死んでしまったのです。もう会えなくなりました。しかし、おばあさんは心の中で一緒にいてくれる、とまいは気づきました。そこで物語は終わりです。

 物語はこうして終わりました。しかし、まいの魔女修行はまだ続いていくようです。むしろ、新しい始まりを迎えたのかもしれません。まいは魔女になれるでしょうか。私たちも修行をしたら魔女になれるでしょうか。なりたいと思いませんか?修行をしてみたらどうでしょうか。

 

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