校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

10月4日中高等科朝礼

2022.10.04

 放送での全校朝礼を行いました。交替を間近にしている生徒会三役が、詩編19をひいて、心に残る祈りをしてくれました。神の語られることは、その声は聞こえなくても、全世界に満ちている、と詩編は伝えます。生徒に伝えたいと考えていたことと、ちょうど響き合うものでした。上の画像は校内に飾ってある聖フランシスコの「太陽の賛歌」の一部です。

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 後期始業式で朗読された聖書の言葉、出エジプト記3章のモーセが見た不思議な火、燃える柴の場面をもう一度ふり返ってみます。モーセは、初め、目に見える外の現象と思って火を見ました。しかし、実は、その火は心の中に語りかけられる神の働きだったのではないでしょうか。炎のように心を燃え立たせて、言葉となって心に語りかけられます。モーセが見たのは、心の内の目に見えない炎のことでした。だから、ずっと燃え尽きることがなく、消えることがありません。いつも心を温め、いのちを燃え立たせます。

 この経験によって、モーセの世界は、目に見えるところから、目に見えない世界にまで広がりました。私たちも皆、同じ広さと深さへと招かれています。

 10月4日は聖フランシスコの祝日です。聖フランシスコは太陽や月を見て、兄弟・姉妹と呼びました。目に見える世界を受け取って、目に見えない世界へと広がり、心で共鳴し、呼びかけているのではないでしょうか。

 皆さんに紹介したいものが一つあります。祈りにもあった、被造物の声を聴く、沈黙している声に耳を傾けるということにもつながるものです。

 みこころ祭が近づき、ソフィアバラホールに行く機会も多いでしょう。ロビー階のソファのあるスペースは左右に分かれていますが、その真ん中にある飾り台に石のオブジェがこの夏から飾ってあります。石の彫刻家絹谷幸太さんから寄贈を受けました。もう見た方もいるかもしれません。

 この作品は、皆さんの机の表面くらい大きさの平たい器です。深さは5㎝くらいです。水盤と言ってもよいですが、水は入っていません。縁は赤みがかった色で、中はグレーで真ん中に十字架が彫ってあります。石は安山岩で、真鶴から来たものだそうです。箱根火山の噴火の溶岩が固まったもので、15万年くらい前の石ということです。初めは大きな塊で、それを切り取ってから、作品をイメージして手作業で彫っていくそうです。タイトルは「内なる呼びかけ」です。

 タイトルの意味を作者に伺いました。制作は2020年のコロナ禍の時で、世界中が不安と混乱に陥り、先が見えない日々だったそうです。その時にこの石に出遭い、彫り始めたそうで、祈るような気持ちで制作したということです。石は種類によって、色や性質はわかっています。しかし、彫ってみないとわからないこともあって、彫り進むと、中から思いがけない色や模様が現れることもあるそうです。石は何万年というものすごい長い時間を経て、私たちの前にやってくる不思議さを抱えているものです。

 この石の作品を祈りながら作っているとき、何かを教えてほしいと願う気持ちも持っていらしたのでしょう。レンブラントの言葉がずっと頭にあったそうです。「世の中の闇の中でキリストが永遠の光を与える」という言葉です。きっと何か確かなものを心に得られたのでしょう。それで作品ができたのでしょう。

 この作品は目に見える姿では、とてもシンプルな形をしています。しかし、込められている思いは深いのでは、と感じさせられます。ていねいな作業の跡から訴えてくるものがあります。タイトルの「内なる呼びかけ」とは、外の声、耳に聞こえる呼びかけではありません。心の中への呼びかけを表しています。

 この作品をぜひ見てください。あなたの心にどのような呼びかけが聞こえるでしょうか。

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