校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

10月3日 中高等科後期始業式

2022.10.03

 短い区切りの期間を終え、中高等科は後期を始めました。始業式にはサードステージ生がソフィアバラホールに集まり、式後には、次期生徒会三役、もゆる会二役の立候補者による演説会も行われました。秋と共に学校生活も新たな季節を迎えます。

 先週の初等科朝礼には、インドネシアから一時帰国されている聖心会シスター足立万利子をお招きして話していただきましたが、今回は中高等科に来ていただき、インドネシアについての話をしていただきました。インドネシアの人口は日本の2倍あまりであり、人口の半数が若者であること、インドネシア憲法にある信教の自由の考え方を紹介していただき、宗教についての捉え方の違いについても学ぶ機会となりました。

 上の画像は、カトリック教会で「いのちを大切にする月間」を推進する国際的な活動 Season of Creation の今年のロゴです。今回の聖書朗読出エジプト記3章は特別な炎について語っている、今年のこの月間のための箇所です。今年度の目標と合わせて、生徒と共に考えました。生徒代表の祈りも大変心に残るもので、後期に向ける生徒の意気込みをうかがわせられました。 

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  後期が始まります。「私から私たちへ」の姿勢で進めていきましょう。学校生活の中で「私から私たち」へと、周りの人とつながり、学校の外へも「私たち」を拡げていきましょう。今の世界の状況の中で、何が本当に正しいことか、いのちを活かすことか考えなくてはなりません。様々な考え方がある中で、何が大切なことなのか、「私から私たち」を考えながらみつけましょう。

 以前の朝礼でお話しした、聖フランシスコの祝日は明日10月4日です。聖フランシスコは、あらゆる命を大切にする考え方をもった人物でした。太陽をbrother、月をsisterと呼び、あらゆる生きもの、あらゆる状況の人を大切に友としました。この祝日に向けて、カトリック教会は9月の一ヶ月を、いのちを大切にする月間としてきました。この月間の今年のロゴは、先ほどの聖書朗読にあった、旧約聖書「出エジプト記」3章の燃える柴の箇所が元になっています。柴というのは、木の茂みです。木の茂みに火が燃えているのに、木は燃え尽きないという不思議な光景をモーゼが目にします。モーゼはイスラエルの民をエジプトから脱出させるリーダーです。以前学んだことが思い出せるでしょう。

 モーゼはこの燃える柴を見て、自分のいる場所に、自分の知らない何者かの存在を感じます。これまで自分の力で生きてきたと感じていたが、そうではない。大きな力が存在する。そのことに気づく、「回心」と言っても良い、心の中の大きな変化で、人生の転機となる出来事でした。

 火は恐ろしい力をもっています。地球温暖化による森林火災では、火が山全体をものすごい勢いで焼き尽くします。すさまじい自然の力です。人間の力を超えた、破壊の力であり、死をもたらす力です。ですから、なぜそのような恐ろしいものが、今年の自然環境を守る月間のロゴになるのかと考えるかもしれません。森林火災や地球温暖化への警告なのでしょうか。それもあるかもしれません。しかし、そればかりではありません。

 モーゼがこの聖書の箇所で目にした火は、森林火災の火とは違います。燃え上がる炎のようですが、息づいている、生きている力であり、死を招く火でありません。神のいのち、生きている神の存在のありさまを表すものです。この場面の後に、モーゼは神から語りかけられ、神の名を告げられて、使命を授かります。モーゼは神が共にいてくださることを知らされ、やるべきことを告げられて、送り出されます。

 破壊や死をもたらす恐ろしい火もあります。しかし、神さまの火はいのちをいきいきと燃やす火です。私たちの心を燃え立たす火です。今の私たちも、地球環境と地球の命を守るために、神さまから呼びかけられています。あらゆるいのち、身近な人々、世界全体の人々、誰もが大切にされる世界となるように、と呼びかけられています。

 後期の学校生活が、学習も色々な活動も、私から私たちへの価値観へとつながるようにと願っています。一つひとつの教科の学習が直接に地球の命に結びつかないようでも、正しい知識と判断を目ざしているはずです。みこころ祭、クリスマスウィッシングという大きな行事が、共に生きること、平和へと開かれていくことを願っています。

 「分断」や「分裂」という言葉は、今の世界でリアリティが増しています。分断が世界全体を覆っているのが今の世界の状況ではないでしょうか。皆さんも世界の一員として、自分の学習に一生懸命であると同時に、世界がどのようになっているか意識しながら生活してください。世の中の考え方、価値観はさまざまです。おもしろいこと、流行っていること、有利なことがらもあるでしょう。しかし、その中で本当に大事なことは何か、あなたの命を本当に大切にすることは何か、あなたの心を奥深くにいきいきと感じられるものは何か、あなたの心に本当に響くことは何かを問いかけ、つかんでいってください。

 前期終業式で紹介した教皇フランシスコの祈りにあったように、「希望の担い手」になってください。希望は、見えづらい時に見極めるからこそ、力があるものです。そして、それは仲間があってこそできることです。日常生活の中で、何か小さくても、「私たち」を実感できることをつかんでください。「私たち」は、自分本位ではつかめません。分断が世界を覆っている今だからこそ、小さな「私たち」からほんものになりましょう。まわりの人を大切にする、マナーを高めるということも、心に留めてください。

 後期の学校生活を皆で作っていきましょう。

12年生は最後のしめくくりの時 11年生はリーダーシップを引き継ぐ時

9年生も中等科生活をまとめる 

今日通知表を受け取ったら、前期の結果をしっかり受けとめて、前に進む

 

お伝えすること

この2年間、コロナ禍により海外の聖心との国際交流を休止してきたが、いよいよ再開することにする

この11月にアイルランド聖心から短期留学生を受け入れ、来年3月にこの学校からも派遣する。今後、さらに機会を増やしていく  オンラインの活動も進める

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