校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

9月14日初等科朝礼 石の声を聴きながら 彫刻作品「内なる呼びかけ」

2022.09.14

 この夏、学校に石の彫刻作品が寄贈されました。ソフィアバラホールのロビー、応接スペースの一画に飾らせていただいています。作品名は「内なる呼びかけ」。石の彫刻家、絹谷幸太氏によるものです。上の画像の作品です。児童はまだ見に行く機会がありませんが、カトリック教会の「被造物の声を聞け」を考え合わせてこの作品を紹介し、「声を聞く」ということを考えてみました。

 ~~***~~

 9月になって、秋になっているはずなのに、今朝も暑さを感じます。地球はどうなっているのでしょう。今朝の新聞には、パキスタンというインドの西の隣の国では、6月から大雨が続き、国の3/1が洪水になっているという記事がありました。大変なことです。人々の生活は脅かされているし、畑や水田が被害を受けているので、これからの食料が心配です。助け合って行かなければならないし、私たちは地球全体のことを考えなくてはなりません。

 カトリック教会では、9月を地球とあらゆる生きものを大切にする季節としています。9月1日から10月6日です。なぜ10月6日までかと言えば、10月6日は聖フランシスコの祝日だからです。聖フランシスコは教皇フランシスコが名前をいただいている方で、自然や生きもの、弱い立場の人々、病気の人、困っている人などを大切にした聖人です。その聖人のお祝い日を世界全体で祈る日として、それまでの1ヶ月を地球の生きものや地球全体を大切にする、「すべてのいのちを守るための月間」にしています。地球の生きものや様々なものは全部、神さまによって作られました。今年は特に、この一ヶ月の間に、神さまの作られた色々なものの声を聞きましょう、と呼びかけられています。

 声を聞きましょう、と言われても、色々なものが人間の言葉で話しているわけではありません。良く見て、声を聞くつもりで大切に接しましょう、ということです。学校にはたくさんの木があり、虫や鳥もいます。耳を傾けて、聞いてみましょう。石や土から聞こえてくるものもあるかもしれません。

 そこで、一つ紹介したいものがあります。夏休みの間に、学校にすてきな贈り物がありました。ソフィアバラホールの入り口を入った、ソファなどがあるところの石の台においてある、ちょっと不思議な形のものです。浅い、平たい、石の器で、縁は赤い色をしていますが、内側は灰色です。真ん中に十字架のしるしがあります。この作品を作った石の彫刻家の方が学校にくださいました。

 これは大きな石を切り出して塊にしてから、あとは全部少しずつ手に道具を持って、手で彫ったものだそうです。この石は真鶴という、小田原から箱根の方へ向かう、海の近くからきました。石の名前は安山岩というのだそうです。15万年くらい前の古い石です。箱根火山が噴火したときの溶岩が固まってできた石ということです。この作品にはすてきな名前がついています。「内なる呼びかけ」と言います。石なのに、何の呼びかけだろう、と思いましたが、作家の方にお話をうかがって、教えていただきました。

 石で作品を作るときは、彫ってみないと外からではわからないものがあるそうです。掘り進んでみて、中から美しい色や模様が出てくることもあるそうです。この作品を作ったのは2020年のコロナの年だそうです。コロナの感染流行で生活が急に変わってしまい、どうなっていくのかわからない時に、石を彫り進めながら、教えてください、という祈る気持ちだったそうです。特にレンブラントという昔の画家の言葉を考えながら彫ったということです。「世の中の闇の中でキリストが永遠の光を与える」という言葉だそうです。

 このお話を伺って、これは石の声を聞きながら作られた作品なのではないか、と考えました。9月の地球の色々なものの声を聞くという季節にふさわしい作品です。皆さんもこの作品をぜひ見てください。作品の近くには説明書きもあります。この作品が置かれている台になっている石は中国から来た、もっと古い石でしょうということです。

 10月6日までの間に、地球の色々なものの声を聞きましょう。皆さんの教室からも木が見えるでしょう。木は静かでお話ししませんが、色々なことを教えてくれます。聞いてみたいと思います。

 

このページのトップへ
このページのトップへ