校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

9月1日 中高等科 夏休み明け集会

2022.09.02

 夏休みを終え、学校が再開しました。今回は9年生以上がソフィアバラホールで、7・8年生はZoomで教室から参加の形式を予定していましたが、雨の中での移動を避けて、全員教室で参加することになりました。みこころ祭実行委員会からの連絡、9年生以上には選挙管理委員会から次期生徒会3役、もゆる会2役の選挙に関する説明があり、最後に6月までカナダのHalifaxの聖心に1年間留学した生徒による留学報告会もありました。盛りだくさんな内容で、一挙に日常生活を開始しました。

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 おはようございます。今日から学校が再開します。猛暑の夏でしたが、皆さん元気でしたか?今年もコロナ感染再拡大が心配な夏となってしまいました。皆さんもご家族もどう過ごされたでしょうか。

 その心配の中でも、色々な活動ができた夏になりました。多くの皆さんから夏のお便りをいただきました。ありがとうございました。学校としては、7月に宿泊行事が再開できたことはとてもうれしいことでした。8年生の日光、9年生の奈良、11年生の長崎、12年生の黙想会と、例年と異なる内容の活動となった部分はありますが、それでも実施することができて、とても良かったと感じています。皆さんからいただいたお便りの中にも、これらの経験について書いてくださったものがたくさんありました。7年生も学校で宿題に取り組むキャンペーンを行って、中等科生として初めての夏休みを経験しました。10年生も探究ウィークで色々なことを考えることができたことでしょう。

 夏休みの部活動ができたことも良いことでした。部活動を通して、皆さんが学んだことも多かったと思います。また、SOFISは不二聖心でSDG11番の持続可能な街作りについてワークショップを行い、生徒会やその他の委員会の姉妹校オンライン交流も行われました。先日の土・日にはカトリック球技大会も開かれて、バスケットボール、バレーボール、卓球の試合も行われました。

 皆さんのお便りから、様々な活動の様子が伝わってきました。旅も少しずつ再開し、ボランティア活動やオンラインでの海外との交流、10年生の職業体験、平和や難民に関するワークショップなど、様々な経験について書いてあり、知ったり、考えたりするだけでなく、行動に移していく姿勢が多くみられました。出会いの中で、色々なことを感じたでしょう。自分の目で見たこと、心で感じたことを大切にしてください。

 平和について考えることも重要でした。ウクライナで戦争が続いている中で、平和について考えることは私には苦しいことでした。国連での核拡散防止条約についての会議がまとまらなかったこともとても残念で、世界が平和からまだ遠いということを感じさせられてしまいました。

 11年生の皆さんは長崎体験学習で被爆者の体験談をお聞きして、考えさせられた方が多かったようです。被爆者は高齢になられていますから、今回お話を伺うことができたのはとても貴重な経験でした。お話で伺った3つの約束を書いてきてくださったお便りがありました。命を大切にする、差別しない、話し合いで解決する、という3点だそうです。とても重要と感じました。

 この夏に、戦争を体験した方々の話に皆さんも色々な形で接したでしょう。普通の人々が体験した深い苦しみや戦争の不条理、ゆがみなどが明るみに出され、重く感じられました。今もウクライナや世界の他の場所で同じようなことが起こっている、と考えさせられました。日本の私たちとして何ができるでしょうか。日本はどうしたらよいのでしょうか。考えさせられることがたくさんありました。

 中高生の皆さんは、今、日本の社会の中で、「カルト」と呼ばれる、ある種の宗教が問題になっていることを知っているでしょう。

 私たちの学校もキリスト教という宗教に基づく学校です。正しく宗教をとらえることが改めて大切になっています。その宗教によって、自分の心が本当に平和になっていくのか、まわりの人とよい関わりを築く力を得ているのか、お金や目に見えるものにとらわれず、目に見えない世界の価値を本当に大切にしているのか、これらは大事なポイントです。今、大事なものを見極める目を育てることが改めて重要になっています。

 それを助けてくれる、いくつかの言葉にこの夏、出会いました。少しお話しいたします。

 一つ目は「情報」と「読書」の違いです。情報は、「これから」や未来にかかわるものとされ、一方、読書は「これまで」や過去のものと受け取られがちです。情報は広がっていくものであり、集めるもの、読書は時間をかけて読み、自分の内に収めるもので、集めることにはこだわらない。情報は拡散と蓄積、読書は消化して変容していくもの、このような違いです。わかりやすく言えば、情報は本を買っても読まずに積んでおくようなこと、読書は図書館から本を借りて、読んだらまた返却するので手元に本は残らない、このような違いだということです。長田弘という詩人が20年くらい前に書いていたことですが、私は今回改めてはっとさせられました。今の社会を生きるためには情報も読書も両方が必要です。しかし、自分を本当に育てるのはどちらなのだろう。情報だけあっても、自分事にならないと、何も生み出すものがない、変化していかない、そのようにも考えられます。

 もう一つは「好奇心」と「探求心」の違いです。好奇心は、興味関心によってどこまでも広がっていきます。しかし、自分の本当の問題とは関係ないかもしれません。ちょっとおもしろいからと、好奇心は深く考えずに、興味本位で進んでいきます。うわべだけ追求し、心が取り残されるかもしれません。一方、探究は、自分にとって大切なことに関わる、何か知りたいことがあって、それを突き詰めていくことだということです。また、この探究に行くまでの途中の段階として、求める、という字を使う探求があるかもしれないともされ、まだ自分のほんものには出遭っていないけれど、何かを求めている状態もあるだろう、ということです。これは若松英輔が語っていました。

 好奇心を持つことはとても大事なことです。好奇心は、受け身的でなく生きるために必要です。しかし、好奇心だけでは自分が深まらないでしょう。自分がいきいきとしてほんものになるためには、自分の知りたいことは何か、自分にとって大事なことは何か、フォーカスを定める必要があるでしょう。

 この好奇心と探究の区別は、情報と読書の区別と似ているように感じられます。

 今日から教室で友だちと一緒に学びます。試験も近づいてきます。その中で、学びを自分のもの、自分事としていってください。読書の姿勢と探究心をもって、自分にとって大切なものは何かを心におきながら進めてください。

 ここで皆さんにお知らせすることがあります。

 中央校舎の3階でこの夏に工事を行いました。3階には6年生の教室の隣にある2つの算数教室で、真ん中の壁をとって大きな1つの教室にしました。とてもすてきな教室になりました。

 学校は来年の春に大きな変化をします。5年生の学年を今の3クラスから4クラスにします。1学年の人数は変えず、5年生からの新入生も迎えて、1クラス30人くらいで4クラスにします。そして、その4クラスで学年を上がっていきます。これはセカンドステージの皆さんがより良い学校生活をするための変化です。学習や学年としての関わりがより深まっていくことを期待しています。

 まず5年生から変化が始まりますが、これから学校全体で新しい聖心をめざしていきます。教室の場所や建物の使いかたも変わっていくでしょう。聖マグダレナ・ソフィアの教え、イエスのみこころを大切にしながら、今の世界を生きる皆さんにふさわしい学校にしていきたいと考えています。皆さんと一緒に聖心の変化を生み出していくのが楽しみです。皆さんも楽しみにしてくだい。

 この新しいクラスにはまだ名前が決まっていません。そこで、4つ目の新しいクラスの名前のアイディアの候補を生徒の皆さんから募集します。はら、ゆり、きくにふさわしい4つ目の名前を考えてください。姉妹校の小林聖心では1学年3クラスですが、クラス名はばら、ゆり、あやめです。この名前のアイディア募集には生徒会も関わってくださることになっており、初等科3年生以上の皆さんに参加をお願いします。今後生徒会から改めて募集については説明があります。楽しみに待っていてください。どんな案が出てくるか楽しみです。

 今日の聖書はフィリピの信徒への手紙2章から読まれました。自分のことだけでなく、他人にも注意を払いなさい、同じ思いをもって、心を合わせて、と書かれています。今日からの学校生活を始めるにあたり、「私から私たちへ」の目標を生きる私たちを支えてくれる言葉です。戦争や分裂の現実がある世界の中で、「私から私たち」を目ざすことはとても重要です。そして、これは単なる言葉だけの空しい理想ではありません。イエスご自身がまず、人として私たちのところに来てくださって、十字架を引き受けてくださった、人として私たちの難しさや苦しさを生きてくださった、そうやってまずイエスが「私から私たちへ」を実行してくださった、このことを今日の聖書の言葉は教えてくれます。

 イエスをお手本として、イエスに倣いましょう、ということです。イエスがまず生きてくださったからには、私たちを助けてくださいます。そのことに信頼しましょう。

今日から、また、仲間として、聖心の一つの大きな家庭として「私から私たちへ」の心で進んでいきましょう。温かい言葉が皆さんの中から聞こえ、違いを受けとめ合って、助け合っていく、誰かを傷つけたり、取り残したりしない、そのような毎日になることを願っています。

 最後に、学校生活を健康で継続していくことができるよう、感染症対策には気を引き締めましょう。皆さんには学校でできる限り様々な活動を経験してほしいと考えています。期末試験、みこころ祭が予定とおり実施できるよう、皆で注意して進めましょう。手を洗う、お弁当の黙食、密にならないなどを心がけましょう。そして、誰が感染しても不思議でない状況であることをわきまえて、お互いに配慮し合いましょう。

 実り多い毎日となるよう、皆さんのために祈ります。

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