校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

5月24日中高等科朝礼 創立者の求めた多様性の中の「一つの心、一つの魂」

2022.05.28

 5月25日の創立者祝日にはステージごとに講演会を行い、今年はジェンダーについて学びます。ジェンダーについては様々な視点が求められます。その一つは、SDGs5番の課題に「ジェンダー平等を実現しよう」とあるように、世界のジェンダー不平等の現実を見て、女性と女子に対して公平な世界になるように働きかける側面です。女性が教育や仕事、社会の中での立場において、役割分担の不公平なく、自由に学び、行動できること、一人の人間として評価されることを求めます。日本の政治では男性が目立ちますが、世界のレベルでは女性の首相も多く見られ、北欧のスウェーデン、フィンランド、アイスランド、またニュージーランドでも活躍しています。ニュージーランドのアーダーン首相についての本を図書館から借りて読んでいる方に出会い、うれしく感じました。

 ジェンダーの問題は一人ひとり自分の生き方、自己認識の問題につながります。講演会では各自がしっかり学ぶことを期待しています。

 ジェンダーの問題は多様性の問いでもあります。聖マグダレナ・ソフィアにとって多様性とはどのようなことであったか考えてみました。ジェンダーについて当時の社会においてはどのようにとらえられていたでしょうか。女子の知性に確信をもって、女子が学ぶことを追求したという点は、その当時において新しい考え方だったでしょう。一人ひとりの考える力を伸ばし、その結果として生じる異なる意見を受けとめる姿勢を持っていました。

 国際性は創立者の当時から聖心には重要とされていました。フランスだけでなく、世界へと聖心は広がっていきました。なぜなら、イエスのみこころは普遍的なものとして、世界の誰にも大切なもの、色々な人に知ってほしいという願いを持ったからです。世界各地の多様な文化、社会状況の中へと聖心は広がっていきながら、多様性の中で、聖心として共通性、普遍性をイエスのみこころに求めていました。

 その一つの例はウクライナ、リヴィウの聖心があげられます。19世紀にウクライナ、リヴィウの町にはウクライナだけでなく、ポーランド、リトアニア、アルメニア、ドイツ、オーストリア、ハンガリー、スコットランド、トルコ、ユダヤ人と多様な人々が住んでいました。ウクライナの国自体もポーランド、オーストリア、ロシア、ドイツと様々な国の領土となった歴史をもっています。1840年代に聖心の学校が創立された時には、多様性を重んじる学校として、多様な国籍、宗教、社会階層の生徒を受け入れていたと言うことです。

 1818年に聖心会はフィリピン・デュシェーンによって北米大陸にもたらされています。そして、1843年頃には、ヨーロッパでも、イタリア、スイス、ベルギー、アイルランド、イギリス、アルジェリア、オーストリア、カタロニア、ウェストファリア、チロル、オランダ、ポーランド、アメリカ大陸ではカナダ、南米のカリブ海へと聖心は広がっていました。それぞれの地で政府の方針も異なり、革命が起こることもありました。そのような状況の中で国際性と多様性を生きながら、イエスのみこころの教えを共通項としていました。

 聖マグダレナ・ソフィアが大切にしたことは「一つの心、一つの魂  Cor Unum, Anima Una. 」です。これを現実の難しさを通して求めました。聖マグダレナ・ソフィア自身、会員のシスターたちの考え方の違いに悩まされました。大切にしたい仲間であっても、意見が異なり、対立することもありました。しかし、イエスのみこころを目ざして、あきらめず、逃げずに努力をしていました。多様性の中で一致を求める姿勢でした。

 講演会ではジェンダーについて考えながら、皆さんが多様性を受けとめる姿勢を学ぶことを期待しています。

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