校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

4月7日中等科 入学式・始業式 「希望の作り手になる 変容を生きる ~私から私たちへ~ Towards an ever wider We.」

2022.04.07

 中等科は新入生の保護者も迎えて入学式・始業式を行いました。8・9年生は動画配信で各教室で参加しました。中等科生の自由について考えました。ウクライナと聖心の関わりについても紹介しています。上の画像はウクライナのリビウの町に1945年まであった聖心の学校の画像です。聖心会のWebサイトから転載しています。リビウの聖心についても記事を読むことができます。以下をご参照ください。https://rscj.org/news/the-society-of-the-sacred-hearts-history-in-ukraine?bbeml=tp-I3p2Igb6L02cYsIOZKZElw.j9gKmVdH-QUaHm4vr4k2mXg.rdhQVTPguLEeKlBqWSsie5A.lvg4FXeTFuU2349M40s1yXg

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 7年生の皆さん、中等科入学おめでとうございます。8年、9年の皆さん、進級おめでとうございます。皆さん一人ひとりにとって、今学年が実り多いものになることを心から願っています。

 7年生の皆さんは、学年カラーの白を受け継ぎます。白は基本の色です。なくてはならない色です。そして、可能性に満ちた色です。今日から始まる中高等科の6年間に、学年の仲間と共に学習を進め、色々な経験を積み、白の学年としての個性的なカラーを深めていってください。

 今年の学校の目標は「希望の作り手になる 変容を生きる ~私から私たちへ~ Towards an ever wider We」です。今学年も希望をもって生活し、自ら希望を作る人になっていきましょう。コロナ禍3年目となる今学年です。これまでの経験を活かして、感染予防に気をつけながらも色々な活動ができるように皆さんのやる気と工夫を期待しますし、私たちも皆さんにできる限り多くの活動の機会を作れるようにしていきます。予定通り、期待通りにならないこともあるかもしれません。しかし、その時こそ新しいやり方を考える時、新しいことにチャレンジするチャンスです。私たちはそのチャレンジを通して、新しい発想を得て変化を経験し、その変化の経験を通して、もし何かを深く実感するところがあれば、そのときに私たちは変容されていきます。変容には神様が共にいてくださいます。そのような深く実感する瞬間が一つでも多く体験できる日々となることを期待しましょう。

 「私から私たちへ」は教皇フランシスコの言葉です。「私」だけではなく、「私たち」となっていくことが大切です。特に今、ウクライナで平和が脅かされているときに、「私たち」という捉え方は大切です。英語の説明もつけました。Towards an ever wider We ということは、「私たち We」はどんどん拡大していくということです。私たちの仲間や友人がどんどん増えていく、多様性豊かな集団になっていくということです。「私たち」の捉え方が、身近ないつもの仲の良い友だちから、心を開いて新たな人々、色々な人を受け入れていくように、大きなものへと変わっていく、変容していくことをめざすということです。苦しんでいるウクライナのことを本当に心配して支援するとき、「私から私たち」の心になっていくでしょう。ウクライナから逃れて来る人々を受け入れているウクライナの隣の国の人々は、私たちの範囲をどんどん広げている人たちです。

 3月の終業式で、ポーランドの聖心のシスターたちがウクライナから逃れてくる人々の支援活動に参加していることをお話ししましたが、ハンガリーの聖心のシスターたちも協力しています。聖心の学校はウクライナと歴史的にも関係があることがわかりました。聖マグダレナ・ソフィアの時代1841年にウクライナの北西部にあるリビウの町に聖心の学校が創立されています。そして1945年にウクライナの国がソ連に支配されるまでその学校は続きました。世界の聖心では今のウクライナの危機の時に、ウクライナでの聖心の歴史を思い出してウクライナを大切にしようとしています。ローマの聖心会本部では、ウクライナを助けているポーランドとハンガリーを支援するための募金活動を始めました。私たちもできることを探して協力しましょう。

 中等科生になった7年生の皆さんには、聖心での学校生活を通して希望を作る人、平和を大切にする人になることを期待します。8年生・9年生の皆さんも意識を高めましょう。そのためにも、7年生の皆さんに向けて聖心の中等科生として身につけてほしいことをこれからお話しします。それは、自由とは何か、ということです。中等科生になると自由なことが増える、そう思って期待していることでしょう。その通りです。自分で自由に決めて良いことが増えていきます。わかりやすいところでは、ペンケースやその中身、授業で使うノートの種類、飲み物の自動販売機の利用、クラブ活動に参加するかどうか、たとえば、このようなことは自分で考えて選ぶことができます。とても楽しみなことです。皆さんがもう自分で正しく選ぶ力をつけているという信頼の上の自由です。この自由を大切に使ってください。

 自分で選ぶということは、責任があるということです。何かを選ぶときには、良いものを選びたいと皆さん思うでしょう。選択に失敗したくはありません。よい結果を得たいものです。そのためにどうしますか?選ぶ前に良く調べ、良く知らなくてはなりません。そのためには説明をしっかり理解する、人の話をしっかり聞く、ということが必要になります。説明をしっかり聞いていないと良いものを選ぶことはできません。選ぶ基準や目的など、よく理解する必要があります。自分の思い込みではよい選択ができません。

 また、何かを選ぶと、選んだものを良いものとするためにも責任が生じてきます。たとえば、何かのクラブ活動を選んだら、そのクラブのルールや決まり事を守るという責任を引き受けることになります。自分勝手な行動や気ままな関わりはできません。

 そして、学校生活ではやり方は自分で考えて決める自由があっても、必ずやらなければならないこと、生徒として責任をもってやらなければならないこともたくさんあります。やっても、やらなくてもよいということではありません。期限の決まっている提出物などはこれに入ります。時間の使いかたもそうでしょう。一人ひとり自由に時間の使い方を決めることができますが、誰にも1日は24時間で、その中で工夫して、やるべきことをやっていく責任とやり方を決める大きな自由があります。その自由の中で、皆さんは一人ひとり自分の個性を発揮していきます。とても楽しみなことです。

 何か一つの集団に属することからも自由と責任が生まれます。中等科生としての自由を大いに楽しみながら、聖心の生徒として聖心という集団の大切にしているものを守っていく、という責任が生じます。聖心生はこうありたい、という皆で大切にしていくものが、学校のルールや決まりという形になっています。ルールは皆さんを縛るものではありません。皆さんが共同体全体でより良い学校生活を送れるように、皆で大切にしていくものです。ルールを守らなければという責任は、自分の大事な仲間を大切にしたい、だからルールを守っていきたいという自由な気持ちとつながっているものです。「私から私たちへ」の心がルールの中にもみつけられます。

 初等科では、このようにやりましょう、と決められたやり方を教えていただきました。しかし、中等科では、やるべきことはこれです。やり方は自分で考えてください。という場合が多くなります。そこに皆さんの自由と責任が磨かれるチャンスがあります。

 これから始まる中等科生活で自由の意味を深めていってください。自由はとても大切です。ほんものの自由は人の心を広げます。「私から私たちへ」となっていくのも自由な心です。8年生、9年生の皆さんも自由の意味をもう一度考えながら、自分を高めていきましょう。今学年が実り豊かなものとなることを期待しています。

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