校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

3月17日 中高等科修了式

2022.03.19

 中高等科の修了式はオンライン配信で行いました。学年末にあたり、校長の話の後には退職される先生方からの挨拶が続きます。また、今回は特別に模擬国連サークルの生徒がウクライナの状況についてプレゼンテーションを行い、もゆる会と協力してウクライナ支援のための募金活動を行いました。寄付金はユニセフに送りました。上の画像は模擬国連サークルのプレゼンテーション資料です。

 ~~***~~

 今学年最後の日を迎えました。

 今回は聖書朗読についてまず考えてみます。ルカ福音書6章46節にある「家と土台」のたとえ話でした。ここでイエスは自分の言葉を聞いても実行しない人に向けて、言葉を聞いて実行する人としない人を対比して語っています。言葉を聞くだけで実行しない人は、洪水で流される家にたとえられています。これは有名なたとえ話ですから、今までにも聞いたことがあるでしょう。この話は今年度の学校目標「希望の作り手になる 変化を生み出す 変容を生きる」にも関係しています。なぜ?どのようにでしょうか?

 イエスの言葉を聞いても実行しない人は、変化しない人です。なぜなら、イエスの言葉を聞いても、考え方も行動を変えないからです。一方、イエスの言葉を聞いて実行する人は、変化した人です。変化を経験した人は、土台がしっかりして頑丈な家にたとえられます。何があっても揺るがない強さがあります。この変化とは何でしょうか。それはイエスとの繋がりをもつ、と言うことです。イエスの言葉を聞いて実行するということは、独りよがりでない生き方をするということです。イエスと共にいることです。これはとても重要なことです。

 私たちはこの1年間、継続するコロナ禍の中での学校生活を送り、色々なことを学び、今学年を終了しようとしています。部活動や行事など思う存分にできないところもありましたが 創意工夫で新たなものを創り出してもきました。世界の聖心とのオンライン交流も一つの例です。アメリカの聖心を中心としたSacred Heart Live、オーストラリアのシドニーの聖心を中心とするグループでの活動があり、ポーランドの聖心との交流もありました。世界の聖心と交流できたことは意味深いことでした。

 皆さんの中ではどのような変化・変容があったでしょうか。学ぶことは人に変容をもたらします。知性の働きは心にもつながるものです。正しく学ぶことでものの見方が広がります。ほんものを見分ける力を持つことは非常に重要です。なぜなら残念ながら世界にはフェイクなもの、あいまいな偏った情報も溢れているからです。

 学校の正門も改修により新しくなりました。色が塗り替えられ、腐食した部分は新しい木材のパーツで補われて、全体の印象がはっきりしたものとなりました。良く見ると、古い木の部分も残していることがわかります。伝統を明確な形で示しながら、古いものも残しています。聖心の正門は独特な形をしています。その門を毎日くぐることで、無意識のうちにも、私たちに聖心の心が形作られていきます。

 今、お話ししたこれらは良い変化です。一方、全く望ましくない変化というものも残念ながらあります。ウクライナの情勢は世界全体にとって悪い変化です。世界の多くの国が心を痛め、平和を願っています。一昨年コロナウイルスのパンデミックが発生した時に、世界全体が協調しなければ対応できないと世界が感じました。気候変動についても世界全体が協力しなければ解決できない問題です。SDGsも世界全体で取り組む課題です。世界全体で動かなければ解決できないという新たな視点に立ったはずだったのに、世界は簡単にそのようにはなれないという現実の厳しさに今、直面しています。

 日本はウクライナから遠く離れています。私たちにできることは限られているかもしれませんが、できることはあります。正しい知識をもち、正しい情報を判断することができます。色々な支援団体が活動しています。ウクライナの南にあるモルドバに入り、現地で支援をしている日本の団体もあります。ポーランドの聖心のシスターたちはウクライナからの難民を受け入れているそうです。母親と4人の子どもたちが次の目的地へと向かうまでの短期間の滞在を提供しています。きっと話を聞いたり、一緒に祈ったりもしているでしょう。

 知ること、そして、行動すること。募金活動に寄付することも一つです。多くの皆さんが協力するでしょう。今後、ポーランドの聖心にも支援ができたらと考えています。

 戦争に苦しむ一方で、平和を求める新しい動きも生まれています。15日にロシアのテレビ放送のニュースの途中で、平和のメッセージをプラカードを持って割り込んで発信した女性がいました。ニュースに話題になりました。皆さんも知っているでしょう。とても驚かされました。大変な勇気のいる行動です。身の危険があるのではないかと心配されます。実際、警察に逮捕され、罰金を科されたということです。常識では考えられない方法でこの方は行動を起こしました。この方にとって今できる最善のことだったのでしょう。自分の信念を表明する行動でした。

 オンラインを活用することは、今回の修了式もそうであるように、私たちの日常生活の一部となってきました。ウクライナの大統領はカナダやアメリカの議会に向けてオンラインで演説を行い、平和や支援を訴えています。日本に対しても同じような機会を設ける呼びかけがあったと聞いています。ローマ教皇フランシスコも平和のメッセージを発信し、2人の枢機卿をウクライナに派遣しようとしています。一人はポーランドから、もう一人はハンガリーからウクライナへの入国を試みています。この枢機卿たちは教皇フランシスコの代わりとしてウクライナの人々と共にいようとしています。色々な動きが生まれています。

 このような状況の中で、私たち一人ひとり何が正しいことなのか見極めていかなければなりません。正しく学ぶことは平和を作るちからです。学期が終わり、一息ついている今、世界で起こっていることに注目し、正しく知り、行動することを目ざしましょう。祈ることも大事です。そして、今ここにある平和、恵まれたものを感謝して楽しむことも大事なことです。

 自分の課題にもしっかり向き合いましょう。平和は一人ひとりが作り出すもので、自分と身近なまわりの人の関係から始まります。平和は多様性の中に生まれるものです。自分の考えを主張するだけでは平和は生まれません。一方的、自分本位はあり方は実りがないものです。好きな人も嫌いな人もいるという現実の中で私たちは生きています。その中で「私から私たちへ」を生きようとすることに意味があります。

 初等科では、学期末にいつも「ありがとう、ごめんなさい、どうぞ」の3つの言葉を大切にしましょうと話しています。子どもたちに向けての話ですが、今の状況において、私自身にも皆さんにもこれらの3つの言葉は意味あるものと改めて感じます。今日は学年の最後の日です。クラスの方々に「ありがとう、ごめんなさい、どうぞ」の心で声をかけて終わってください。「私から私たちへ」の姿勢で関わりを作っていきましょう。

 どうぞ充実した春休みを過ごしてください。4月からの新しい学年に期待しながら、備えてください。

 一つ皆さんにお知らせします。サードステージの留学についての規定を4月から変えていくことにしました。一年間の留学については、カナダのハリファックスの聖心姉妹校との間に設けていますが、今後は姉妹校以外の学校への一年間留学についても、帰国後に元の学年に戻れる形での可能性を広げていくことにします。詳しくは新学年にお知らせしますが、学校として皆さんのグローバルな活動を支え、活性化していきたいと考えていることをお伝えしておきます。

 今こそ、ほんもののグローバルマインドが問われています。日本にいてもグローバルな考え方が求められます。

 最後に、今回朗読された聖書の言葉を思い起こしておきましょう。変化しない人はもろいものです。自分の考えを変えないということは強さとも限りません。イエスと共に変化する人は、ほんものの強さを持っています。芯をゆるぎなく持ちながら、現実を受けとめて変化していきます。イエスと共に変化する強さを心に留めておきましょう。

 

このページのトップへ
このページのトップへ