校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

1月13日中高等科朝礼 出会いから広がる世界 「時の響きて」 ハンセン病についての一冊の絵本

2022.01.15

 「時の響きて」というハンセン病とその差別についての絵本に出会いました。出会いによって私たちの視野や世界は拡げられます。「時の響きて」は天台宗の関係の方が書かれた絵本で、販売されているものではありませんが、ご縁があって手にすることができました。生徒に話すことはしませんでしたが、様々な方の出会いを通して私の手元に贈られて来たものです。ちょうどこの日は、信徒の生徒のための活動に、聖心会員で長くインドネシアで活動されたシスター井上を招いていましたので、その出会いからも学んでほしいという意味も込めて話しました。

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 私たちは毎日様々なことがらに接しながら生活しています。出会いは意味深いものです。何かたった一つでも、人やものごと、本との出会いが、人の生き方を変える力を持つことがあります。一つの出会いが次のものを招いていき、どんどん世界が拡がっていきます。最近、一冊の絵本と出会いました。「時の響きて」という絵本です。

 去年の5月、創立者の祝日に複数の映画の中から各自が選んで鑑賞するという行事を行いました。その一つに「あん」がありました。樹木希林が元ハンセン病患者の役を演じていました。この映画を通して、私たちはハンセン病とその差別の問題について知り、学ぶことができました。そして、秋のみこころ祭では、SOFIS委員会が展示発表で、ハンセン病差別と現在の新型コロナウイルス感染症に対する差別との関連を調べることにつながりました。

 聖心は、学校の歴史の初めの頃からハンセン病への支援をしてきました。この歴史は私たちも大切に受け継がなくてはならないものです。今年度の「塔」にこのことについて文章を書きましたので、読んでいただきたいと思います。12年生は、宗教の授業でハンセン病について学んでいます。また、奉仕活動の一つとして、ハンセン病元患者の方々のために朗読ボランティアに取り組んでいる方もいます。また、2月の卒業前の特別プログラム期間に国立ハンセン病資料館に見学にいく計画もあります。このようにして、一つの出会いが拡がっていきます。

 出会いは私のところでも拡がっています。以前NHKのEテレでハンセン病の元患者の方が取り上げられた番組があり、とてもパワフルな方だと心を打たれたことがありました。山内きみ江さんという方です。これは一つの出会いでした。さて、あるとき不二聖心の保護者であった方から手紙をいただきました。その方はペットの犬を連れて高齢者施設などを訪問するボランティアをなさっていましたが、あるときハンセン病元患者の方の施設を訪問する機会があり、そこでハンセン病元患者さんと出会われます。不二聖心では生徒がハンセン病元患者の方々の施設でのボランティアを行っていますが、娘さんが卒業してから、お母さんが自分自身のボランティアでハンセン病の問題と出遭い、差別という大きな問題に気づき、自分ごととしてハンセン病差別の問題への関わりを深めていらっしゃる方です。この方は、出会いを通して視野を拡げ、世界を拡げています。元患者の方々、差別の問題のために活動している方々との出会いを拡げ、私にも色々なことを知らせてくださいます。「時の響きて」の絵本もこの方が送ってくださいました。そして、Eテレで取り上げられていた元患者さんの山内きみ江さんともお知り合いで、私ともつなげてくださり、きみ江さんにお手紙を差し上げるということもありました。

 宗教活動では、毎年1月の回に色々な方をお招きして講演会を行っています。今回はこの学校の以前の校長先生で、インドネシアで長く活動されたシスター井上をお招きしています。シスター井上は、様々な出会いを生き、出会いに生かされた方です。シスター井上に出会って人生が変わっていった人もいます。今回はそのようなインドネシアでのご経験を話していただきます。宗教活動に属していない方でも、時間がある方はどうぞ参加してください。皆さんもよい出会いを体験してください。

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