校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

12月6・7日セカンド、サードステージ ゆりの行列 マリア様とヨセフ様のゆりの花

2021.12.07

 12月8日のマリアの無原罪の祝日を、聖心では伝統的にゆりの行列を行ってお祝いしています。マリアの美しい心に倣うことができるように、ゆりの花に祈りを託して捧げます。今年は感染症対策のために、セカンドステージ、サードステージは2学年ずつ聖堂とソフィアバラホールに分かれて、2日にわたって行い、学年の組み合わせは、6年と12年、5年と8年、7年と11年、9年と10年という日頃にはないものとなりました。集まって静けさを分かち合い、祈ることができることは大きな喜びです。ファーストステージのゆりの行列は8日に行います。

 今年初等科では、教皇フランシスコが呼びかけた「ヨセフ年」に応えるプラクティス「勇気をもって一歩ふみ出す」を行っています。それにちなみ、ゆりの花にはマリアの心を表すだけではなくヨセフの心も表す伝統もあることをあげ、ヨセフの心のゆりの花について児童・生徒と共に考えました。

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 今回、2学年ずつ2日間にわたり、聖堂とソフィアバラホールに分かれての形ではあっても、2学年が集まってゆりの行列を行うことができることはとてもうれしいことです。

 皆さんはゆりの花をお捧げします。お捧げするときには、ご自分の心をゆりの花に託して祈りながら、捧げるでしょう。ゆりの花は マリア様の美しい心の象徴です。ゆりの花はマリア様の花です。感ずべき御母の絵にも美しい心を表すものとして描かれています。聖書朗読にあるように、マリア様の心は天使が告げる神様の言葉を受け入れる澄んだ心です。それをゆりの花に託しています。

 今年、初等科ではクリスマスに向けてのプラクティスに、イエスの父であるヨセフ様を取り上げ、ヨセフ様に倣って勇気を出して一歩を踏み出すことを目指しています。教皇フランシスコは去年の12月から1年間をヨセフ年として、ヨセフ様に倣うことを呼びかけています。ヨセフ様がマリア様を支える存在となったように、私たちも勇気をもって一歩を踏み出し、人に手を差し伸べるようにと呼びかけました。初等科のプラクティスはこの呼びかけを受けています。そこで、今回はヨセフ様とゆりの花について考えてみたいと思います。

 ヨセフ様というのは聖書の中で隠れた存在です。マリア様も隠れた存在ですが、それでも私たちには親しい方です。一方、ヨセフ様はマタイによる福音書の最初にしか登場しません。ヨセフ様はマリア様と結婚の約束をしていますが、マリア様から、天使のお告げを受けて神様の恵みの力によって子どもを産み、イエスの母になるということを聞きます。ヨセフ様はマリア様からこのことを聞いた時本当に驚いたでしょう。常識では考えられないことですから、ヨセフ様はとても苦しんだでしょう。ヨセフ様はマリア様を信頼したい、でも、一体何が起こっているのだろう?ヨセフ様は受けとめがたい思いだったでしょう。聖書の中では、ヨセフ様は夢を見て、その中で天使からマリア様の言葉を信じるように告げられます。それで、ヨセフ様はマリア様の言葉を信じて、子どもの父親となる決意をします。マリア様も神さまの言葉を信頼して受け入れましたが、ヨセフ様も勇気をもってマリア様を信頼し、神さまの言葉を受け入れました。マリア様は母として自分の身体が変化していくことを実感することができましたが、ヨセフ様はマリア様を通して信じるしかありません。ヨセフ様はマリア様のように自分の身体で神さまの恵みを実感することはできませんでしたが、母となっていくマリア様を見守り、支える存在となることを決意します。ヨセフ様の信じる心、神さまの言葉を受け入れる心の美しさも、マリア様と同じようにとても深く、澄み切っています。

 学校の聖堂を思い出してみましょう。祭壇の上の大きな十字架の両脇に、左側にマリア像、右側にヨセフ像があります。ヨセフ様は、聖書の中に「イエスは大工の子ではないか」という言葉があるので、大工だったのではないかと考えられています。大工と言っても、家を建てたりする職人のような仕事をする人だったと考えられています。学校のヨゼフ像は大工道具をもった姿になっています。しかし、ヨセフ様には別の描き方もあり、白いゆりの花をもった姿で描かれることがあります。ヨセフ様は神さまからイエスの父として選ばれた人として、その純粋な心、誠実さのために、持っていた杖からゆりの花が咲き出たという伝説があるのです。杖から花が咲き出るとはとても不思議なことですが、それがヨセフ様の受けた恵みの大きさ、ヨセフ様の心の美しさを表しています。ですから、ゆりの花はマリア様だけの花ではありません。ヨセフ様の美しい、神さまを信頼する心を表す花でもあります。

 ヨセフ様はマリア様とイエスを支える、目立たない存在でした。しかし、とても力強い、なくてはならない存在です。神さまの言葉を受け入れて、地道に行動します。誠実で信頼できます。人からの評価にかかわらず、必要なことをきちんと果たします。イエスの父という、誰も経験したことのない役割を臨機応変にクリエィティブに果たしています。ヨセフ様の心には決断する勇気もありました。

 今回のゆりの行列では、マリア様と共にヨセフ様の心のこともゆりの花に託して祈りましょう。マリア様のように神様の言葉を受け入れて育てていく心、そして、ヨセフ様のように神様を信頼し、人を支えていく行動をしていく心、これらの二つをいただくよう祈りましょう。

 そして、この場で一緒に祈っている学年同士、お互いのためにも祈りましょう。ゆりの行列は、これからの1年間イエスに向かって生きていく力をいただくためのものです。今回祈り、いただいた恵みを大切に育て、毎日実行していくことができるよう、私は皆さんのためにお祈りします。

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