校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

10月6日初等科朝礼 生きものと共に生きるー聖フランシスコ

2021.10.06

 札幌市内でヒグマが出没した事件があり、それに取材したテレビ番組を見る機会がありました。そこで語られていたことを紹介しつつ、動物と共に生きることの難しさや意味をアッシジの聖フランシスコを思いながら考えました。

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 9月に北海道の札幌で事件がありました。札幌は北海道で一番大きな都市で、札幌聖心もあります。その札幌市の町の中にクマが現れました。人の住んでいる家の近くだったし、学校も近くにあり、朝の登校の時刻でもあったのでとても驚かれました。クマが出会った人に怪我もさせてしまうということも起きました。とても心配されましたが、安全に保護されました。このごろ山の近くの町では、クマが人の住んでいるところに出てくるようになってきて心配されていましたが、まさか札幌市のような大きな町にまでクマが出てくるとは、と多くの人が驚きました。

 どうしてこのようなことになったのだろう?調べたり、考えたりして、いろいろなことがわかってきました。これまで人間の事を中心に考えて、便利なように道路を通したり、町作りをしたりして来ました。森の木を切って、人間の住む場所を作ってきました。しかし、それはクマの住んでいたところに人間が入っていったということになります。また、札幌の町は美しい町作りのために、町のまわりに木を植えて、美しい林を作ったそうです。そして、田や畑のために用水路も作りました。そのような緑の林や用水路の小川は人間にもすてきな場所ですが、クマにも住みやすい場所となっていったようです。そのようなことで、クマが少しずつ人間のところに出てくるということが起きたのではないか。このようなことらしい、とだんだん分かってきました。これまでは人間のことだけを考えて町を造ってきたが、これからは動物のことも考えていかなければ、と考えるようになったということです。

 これを知って、私はアッシジの聖フランシスコのことを考えました。アッシジの聖フランシスコはこれまでにお話ししてきたように、生きものや自然を大切にした聖人です。鳥も動物も大事にしました。私の部屋には、聖フランシスコが描かれた飾りがあります。その絵では、聖フランシスコがオオカミに向かって話しかけています。聖フランシスコの時代にはオオカミが住んでいて、北海道のクマのように、怖い動物としてとても恐れられていました。危険なこともありました。そのオオカミが町に現れて、皆とても困り、怖いし危険だから退治してやっつけよう、ということになりました。しかし、聖フランシスコはそのオオカミにやさしく、話しかけたということです。「あなたも神様に創られました。あなたも神様に大切にされている存在です」と話し、祈ってあげました。すると、そのオオカミは荒々しかったのにおとなしくなって、聖フランシスコになついてしまったそうです。それ以来、オオカミの危険はなくなり、人々は安心して生活することができるようになったし、オオカミに対して乱暴なことをしようとする人もいなくなりました。これが絵に描かれている出来事です。

 聖フランシスコは太陽を兄弟、月や星を姉妹として、地球上の何もかも神様に創られたもので、大切な仲間と考えていました。小鳥も神様に創られたものとして、小鳥たちに神様のことをお話ししているエピソードが描かれた絵もあります。10月4日は聖フランシスコの祝日でした。聖フランシスコは祈りによって、生きものと友だちになりました。今の私たちは祈りもしますが、色々なことを調べたり、科学者の話を聞いたり、町作りの専門家の意見を聞いたりしながら、知恵を出し合って考えます。いろいろ調べて、考えてみることはとても大事です。そのときに、心の真ん中に神様と祈りを大切において考えることが大事です。聖フランシスコと一緒に、あらゆる生きものや地球を大事にしていきましょう。

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