校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

9月24日中高等科 前期終業式

2021.09.25

 中高等科は前期期末試験を経て、前期の終了となりました。コロナ禍においての学校生活でしたが、それぞれに学び・活動できたことに感謝をもってしめくくりました。今回もZoomによる動画配信で行いました。

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 前期の終わりを迎えました。コロナ禍2年目となった今年度、特に夏休み以後は感染防止に気を付けながら、色々な制限があった中でも皆で今日まで進んでくることができました。ふり返ってみると、期待された、理想的な形ではなかったかもしれませんが、私たちは学校生活でも、学校の外でも多くの経験を積んでくることができました。今回も画面越しの形であり、また、いつもマスクをしての生活が続いていることは残念なことだと感じますが、それでも皆さんの姿からは大きな活気がうかがわれて、いつもうれしく感じてきました。コロナの感染流行は厳しいものがありましたし、今でも気を緩めることはできません。これまで学校が継続できたことに感謝しましょう。皆さんのご家族の支えなしにはできなかったことと感謝しています。

 前期の終わりにあたり、今年度の目標を改めて考えてみましょう。皆さんは、何かを変えることができましたか?自分の中で変化を感じることが何かありますか?皆さんの中には、この前期の間にとてもうれしい経験をした方もあると思いますが、同時に辛い体験や苦しい体験をした方もあると思います。どちらも意味深いことです。しっかり受けとめましょう。どのような経験を通しても、学ぶことができ、私たちは変化していきます。辛い経験、悲しい経験もしっかり受けとめることで、私たちは前向きないのちを活かす変化としていくことができます。

 皆さんは中高生として、毎日新しいことに出遭っています。コロナウイルスの出現によって、世界は急激に変化し、これまでの予測が成り立たない状況に直面しているとも言われます。このような状況に際して大人は予測が成り立たないと考えますが、成長過程の皆さんにとっては毎日が新しい学びです。皆さんも予定を立てたり、計画したりしていますが、本来、新しいことを学んでいくことは変化することで、予測を打ち破っていくことです。今回の期末試験の答案返却で、皆さんは教科の学習の成果を手にしました。教科の学習は皆さんの学びの中で重要な位置を占めています。正確な知識や筋道のたった考え方を身に着けることはとても重要です。それは皆さんの生きる力の基本を成しています。学習の目的は、ものごとを関連づけ、しっかりとらえる力をつけることです。そうして学習は皆さんの知性を変化させ、磨いていきます。学ぼうと努力したことは、皆さんの心を変化させたでしょう。そして、身に着けたことを活かして、身の回りの生活を変化させたり、委員会の活動を通して学校生活を変化させたり、もっと大きな視野で世界を変えていくことにも関わってきたでしょう。生徒会が企画した「服のチカラプロジェクト」のために、たくさんの古着が持ち寄られましたが、それは世界を変えるための一歩です。

 今ニューヨークでは国連総会が開かれています。それに合わせてSDGs Action Zoneというものも開催されていて、SDGsに関して世界の様々な立場の人の発言をオンライン上で聞くことができます。グティエレス国連事務総長がそのオープニングの中で、コロナウイルス禍の厳しい世界の状況において、SDGsを目標年の2030年に達成することはできるでしょうか、それについて楽観的ですか、悲観的ですか、と問われて、そのどちらでもない、今必要なことは現実に直面することだ、やるべきことをすることが重要、と言っていました。目の前の出来事に直面し、その解決を求めて努力するとき道が開けます。小さな一歩を忍耐強く続けていくと、自ずと光に向けて、希望に向けて進んでいくことになります。私たちもこの学校でSDGsについて意識をもってきました。皆さんもSDGs Action Zone をぜひ見てみてください。帰宅したらインターネットで検索してみましょう。2日目はジェンダーがテーマでした。ニュージーランドの女性首相アーダンのスピーチを聞くこともできます。世界がどのようにSDGsに取り組もうとしているか知り、私たちも身近なところから一つひとつの事柄に直面して、進んでいきたいと思います。

 SDGsは世界全体の大きなテーマです。しかし、私たちは身近なこと、自分ごととして取り組むことが大切と感じています。22日にはセカンドステージ5年生から8年生対象に、卒業生を招いての特別の講演会がありました。JICAで国際協力の仕事に就いている増田京美さんをスピーカーに迎えました。トルコや東欧の国々の支援のために活動しているそうです。国際協力の仕事を目指そうと思うようになった出発点は、まず初等科のハイチデーの活動、そして聖心で取り組んだ様々な活動と言っていました。聖心女子大の国際交流学科で経済や国際協力などについて学んで、知識としては専門性に欠けたかもしれないが、別の大きなものを聖心で学んだと言っていました。どういうことなのか、終了後に改めて尋ねてみましたら、それは聖心の価値観であって、利益にこだわらずに、本当に現地の人のためになること、本当に大事なことを考える姿勢と言っていました。これはとても大事なことです。聖心の私たちが求めているものは、目先のことでなく、一人ひとりの人間が大事にされることで、そのために私たちは聖心の学校で学んだり、活動する力を養ったり、祈ったりするのだと思います。

 今回の聖書朗読は、ヨハネによる福音書からカナという所での結婚式での不思議な出来事でした。有名な話ですから、今までに聞いたことがあったでしょう。イエスが弟子とマリアと一緒に結婚式に招かれているとき、途中でブドウ酒が足りなくなっているらしいとマリアが気づきます。マリアはイエスにこのことを伝えますが、イエスはマリアに対してあまりよい返事をしません。しかし、マリアはイエスが助けてくれると信頼しきっています。それで、イエスは係の人に大きな水がめに水を入れさせます。すると、その水がとてもよいぶどう酒になって、人々の喜びとなります。水がぶどう酒に変わる、という不思議なこのエピソードから私たちは何を読み取れるでしょうか。ここで人が水を汲むという働きをしていることが大事なことに思われます。人間の働きや努力は、そのときに何をしているか意味がたとえわからなくても、イエスと共にあるとき、そこに神さまの恵みが働くという流れが読み取れます。人のために働く人や、困っている人を大事にするイエスと神様の眼差しと神のはたらきを感じ取ることができます。このエピソードの人たちが水を汲んだように、私たちも努力しなければなりません。しかし、それは決して無駄になりません。何か努力すること、新しいことに向けて行動すること、変化を起こすこと、自分の何か小さなことを変えていくこと、そのようなことについて、私たちが意識しなくても、あるいは私たちが意識して神様と共に生きようとするときは特に神様が見守ってくださって、私たちは気づかないうちにも恵みを受けて、何か思いがけないよいものを生み出していくし、私たち自身も何かよいものに変わっていくきます。このようにして私たちは神様が変えてくださる恵みに与っています。

 聖書の話を皆で聞いて、神様について考える、それを皆で分かち合う、このようなことができるのは聖心の学校の特色です。イエスの物語を私たちは一人ひとり心の深くに持っています。卒業生も皆きっとそうだと思います。聖書の話を味わうことは、学習とすぐにはつながらないようでも、神様の恵みを受けて、皆さんの心の中で意味あるもの、ほんものの人の喜びに繋がるものに変わっていきます。イエスの物語を聞くとき、聖書の言葉は私たちの心を少しずつ作り、私たちは変えられていきます。これを皆さんと共有できることは、聖心の学校としてとても大事なことと感じます。

 このことを皆で共有して、前期を終えることにいたします。短い期間ですが来週をリフレッシュの期間として、後期を迎えましょう。どうぞ健康には気をつけて、賢明に行動してください。                

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