トップページ > Spirit of "Mikokoro" > 9月22日初等科朝礼 物語は好きですか(2)
物語の意味について続けて考えています。物語には人を動かす力があります。学校としてどのような物語を共有しているか、子どもたちと共に考えます。上の絵は児島なおみさんの聖マグダレナ・ソフィアの絵本にあるものです。
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9月21日は中秋の名月でした。月を見ましたか?大きな月でした。同時に、9月21日は世界平和の日でした。平和とはどのようなことでしょう。
先週の朝礼で物語についてお話ししました。この一週間で何か物語を読みましたか?私はとてもおもしろい物語に出会いました。連休もありましたから、楽しく読みました。終わり方が不思議な物語でしたので、どのような意味かしらと考えています。物語としてはおもしろいところもあったけれど、作者の考えについては本当にそうかなあ、ちょっとわからないなあ、という感想を持っています。そして、私の物語とは違っているものかな、とも感じています。
たくさんの本、たくさんの物語があります。一つの物語を読み終わったあとに楽しかった、本当にそうだ!と感じる時には、その物語は私の物語につけ加わるようです。たくさんの物語の中から私たちは選んでいます。この物語はおもしろいけれど、ちょっと違う、と感じる時は選びません。
イエスの物語と聖マグダレナ・ソフィアの物語を、聖心では私たちの真ん中においておこうと選んでいます。
ローマの教皇フランシスコは何の物語を選んでいるか考えてみました。教皇フランシスコは、イエスの物語とアッシジのフランシスコの物語をきっと選んでいます。それぞれの教皇は、教皇になるとき、教皇としての自分の名前を決めることになっています。教皇フランシスコは、アッシジの聖フランシスコから、フランシスコという名前をもらうことにしました。名前を選ぶということは、名前だけではなく、その人の生き方も受け継ごうと決めることです。それはその人の物語も受け継ぐことです。アッシジの聖フランシスコは12世紀から13世紀ですから、何百年も昔のイタリアのアッシジという町に生きた人でした。
教皇フランシスコの一番新しい本の題名はイタリア語で「Fratelli Tutti」と言いますが、その意味は「みんな兄弟」ということで、その本の日本語訳の題名は「兄弟のみなさん」となっています。この題名はアッシジの聖フランシスコの言葉から取られています。アッシジの聖フランシスコは色々な人を大切にした人でした。貧しい人、病気の人を友だちとして大事にしましたし、動物や鳥、自然界のすべてのものを大事にして、兄弟・姉妹と呼びました。教皇フランシスコはこのアッシジの聖フランシスコの考えを受け継いで、本の題名としています。
「みな」とは「誰でも」ということで、私たちが学校で「共に生きる」と言っていることと同じ意味です。教皇フランシスコはこの本の中で、「私」から「私たち」になるようにと呼びかけています。「私」だけではなく、「私たちみんな」になっていくということです。誰かが困っていたり、悲しんでいたら、私も、私たちも悲しい。私がうれしい、私が安心と感じるとき、私だけがそう感じるだけではまだまだで、私たちみんなが同じようになるまでは途中、そういう考え方です。
平和ということも、「私」から「私たち」へという考え方になっていくことです。ですが、そのときにみんなが「同じ」になることではないでしょう。違った人々、違った考え、違った生活が色々あって、それがみんなで「私たち」になって、「共に生き」ていくということでしょう。聖マグダレナ・ソフィアの絵本の最後の方のページの色々な子どもたちが手をつないでいる絵もそうです。
5・6年生は、JICAという世界の国々と協力する仕事をする場で働いている卒業生の話を聞くことになっています。JICAは世界に平和を作る仕事の一つです。そのような所で卒業生が働いているのはとてもうれしいことです。きっとその卒業生もイエスの物語、聖マグダレナ・ソフィアの物語を大事にしているでしょう。どのような話を聞くことができるかとても楽しみです。