校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

6月30日 初等科朝礼 「命は慈しみの光」

2021.07.03

 授業を見に行くと、教室の掲示板には色々なものが掲示してあります。学習の制作物、クラスの各係の氏名と目標、児童会のお知らせなど様々です。スクールカウンセラーからも「あったかことば ちくちくことば」の掲示がありました。友だちとよい関わりを作るための言葉についての説明です。著者岩井直路氏からいただいた「命は慈しみの光」の本には、医師としてのご経験から生まれた温かい言葉が満ちていました。命についても温かい眼差しが向けられています。「あったか言葉」に向けての話のヒントとさせていただきました。

~~***~~

 困っている人がいたら、どうしたら良いだろう、と考えたり、何と言ってあげたら良いかしら、何をしてあげたら良いかしら、と考えるでしょう。悲しんでいる人がいたら、どうしたら良いかしらと考えるでしょう。

 一人のお医者さんの書かれた本を読みました。医者として病気の人と接しながら考えたことが書いてある本でした。医者になったばかりの時には、病気の人に出会ったら、早く直ってほしいと思ってたくさん検査をして、データをたくさんとって、「このようになっていますよ」、「こうしたら良いですよ」と患者さんに伝えたそうです。ところが患者さんからは、「先生は病気ではないから、私の気持ちはわからない」と言われてしまったり、「先生は数字やデータばかり見て、私のことを見てません」と言われてしまったそうです。患者さんたちは「私のことをちゃんと見てほしい」、「気づいてほしい」と感じていたのです。

 病気になりたくてなる人はいません。自分の考えや望みをちがうことが身体や心に起こって、苦しんだり、辛い思いをしたりします。なぜ、私だけ?という気持ちになることもあります。このドクターはこのような患者さんの言葉を聞いて、それまで病気の人の身体のことだけ見ていたけれど、その人の全体、身体と気持ちと心と全部を見なければわからない、と気づいたのだそうです。「聞く」ときには耳を傾けて聞きますが、「聴く」という字からもわかるように耳だけでなく、目も心も開いて聴かなくては、とわかったそうです。

 お見舞いに行くときにはどうでしょうか。どのような言葉をかけたら良いか考えるでしょう。たとえば、「泣いてはだめ」、「早く元気にならないと!」、「私はあなたの苦しみがよく分かる」、「時がたてば大丈夫」などの言葉はふさわしくないそうです。それではどうしたら良いのでしょうか。何も言わなくても、ただそばにいるだけでも、静かに一緒にいるだけで良いのだそうです。そして、話を聴いてあげます。皆さんだったら、手をつないであげるということも良いかもしれません。医者としてのこれらの言葉には、温かい、その人を大事にしたいという気持ちが表れています。

 困っている人や悲しい人がいたら、「そうなんだ」という気持ちでその人のことを考えてあげましょう。何かしてほしいことありますか?と聞いてみるのも良いでしょう。「ううん、今はいい」と言われてしまったとしても、断られてしまったと残念に思わなくても良いでしょう。その人は「聞いてくれてありがとう」「聞いてくれただけでうれしい」「今度お願いするかもしれない」と感じているでしょうし、友だちが聞いてくれたということはきっとずっと覚えています。「あなたは大事な人」という気持ちは伝わります。

 教室の掲示板にカウンセラーの先生からの「あったかことば ちくちくことば」のプリントが貼ってありませんか?どんな言葉が出ているか見てみましょう。あったかことばが使えると良いですね。

このページのトップへ
このページのトップへ