校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

2月4日中高等科朝礼  多様性の視点

2021.02.04

 一つのニュースについて、考えるときの視点を投げかけました。

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 一つのニュースを繰り返し耳にして、考えされられています。きっと皆さんも耳にしていると思います。

 オリンピックに関わる会合で、役員の一人がされた発言についてのニュースです。女性が委員会に参加するようになると時間がかかる、一人が発言すると次々に競争のように発言するといった内容の発言でした。これを聞いて、自分自身の一つの経験を思い出しました。

 この学校に着任する前のことで、もうしばらく以前のことではあります。私立学校や私立幼稚園の教育についての自治体の審議会の一つに加わっていたことがありました。委員会のメンバーに、女性校長として女性登用枠で加わることを頼まれて引き受けていました。確かに毎回女性は私だけでした。あるとき、他の委員会と合同の会合があり、他の女性委員も一緒の会議に参加されました。討議の中で一つの教科のあり方が話題になり、意見が出される中で、女性委員が発言されたことに続いて、私もその意見を支持して発言させていただいたことがありました。私としては、女性委員がおっしゃったことが重要であり、見逃されてはならないと感じたので賛同したのでしたが、他の委員には単純にそのようには見えなかったかもしれません。その教科は家庭科でした。

 今回の発言の後には、他の委員からコメントが出されています。それを聞いてさらに考えました。これまで委員会のメンバーが偏った構成であったところに、新たなメンバーが入ることによって、新しい視点がもたらされます。それまで慣例によって無難に動いてきたところに、疑問が出されたり、考え直さなければならないことに気づかされたりします。これまでは「それでよい」としていたところが、「そうではない」と意見が出されると、改めて考えてみる時間が必要になります。新たなメンバーはマイノリティであり、新参者でもあれば、新たなメンバー同士で支え合って、表明し続け、意見を進めていかなければならないこともあるでしょう。それまでのやり方に慣れている人たちには、わずらわしいことに感じられるでしょう。しかし、多様性の大切さは、このようなところにあります。

 異なる背景の人が集まることにより、一つのものごとを多角的に見ることができるようになります。意見の調整には時間を必要とするでしょうし、複雑にもなっていきます。しかし、これは実はとても健全な動きです。今回の発言をジェンダーの観点からとらえることができます。女性として考えさせられる問題です。しかし、それだけでなく、多様性という観点から見ることもできます。私たち一人ひとり誰でも、自分の意見が多数で、当然と思い込んで、異なる意見に気づかなかったり、耳を貸そうとしなくなったりしてしまう可能性を抱えています。このことにも気づく必要があります。自分がどのような立場にあるか、私たちはいつも問われています。多様性の尊重は重要です。しかし、それを実際に生き、実践することは簡単ではありません。この話題が目にとまったら、自分のこととして考えてみてください。

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