校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

台湾聖心創立60周年 記念動画「たった一人の子どものためにも」

2020.12.19

 世界に広がる聖心会は、アジアでも日本を始めとして韓国、台湾、フィリピン、インドネシア、ヴェトナム、インドと各地で活動しています。今年は台湾の聖心が創立から数えて60周年を迎え、記念のアニメーション動画が作成されました。現在台北に男女共学の小学校、女子中学・高等学校があり、聖心の伝統を受け継いで教育を行っています。台湾と日本の間の歴史も考えながら、初等科、中高等科の朝礼でそれぞれにこの動画を紹介しました。動画は中国語によるもので、英語の字幕付きです。

 アジアの聖心はまず日本から始まりました。1908年にオーストラリアから4名のシスターが来日し、東京で聖心女子学院を設立しました。次は中国の上海で、1925年に日本から派遣されたシスターが学校を設立しました。聖心会において中国ミッションは創立者聖マグダレナ・ソフィアのときから聖心会において重要な事がらであったと言われています。上海の聖心はフランス語・英語による教育が評価されて活況を呈し、中国出身の若い女性たちの聖心会入会者も得て、恵まれた活動を行っていました。しかし、次第に日中戦争の混乱に巻き込まれ、終戦後は共産党が勢力を握り、1949年に蒋介石が台湾で国民政府を開くなどの政治的な混乱の中で、聖心会も同年から1950年までに中国から日本へ引き揚げることになりました。

 中国ミッションを断念せざるを得なくなりましたが、聖心会として創立者の意向を活かすべく、替わりに台湾での創立という新しいミッションが計画されました。そこで、1960年に6人のシスターが台湾に派遣されました。日本の聖心会は当時、東洋管区となっており、日本だけでなく韓国・フィリピン・台湾の活動を束ねていた時期もありました。台湾での創立に、日本に滞在していた中国人のシスターが派遣されていきました。

 台湾の聖心会は、台北から離れた八里(Bali)という土地を得て、設立に向かいました。八里は淡水河沿いの風光明媚な地です。当時は辺鄙な何もないところで、台北から行くためには小さな船で湖のような河を渡らなければなりませんでした。水牛の飼われているようなところでした。あまりにも何もないところであったので、学校をやっていかれるのか、生徒は来るだろうかとシスターたちは心配にもなったようですが、神の計らいを信じて少しずつ準備を進め、井戸を掘り、校舎の建築を進め、次第に学校を整え、寄宿舎も建てていきました。シスターたちはいつでも、「たった一人の子どものために学校を建てたでしょう」という創立者聖マグダレナ・ソフィアの教えを心に、一人ひとりの子どもを大切にと考えて進んでいきました。

 女子教育に力を注ぎ、生徒たちは勉学、スポーツ、祈り、特に英語にも熱心に取り組む学校となっていきました。先進的な女子教育の学校として、台北にくる海外からの数多くの訪問者が聖心の学校視察にも訪れるようになったようです。このようにして50年の間、聖心の学校として教育を続けてきました。今では大きな学校となりましたが、その始まりはとても小さな学校でした。しかし、神様を信じる心、聖マグダレナ・ソフィアの教えを尊ぶ心はとても生き生きしたものであり、それが今に続いています。

 この動画を通して、日本での聖心の学校の始まりもきっと同じようなものであっただろうと思わされます。来日した4人のシスターたちはまず小さな日本家屋で生活を始めました。今、学校のあるこの場所も110年前には東京の中心から離れた場所であり、今のように周囲に建物がたくさん立っているような状況ではなかったでしょう。木々に囲まれた静かなところで、校庭には井戸もあり、牛や豚が飼われていたこともありました。小さな学校として始めたときには、これからどのようになっていくだろうかと考えたかもしれません。しかし、神様を信じる心、聖マグダレナ・ソフィアの教えを信じる心は生き生きしていたに違いありません。そのようなところでは、神様の恵みの大きな力が注がれます。今の私たちもそのような心を受け継ぎたいものです。

 いつか台湾を訪れることがあったら、台北八里の聖心の学校も訪問し、姉妹校生たちにもぜひ会う機会をもちたいものです。そうしたらきっと、私たちは聖心生として同じ気持ちであることがわかるでしょう。

 台湾聖心創立60周年の動画はYoutubeで観ることができます。 https://youtu.be/Qjo0pq7RT1Y

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