校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

11月18日 セカンドステージ 聖フィリピン・デュシェーンの祝日の祈り

2020.11.21

セカンドステージでも動画配信による祝日の朝礼で祈りました。そして、セカンドステージでは午後に講演会も行いました。卒業生の小児科医師に新型コロナウィルスについて、思春期について話していただき、視野を広げました。国立成育医療研究センターに付随している医療ケアを必要とする子どもための施設「もみじの家」についても話していただき、Zoomを通してではありましたが学びの多い1日を過ごしました。

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 聖人のお祝い日はその聖人の生き方から学ぶ日です。今は神さまと共にいらっしゃるその方に祈り、その方にも私たちのために祈っていただく日です。聖フィリピン・デュシェーンから学ぶことは、勇気や忍耐力、インディアンを大切にしたことなど様々あります。その中で今回は特に、思い通りにならなかったときにあきらめなかったことを取り上げてお話しします。

 聖フィリピン・デュシェーンの生涯には色々な困難がありました。フランス革命。アメリカに行く許可をもらうまで何年も待ったこと。アメリカへと渡る70日間もの大西洋の荒波を越えていく船旅、アメリカに上陸してからもミシシッピ川を何週間も遡っていく旅。開拓地での厳しい生活、学校を創立する苦労。インディアンに出会うまで何年もかかったこと。これらのことは本当に大変なことでしたが、聖フィリピン・デュシェーンは一つひとつ忍耐力をもって努力して乗り越えました。偉大な人物です。しかし、これらをよく見て、本当に壮絶だと感じられることは、聖フィリピン・デュシェーンが人生の色々な時にいかに数多くの思い通りにならないことに出会っているかと言うことです。期待はずれなこと、予測が当たらなかったこと、言われていたこと、聞いていたことと異なることに遭遇したこと、このようなできごとが数多くありました。

 聖フィリピン・デュシェーンは若い時に、アメリカから帰国した司祭の話を聴いて、先住民たちにイエスを伝えるためにアメリカに行くことを志しました。アメリカに修道会や学校を建てる人を求めていますという司教の話を聴いて、ぜひその仕事をしたいと考えるようになりました。このようなすばらしい志をもって進み始めましたが、実際にアメリカに行ってみたら、聞いていたのと違う場所へ行ってくれと言われたり、大きな期待をもって始めたのにうまくいかなかったりすることが数々ありました。疑問に思うこと、期待通りでないこと、残念に思い、がっかりするようなこと、こんなはずでは・・・と思うようなことがたくさんあったのではないか。聖フィリピン・デュシェーンについて深く偉大だと感じることは、そのような大変なときに負けることがなかったことです。

 もうだめだと思いそうなときに、それに負けない。なぜそれができたのか。色々と考えてみると、神様を信じていたからとしか思えません。聖フィリピン・デュシェーンは自分の力でできることが全てとは思っていなかったのではないでしょうか。聖フィリピン・デュシェーンが困難に直面しても負けることがなかったのは、心が強かったからなのでしょうか。きっとそうではないでしょう。心の強さだけではやっていかれません。

 では、どうしてだったのでしょうか。聖フィリピン・デュシェーンの心には神様がいらしたのだと思います。聖フィリピン・デュシェーンは祈る人と言われました。うまく行かないことがあるとき、とんでもないと感じたとき、必ず祈ったことでしょう。「神様、これは一体何なのでしょうか。神様は何をお望みですか。どこにいらっしゃるのですか。どうしたらよいのですか。」このように祈ったでしょう。そして祈りの中で、神様は私と共にいてくださる、神様はここにいてくださると感じたのではないでしょうか。このようにして聖人として一生を送ったのではないでしょうか。

 聖フィリピン・デュシェーンの書いたもの、手紙などを見ても、聖マグダレナ・ソフィアの書かれたものにみつけられるような人の記憶に残る言葉はあまりみつかりません。聖フィリピン・デュシェーンは、簡単には言葉にできないようなよくわからない状況の中で、とにかく次の一歩を進んでいこう、この一歩に神様が共にいてくださる、たとえ解決が見えなくても、私が今ここにいることを見ていてくださる、このような思いで歩んでいたのではないでしょうか。

 セカンドステージの皆さんはいま若い日々を生きていて、毎日楽しいことやおもしろいことがきっとあるでしょう。家族や友だちに囲まれて、今日も良かった!と思える毎日を過ごしているでしょう。それでも、辛いときや悲しいとき、困ったことのあるときもあるかもしれません。たとえば、今年の春、新型コロナウィルスのために学校も休みとなってしまい、いつもと全く違う生活となり、これからどうなってしまうのかと皆さんも感じたことでしょう。そのような時に、聖フィリピン・デュシェーンの生き方を思い出してください。そして祈ってください。神様がいてくださることを感じてください。このことを今回は心に深く刻んでください。このことを聖フィリピン・デュシェーンから学んでください。

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