校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

2月16日初等科朝礼 正門の改修工事 伝統をより良く受け継ぐ

2022.02.17

 同窓会みこころ会のご支援を受け、今月初めから正門の改修工事を行っています。正門は聖心の伝統を表す一つのシンボルです。子どもたちと共に、伝統を受け継ぐとはどのようなことか考えてみました。

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 正門を通って通学している方は気づいているように、2月中、正門の工事を行っています。大きなアーチのところの木の扉は取り外して修理しています。人が通るための横の戸口は今は通れないようになっていますので、皆さんは大きなアーチの下を通っています。工事が終わったらどのようになるのでしょうか。学校から帰る時間には、工事の方が作業していることもあるかもしれません。白く、石のように見えるところは、きれいにして塗り直し、取り外している木の部分は工場で修繕しています。傷んだ部分は新しい木で作り変えます。最後に色を塗り直して仕上げます。

 工事の前には、塗り直しの色を決めておかなくてはなりません。工事業者さんと相談しました。皆さんは正門が工事の前に何色だったか覚えていますか?白っぽい色、少し灰色か水色にも見える明るい色ではなかったでしょうか。そこで、以前と同じような色をお願いしたいと考えていました。修理とは元にもどすこと、と考えたからです。ところが、業者さんは「そういう色の塗料は良くありません、木が傷むことになり、長持ちしません」と言って勧めてくれません。木のことを考えると、長持ちさせるためには、黒っぽく見えるかもしれないが、木の元々の色を活かした、白や青などの色のないものが良いのではないか、と言われてしまいました。それを聞いて私たちは驚いてしまいました。前と違ってしまう、暗く見えてしまう、明るい方がすてきではないか、このように考えましたが、業者さんは勧めてくれません。木のためには良くありません、と言っています。そこで、私たちは業者さんの専門家としての意見を取り入れることにしました。ですから、工事が終わって、門の扉が取り付けられたとき、「前とどこか違う」、「新しくなったはずなのに古く見える」と感じるかもしれません。

 今回、このことを通して、伝統を守るということは全く同じように守り続けるということではなく、より良くするために変えていく、ということもあるのだ、ということを学びました。

 正門は学校の中で一番古い建造物です。最初の校舎を設計したヤン・レツルによるものです。その当時の校舎は、正門以外は関東大震災と戦争の空襲で失われてしまい、門だけが残りました。初等科校舎はこの学校で2番目に古い建物で、レイモンドの設計によるものです。どちらも大切な伝統です。

 伝統とはどのようなものなのでしょうか。伝統は昔のもので、受け継ぐもの、そして、大切に伝わっているものです。考えてみると、伝統は昔の人が「これは大切なことだから、ぜひ伝えたい」、「大事なことなので、これからもずっと忘れずに続けてほしい」と考えたことなのだとわかります。伝統は宝物のようなものです。学校の正門と初等科校舎は目に見える伝統です。しかし、言葉として伝わっていて、目に見えるものではない伝統もあります。「惜しみない心」、「聖心は一つの家庭」という言葉は大切な伝統です。これらは聖マグダレナ・ソフィアとそれに続く人々、日本の聖心の歴史を作った人たちが、ずっと大切な本当のこと、いつも忘れずに続けていきたいと考えたことです。私たちはこれらを大切な伝統として受け継いでいきます。そして、受け継ぐときには、今回の正門の工事にもあったように、ただ受け継ぐだけでなく、自分たちの生活の中で、よりふさわしいものとして、自分たちのものとして変えていく、ということもきっとあるのだと思います。

 正門の改修工事が終わって、正門を通るとき、聖心の伝統として受け継いでいるものをまた考えてみましょう。

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