校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

1月8日 初等科 新年の朝礼

2021.01.16

 初等科も放送で新年の学校生活を始めました。初等科は校内放送テレビによる画像配信で行いました。子どもたちが元気に登校してきたことは新年の大きな喜びでした。感染防止対策により一層気をつけながら、学校で学べることを感謝して進めます。

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 新年おめでとうございます。冬休みの間にクリスマスカードや年賀状をたくさんいただきました。ありがとうございました。字がきれいなもの、絵が素敵なもの、言葉に工夫があるものなど、とてもうれしく読みました。今年も「丑年」にちなんだおもしろい言葉遊びがありました。紹介してみると、「う」は美しい心、海のように広い心、動く、うきうきわくわく、うれしいこと、「し」は信じる心、静かな心、辛抱強い心、進歩、しっかり学ぶ、自然を大切にする、「ど」は努力、どんどん、どんな時でも、どうぞの気持ち、「し」は信念を貫く、しっかり取り組む、幸せをみつける、などがありました。そして、「う」わべだけでなく「し」んを持つ、「う」り言葉に買い言葉でなく、「し」らないふりをしない、という組み合わせもありました。どれもよく考えてあり、とてもおもしろく読みました。

 今年の冬休みは、家で静かに過ごした人が多いでしょう。ご家族と良い時間を過ごせたでしょう。去年の春、新型コロナウイルスによってとても大変だったことを思い出して、普通のこと、当たり前のことができることがとても大事で、小さなことの中に大切なことがあると、この冬休みに改めて感じたと思います。学校に皆で来ることができたこと、学校生活をまた始められたことを感謝しましょう。

 これから皆さんに、アフリカのケニアの一人のとても素敵なおばあさんの話をします。この方は94歳です。背が高くて、ほっそりしています。歩くのは少しゆっくりですが、しっかり歩くことができ、背中はまっすぐです。ケニアの田舎の小さな家に住んでいます。庭の畑で野菜を作ったり、牛やニワトリを飼ったりしています。プリシラという素敵な名前ですが、ニックネームはGoGoです。長い間、助産師の仕事をしてきました。助産師は赤ちゃんが生まれるときにお母さんを助ける仕事です。ドクターでも看護師でもありませんが、赤ちゃんが無事に生まれるようにする大事な仕事です。GoGoはとても信頼されていて、もうおばあさんなのに若いお母さんが「赤ちゃんが生まれる時には必ず助けてください」と頼みにきます。頼りになるおばあさんです。

 GoGoにはもう一つとても特別なことがあります。それは、GoGoは94歳なのに学校に通っているということです。それも小学校です。自分の曽孫と同じ学校です。そこで6年生と一緒に勉強しています。制服もきちんと着て、授業に出ます。そのうえGoGoの家は学校から遠いので、学校の寄宿舎で子どもたちと一緒に生活しています。94歳なのになぜでしょう。それは、子どものときに学校に行くことができなかったからです。女の子は学校に行かないで、家の仕事をする方が良い、とGoGoのお父さんが考えていたからです。GoGoが子どものときのこと、80年以上前のことなので、学校について今と考え方が違うから仕方なかったのでしょうか。ケニアでは、しかし、今でも学校を途中でやめてしまう女の子が多いそうです。GoGoはそのことをとても残念に思っています。GoGoは、女の子にも勉強が大事ということ、自分で考えることが大事だということを良く知っています。だから、GoGoはおばあさんになっても勉強して、女の子たちのお手本になりたいと思っているのです。

 ケニアでは小学校6年生に対して国全体の試験があり、それに合格しないと小学校を卒業できません。子どものときにGoGoは小学校を卒業できませんでした。そのことがとても残念なのでしっかり勉強して、おばあさんになった今からでも、どうしても小学校を卒業したいと考えていました。そこで、GoGoはとてもがんばって勉強し、試験を受けました。そして、その結果は?残念ながら、GoGoは合格できませんでした。おばあさんになって目が悪くなっていて、黒板や本の文字が良く見えなかったのです。それで充分に勉強できませんでした。田舎に住んでいるので、病院に行くこともできませんでした。GoGoはとても残念でしたが、あきらめることにしました。2回目はなし、もう学校に行かない。GoGoは決心しました。ところが、GoGoの学校の校長先生が、新学年が始まるときにGoGoの家に訪ねてきました。

 校長先生はGoGoに「学校にもどってきてほしい。子どもたちは待っています」と言いました。GoGoは子どもたちの間で人気者だったのです。そして、校長先生はGoGoのために病院を探してくれて、GoGoは眼の手術を受けることになりました。手術は成功。GoGoは色々なものがまたとても良く見えるようになりました。そして、学校に戻りました。卒業試験にチャレンジします。

 GoGoの一所懸命に勉強している姿から、勉強はとても大切なこと、学校はとても楽しいこと、ということが強く伝わってきます。ケニアの学校は教室も寄宿舎も子どもたちでいっぱいです。新型コロナウイルスが流行している今、ケニアの学校はどのようになっているでしょうか。感染が心配で、学校で集まって勉強するのはむずかしいかもしれません。日本で学校で勉強できる私たちは幸せです。学校で、皆でしっかり学びたましょう。

 緊急事態宣言が東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県に出されます。感染流行の状況はとても厳しくなっています。その中でも、今回は学校は続けていくことになっています。感謝しましょう。学校に来られる、友だちと会える、一緒に勉強ができるということは、とてもうれしいことです。大切にしましょう。感謝して、注意して過ごします。冬休み前にもしていたように、学校では3つの「あ」を守ります。そして、登下校のときには特に気をつけましょう。電車やバスに乗車している人は皆、感染を心配しています。そして子どもたちを見ています。子どもが学校に行かれるのは特別なことなのに、この子どもたちはその意味をきちんとわかっているだろうか。大人の人は皆、感染を心配して気をつけて乗車していることを、この子どもたちはわかっているのか?大人の人たちは子どもの様子を見ています。では、皆さんの心構えはどのようにしたら伝わるでしょうか。乗り物の中では、沈黙を守る、ふざけない、ということを実行することです。これはとても大事なことです。どうしたら実行できるか、自分たちでも考えましょう。

 これからの学校生活を大切にして、みなで楽しく過ごしましょう。学年のしめくくりにしっかり学びましょう。 

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