校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

5月18日おもしろい本を読みましょう(59)教皇フランシスコ「ラウダート・シ」

2020.05.18

 新しい週が始まりました。どのような1日だったでしょうか。今日学んだこと、新たに知ったことを大事にして、自分の考えを深めましょう。

 皆さんは3月からずっと、家で過ごす日々を送ってきました。家は本当に大事なところです。家は建物のことでもあれば、家族のことを意味することもあります。「私の家」と言って友だちに話すとき、多分、これらの両方のことを考えているでしょう。家は私たちそれぞれにとって、居場所ですし、より所ですし、なくてはならない場所です。今日、紹介する本は私たちの「家」についての本です。

 「ラウダート・シ」という不思議なタイトルは「あなたはたたえられますように!」という意味のイタリア語の言葉で、アッシジの聖フランシスコが残したものです。この「あなた」はもちろん神様のことです。教皇フランシスコは、教皇に選ばれて教皇としての名前を決めるときに、アッシジの聖フランシスコに倣う思いでフランシスコとしたと言われています。アッシジの聖フランシスコは12世紀から13世紀にかけてイタリアに生き、地球のすべてのものは神様が造られた恵みと受け取って、自然界、動物や鳥たちを大切にしました。そして、何よりもあらゆる人々は神様から大切にされていると考えて、貧しい人々、病気の人々、社会から見捨てられている人々を大切にしました。教皇フランシスコはこのアッシジの聖フランシスコの生き方を大切にしたいと考えて、教皇としての日々を始められました。アッシジの聖フランシスコは環境保護の聖人とも言われています。「ラウダート・シ」は「ともに暮らす家を大切に」をサブタイトルとして、地球を「家」ととらえ、教会としての地球環境に対する考えを表している本です。

 地球は私たち人間と人間以外のすべてのものが「共に」生きる場です。それを教皇フランシスコは「家」と呼んでいます。つまり、地球はみんなの大切な場所であって、地球環境について考えることは人ごとではないという考えです。地球上には、私たちがSDGsを学びながら気づいているように、様々な環境問題があります。気候変動、プラスティックゴミ、森林破壊、野生動物の現象や絶滅、海や水の汚染など、数えたらきりがありません。これらの問題は私たち人間の生活の仕方に大いに関わっています。人間の都合によって自然や地球を利用してきたその結果です。教皇フランシスコはそれらの問題に直面することを呼びかけています。そして、地球は神様から私たちがいただいた大きな恵みであること、人間は全体のことを考えて地球を大切に扱うという大きな役割を任されているのではないかと、私たちに呼びかけています。そして、色々なことは関連している、全体的に考えることが大切という意味で「インテグラルエコロジー:総合的なエコロジー」を提唱しています。

 今回の新型コロナウィルス感染症のパンデミックの出来事も、地球全体のバランスを人間が崩してしまったために生じているのかもしれません。「ラウダート・シ」は2015年の5月24日に出されましたので、今年で出版5年目となり、世界の教会では今週を「ラウダート・シ週間」としています。この機会に神様の恵みという視点で、地球のこと、私たちが他の生きものと「ともに暮らす家」のことを考えてみるのは意味あることです。この本によって、教会が地球環境についてどのような考え方をもっているか知ることができます。神様を信じる心をもって現実的な問題に直面することは、祈りと共に具体的で現実的に考えることが必要です。読み解くのに難しいところもある本ですが、教皇フランシスコの真剣さが伝わります。今、パンデミックの危機の中で、教皇フランシスコはこの本に書いたことを思い起こしながら、祈っていらっしゃるに違いありません。

 Laudato Si Week で検索してみると、世界で行われている活動について知ることができます。また、以下のURLに入ると、教皇フランシスコのメッセージを見ることができ、関連するイベントについても知ることができます。 https://laudatosiweek.org/ 

教皇フランシスコ「回勅ラウダート・シ ともに暮らす家を大切に」カトリック中央協議会 2016年 回勅は教皇から世界に向けての書簡です。

このページのトップへ
このページのトップへ