校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

5月12日おもしろい本を読みましょう(55)ジェイン・ヨーレン 「月夜のみみずく」

2020.05.12

 昨日は真夏日になりましたが、今日は小雨が降ったり、曇ったり、晴れたりの不思議な天気の一日です。夕方は美しい夕焼けになりました。今日、紹介する本は1・2年生の本のコーナーにある、ファーストステージの皆さんから楽しめる寒い冬の日の物語です。2日続けて冬の物語です。

 先日、朝早く、大きな池のある公園に散歩に行きました。わずかな人が静かに歩いていました。池では大きなコイが泳いでいたり、カメが静かに浮かんでいたりしました。そこに突然何かの生きものの鳴き声がしてきました。低くて大きな鳴き声が何回かくり返し聞こえてきました。きっと大きなカエルです。姿は見えませんでしたが、池のどこかに住んでいて、その朝は機嫌が良かったのかもしれません。何回か声が聞こえました。その公園でカエルの声を聞いたのは初めてでした。姿が見てみたいと思いました。

 動物は姿を見せなくても、鳴き声によってそこにいることがわかります。夜、学校の校庭でネコではない動物の鳴き声がすることがあります。姿はなかなか見られません。様々な小鳥のさえずりも木の葉の陰から聞こえます。姿は見えなくても、生きものの存在を感じます。

 みみずくという生きものを知っていますか。みみずくは森に住んで、夜に活動する大きな鳥です。もしいたら、くり返し聞こえる静かな鳴き声でわかります。今日の本の主人公「わたし」は女の子で、年齢は、おとうさんの言いつけがちゃんと守れて、夜の寒い時にも少し遠くまで雪道を歩くのもがんばれる、そのくらいです。「わたし」は、おとうさんと一緒に夜、みみずくに会いに雪の積もった森に行きます。おとうさんは子どもたちが、少し大きくなって、夜の雪道でも怖くなったり、疲れたりして泣かないし、静かに黙っていられるくらいに大きくなったら、一人ずつ森に連れていってくれるのです。

 おとうさんもきっと小さいときに、おとうさんのおとうさんに連れられて、みみずくに会いに行ったのでしょう。おとうさんとみみずくは友だちのようです。みみずくと出会う方法を知っています。「わたし」はわくわくして、みみずくを待ちます。とても寒いです。でも、みみずくに会えるならがまんできます。静かな森の中で「わたし」の心の中はわくわくした、いきいきした気持ちでいっぱいです。大人になってもずっと忘れない、とても深い気持ちです。

 「わたし」と一緒にみみずくに会いにいきましょう。今と季節は違いますが、「わたし」と一緒に気持ちを味わうと、寒さまで感じられるかもしれません。みみずくはどんな鳥でしょう。みみずくとどうやって会ったのでしょう。もし、みみずくに会えるような森に住んでいたなら、きっとすてきなことです。

 ジェイン・ヨーレン詩 工藤直子訳 「月夜のみみずく」 偕成社 1989年

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