校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

4月3日おもしろい本を読みましょう(27)きむらゆういち 作 あべ弘士 絵 「あらしのよるに」

2020.04.03

 4月に学校が始まることを楽しみにしていたと思いますが、残念なことに学校の再開を延期しなければならないことになりました。皆さんもニュースで気がついているように、日本全体、特に東京は新型コロナウィルス感染症の流行拡大がとても深刻な状況です。多くの学校で登校再開を延期しています。皆さんの健康と安全を大切に考えてのことです。学校には登校しないとしても、新学年を始める気持ちで過ごしていきたいと思います。学校からのお知らせによく注意していてください。

 初等科生からまたお便りをもらいました。このブログを読んでいてくださるのはとてもうれしいです。すてきなイラストを描いてきてくださった方があります。Inkedイラスト私の石001_LI.jpg自分の石の絵だそうですが、この絵には何かの動物が隠されているようです。「すべてのひとに石がひつよう」を読んだ方には、この絵の意味がわかると思います。私の石は黒くて平べったく丸い形をしていて、表面にはプツプツと小さな穴がたくさん空いてます。不二聖心の近くの川岸で見つけたので、もしかすると富士山の噴火に関係する石ではないか・・・、そうだったらいいなと想像しています。

 今日、紹介する本はファーストステージの皆さん向けです。皆さんは雷は好きですか?ピカッと稲妻が光ると美しいかもしれませんが、大きな音で雷が落ちてくると怖いです。すぐ近くに雷が落ちるときはビリビリと震動したり、ものすごい大きな音がしてとても驚かされます。もし、森や山にいるときだったら、本当に大変です。森や山に住んでいる動物たちなら、嵐になって、雨が降り、その上に雷がなったらどうするのでしょうか。

 「あらしのよるに」では、一匹のヤギが嵐を避けて、山のほら穴でじっとしています。夜なので、真っ暗です。するとそこに何かもう一匹の動物が、嵐を避けてやってきます。真っ暗なので、何の動物だかわかりません。相手も嵐の中で大変な目にあったのだろうと想像します。そのうちに2匹はなんとなく話を始めます。それで、いつの間にか、この2匹はお友だちになっていきます。お互いに、嵐の中で大変だったという気持ちを共有しているらしいです。こんな経験、皆さんもありますか?知らない人のはずなのに、天気が悪い時などには、つい、ひどい風ですねとか、大変な雨ですねとか道で声をかけたりすることがありませんか?この動物たちは真っ暗な嵐の夜のほら穴で、友だちになりました。さて、後からやってきた動物は何だったのでしょう。

 本を読んでいる私たちは、絵を見ているので、後から来た動物が何だかわかります。だから、はらはらしてしまいます。でも、この2匹はとても良いお友だちになっていくのです。この本は、お友だちになるってどういうことか、考えさせてくれます。私たちは見た目や決めつけによって、本当はよいお友だちになるチャンスを失っているのかもしれない。この2匹は、真っ暗な中で相手の姿を見えず、よくわからなかったからこそ、相手の言葉を素直に聞いて、共感して、お友だちになることができました。そのように、私たちも相手の言葉を素直に聞いて、心が通じるようになれば、お友だちになれるのかもしれない。お友だちになるって、どういうことだろう。この本ははらはらさせながら、楽しく考えさせてくれます。絵もすてきな本です。話の続きもあるので、これからどうなっていくのだろうという気持ちで、きっと読みたくなります。

 動物は、本当は、暗闇でも人間よりよく見えるかもしれないし、本当は、嗅覚が発達しているので、近寄ってきた動物が何者であるかは匂いでわかるはずです。だから、この本にあるようなことは、本当は「ありえない」。でも、だから、物語の世界はおもしろいのです。

 この本は人気の本だから、もう読んだという方もいるでしょう。でも、もう一度読んでみたらどうでしょう。きっとまた楽しめます。新しい発見もあるかもしれません。

 きむらゆういち作 あべ弘士絵 「あらしのよるに」 講談社

 

このページのトップへ
このページのトップへ