校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

3月21日おもしろい本を読みましょう(16)ポール・G・フォーコウスキー「微生物が地球をつくった 生命40億年史の主人公」

2020.03.22

 春らしい日が続いていますが、毎日のニュースでは新型コロナウィルスの感染拡大が深刻さを増しています。それぞれ健康に気をつけ、感染から身を守る行動の仕方に気をつけなければなりません。だんだんと生活が単調になって、つまらなく感じることがあるかもしれませんが、くれぐれも慎重に、気をつけて行動してください。Be wise!

 ウィルスという言葉を一日に何回も耳にします。ウィルスというのは不思議な存在であることを理科の横山先生に教えていただきました。遺伝子はもち、他の生物の細胞内で増殖するが、自分の細胞も細胞膜も持たないので、非生物とされることもある・・・。ウィルスは細菌ではない。だから感染しても、保菌者とはならない。インフルエンザもウィルスです。私たちが今、非常に恐れているものは、そのような存在であることを知り、改めて生命というものの不思議さを感じさせられています。

 今日紹介する本は、高等科生向けの少し高度な本です。しかし、本の始まり方は非常にわかりやすく、著者がどのようにして微生物に関心をもつようになったか、子どもの頃の経験から書き起こされています。そして、生命40億年の歴史がたどられます。生物を学んだ方々は、地球の生命の歴史において非常に多様な生物の盛衰の歴史があることを知っているでしょう。恐竜がその一例です。特にカンブリア紀という時代には、非常に「おもしろい」形態の生物が爆発的に発生しましたが、それらの多くは現在は化石として見られるだけです。生命の歴史はとても興味深いものです。私はこの本を手にしたときに、地球における微生物の働きの重要性が学べるであろうとの予測に立って読み始めましたが、読み終わっての最もシンプルな感想は、私のいのちの歴史を40億年のスパンでたどっていけば、私の祖先は微生物であった、という実感を伴う衝撃的な認識でした。今回新型コロナウィルス感染症の流行に遭遇し、自分自身とウィルスの関係を考えさせられています。

 鷲谷いづみ著「〈生物多様性〉入門」という本では、LUCAというあらゆる生物の祖先とも言うべき原始生物について言及されています。これは極めて原始的な単細胞生物なのだそうです。ウィルスはLUCAとどのような関係にあるのか、どちらが生命史で先になるのか、これも興味深い点です。

 生物や生命に関心のある方はこの本を手に取ってみて、一気にすべてを理解しようとせずとも、科学の探究の広がりに接してください。これまでバラバラな知識であったものが、少しでもつながっていく契機となるかもしれません。

ポール・G・フォーコウスキー著 松浦俊輔訳 「微生物が地球をつくった 生命40億年史の主人公」 青土社 2015年

鷲谷いづみ 「〈生物多様性〉入門」 岩波ブックレット 2010年

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