トップページ > Spirit of "Mikokoro" > サードステージ・セカンドステージ朝礼 9月第1週
夏休みの間、8月は平和について考える時です。8月にはテレビや新聞で平和に関する多くの特集が組まれます。9月第1週の朝礼では、8月16日にNHKテレビで放映された、小林聖心、聖心女子大学卒業生の声楽家コロンえりかさんが出演された番組「視点・論点 平和への願いを込める賛歌」を取り上げました(NHK総合東京1 8月16日3:50)。コロンさんが一人で語りかける、深夜に放映された地味な番組でしたが、平和への願いが切々と伝わる、力のある番組でした。
生徒たちは11年生の夏に長崎で研修旅行を行います。その目的の一つは被爆地である長崎において平和について学ぶことです。被爆体験者の話を聞き、原爆資料館を訪問します。爆心地に近い浦上教会(天主堂)も訪問し、「被爆のマリア像」を前に祈りを捧げます。この特別なマリア像についてコロンさんは番組の中で語り、マリアに捧げる賛歌を歌われました。
長崎への原爆投下により浦上天主堂は焼失し、多くの方が亡くなりました。教会にあった木造のマリア像も焼け焦げてしまい、頭の部分だけが残り、大切に保存されています。焼け焦げ、目もうつろとなっているこのマリア像は特別な姿です。見る人の心に強い印象を残します。コロンさんはこのマリア像に、自ら被爆の痛みと悲しみを抱えながらも平和のために語り続ける長崎の人々の姿を重ねて、平和への希望を語られています。
長崎の被爆の「かしの木」も紹介されています。このかしの木は、被爆によってガラス片や陶器片が突き刺さり、そのまま成長を続けたということです。取り去ることのできない、内なる痛みを抱えながら生き続けたこのかしの木のいのちの力に、長崎の人々の心と重なるものをコロンさんは見いだしています。そして、今もまた事故や不幸、自然災害などによる思いがけない苦しみを抱えた方々があることに思いを馳せ、痛みが突き刺さりながらも祈り続けた人のことを思い起こして、平和がいつもここにあるようにと祈りの言葉を捧げ、「被爆のマリアに捧げる賛歌」歌って番組を閉じられています。この歌は作曲家であるコロンさんのお父様が、21世紀のアベ・マリアとして作曲されたものだということです。
確かに、被爆のマリア像は不思議な美しさのマリア像です。痛みと苦しみを通られた美しさです。美しいだけがマリアのすべてではありません。マリアは苦しむ人々と共にあり、痛みや悲しみを共にしてくださいます。ちょうど、関西での台風、北海道での大地震と大きな災害が続きました。このような時には、被災された方々のことを思い、苦しみの時にこそ、生徒にはこのマリアを思い起こし、祈りを捧げてほしいと願っています。