卒業生の声[過去のインタビュー]

卒業生の声(2022年)

人間に興味を持つ世代を育てる

ヤング吉原麻里子

スタンフォード国際多文化教育プログラム (SPICE) 講師
東北大学客員教授
一般社団法人スカイラボ共同代表

ヤング吉原麻里子 さん

71回生 1986年卒業
聖心女子大学文学部卒業後、米国に留学。2000年にスタンフォード大学で博士号(政治学)取得。シリコンバレーで二女一男を育てながら、教育と研究活動に携わる。著書に『世界を変えるSTEAM人材』(朝日新書)。

小学校から大学卒業まで聖心スピリットに大切に育てていただきました。学級で訪れた養老施設で、「よく来てくれたねえ」と学友の手を離さなかったおばあさまと、戸惑いながらもその方の側から離れなかった彼女の横顔。卒業から36年経ったいまも思い出すと優しい気持ちになります。世界中に卒業生を抱える聖心コミュニティーの一員として、私たちは幼い頃から、自分たちは地球社会の一員だというワクワクとした自覚と、どんな小さなことでも「人のために何ができるか」を考えるヒューマニストとしての心を育む機会をいただいてきたように思います。大学では文学を通じて人間とはなにかを探索する面白さに惹かれ、その人間を取り巻く制度についてもっと考えてみたいと留学し、社会科学領域で学びました。今は中学生から大学院生まで多様な年齢層を対象に、日本とアメリカの狭間で教育活動に関わっていますが、そこで実現したいのは「人に興味を持つ世代を育てる」ということです。

架け橋となろう〜祈りとともに

佐藤暁

弁護士

佐藤暁 さん

88回生 2003年卒業
上智大学法学部、一橋大学法科大学院卒業、オランダ社会科学大学院大学(開発学)修士。弁護士。カンボジア、オランダ、タイでの経験を経て、企業活動に関する人権問題、精神障害者に関する人権問題に取り組む。

私は現在、弁護士として、国際人権NGOで活動しながら国内外の人権問題に取り組んでいます。ハイチデーや創立記念日をはじめ、12年間のあいだに世界各地で起きている問題に触れる機会を数多く得ることができた私が、今の道に進んだことは、ごくごく自然なことのように感じています。弁護士となる前にカンボジアに住むことを決めたのも、そこでの夏期体験学習を経験した友人と妹の話があったからです。これまでも、思いがけない場面で聖心の先輩方に出会う機会も多く、「聖心は一つの大きな家庭です」という言葉をいつも思い出します。数えきれないほどの思い出を共に創った友人たちとは、今でも会えば、あっという間に制服に身を包んでいた時に戻り、いつも温かく背中を押してくれます。緑あふれる三光町で過ごした豊かな時間は大きな財産ですが、とりわけ、静かな心で自分自身と向き合う祈りの時間の大切さを年々実感しています。どんな困難な時であっても、隣人を思いやり、自らの信じる道を進み、勇気をもって世界の人たちをつなぐ架け橋となること。学び舎での教えをこれからも実践していきたいと思います。

日々の診療の中にある聖心の教え

田中優貴子

聖路加国際病院 脳神経外科 後期臨床研修医

田中優貴子 さん

95回生 2010年卒業
東京女子医科大学医学部卒業後、国立国際医療研究センター外科系初期研修を修了し、東京女子医科大学脳神経外科入局。

現在、脳神経外科で臨床業務に携わっている田中優貴子と申します。生死にかかわる状態で搬送されてくる患者さんと向き合う殺伐としがちな日常の中、精神的な支えとなっているもののうちの一つが聖心での教えです。患者さんや他の医療スタッフなど、他者の立場や心情を考えてから行動に移すこと、現場での多様な考え方を認め、ただ流されるのではなく自分の考えと折り合いをつけること、忙しい中でも常に自分の行いを振り返ること。まだ医療者として未熟な部分をこれらの教えが補ってくれるように思いますし、このような教育を一貫して受けられたことは人生における豊かな財産です。なぜなら、聖心ではごく当たり前に根付いているこれらの慣習は、社会に出てからはどこも改めて教えてはくれませんし、そういった考えをそもそも持たない人も少なからずいるからです。聖心で培った豊かな心を基盤に持つ、さまざまな形で社会に貢献する大きな家庭の一員がこれからも健やかに成長できるよう祈っております。

卒業生の声(2021年)

天国に一人で行ってはいけません(聖マグダレナ・ソフィア)

吉成麻子

千葉県養育里親
ファミリーホーム運営

吉成麻子 さん

70回生 1985年卒業
聖心女子大学文学部外国語外国文学科卒業、1989年日本中央競馬会入会、1993年退職、結婚、一女三男の母に。2004年千葉県養育里親登録、現在小5から4歳までの6人の里子と暮らす。

12年間みこころの学び舎で受けた教育にちりばめられた聖マグダレナ・ソフィアの言葉のいくつかは、卒業後30年以上を経た現在も私の心に深く刻まれています。聖心会の特徴「もの惜しみしない心」は多くの同窓生の活動の核となっているのを実感します。
日本で親が育てられない子ども45,000人、その8割が施設で暮らす現状を子育て中に偶然知ったとき、三光町から乳児院にボランティアに行ったときの記憶が蘇りました。
自分にできることを精一杯やる、という姿勢は在学中にごく自然に身についたものだと自負しております。家庭を必要とする子どもたち、とりわけ乳幼児の代替養育の場をつくるため養育里親に登録、以来様々な背景を持つ子どもたちと一緒に暮らし15年余りが過ぎました。「たった一人の子どものためにも」とあらゆる困難に立ち向かわれた創立者の信念を思い起こし、子どもたちが心身共に健やかに育つことができますように。

耳の聞こえないTVディレクターとして

長嶋愛

NHK 制作局ディレクター

長嶋愛 さん

84回生 1999年卒業
聖心女子大学卒業、2003年NHK入局、Eテレ「ハートネットTV」「ろうを生きる難聴を生きる」「ETV特集」などの番組を制作。

私は、テレビ番組を作っている、耳の聞こえないディレクターです。在校中は補聴器をつければ、会話がほぼ成立していましたが、現在は、自力では聞き取ることが出来ず、音声を文字に起こす通訳者と一緒に働いています。
前例のない働き方を実現できた原動力の1つには、聖心で育ったことが影響しているように思います。「聖心は1つの大きな家庭」という言葉があるよう、私は小さな頃から、難聴者としての、ありのままの自分を受け入れてもらいながら、育ってきました。
障害者として社会に出ると、様々な壁に直面します。ですが、都度、違和感のあることには声をあげ、突き進むことができたのは、一人の人間として尊重されてきた土台があるからだと思います。一人ひとりに無限の可能性があり、その力を引き出してくれた聖心から、自分らしく輝いていける女性が、これからも生まれることを願っています。

それぞれの領域で活躍する友人達が励みに

栗川美智子

虎の門病院
乳腺内分泌外科フェロー

栗川美智子 さん

91回生2006年卒業
東京大学医学部医学科卒業、東京大学医学部附属病院初期研修、東京警察病院、虎の門病院後期外科研修を修了後、虎の門病院乳腺内分泌外科フェローとして勤務。2021年4月より、東京大学医学系研究科大学院博士課程進学の上、国立がん研究センター研究所がんRNAユニットにて研究を開始。

私は現在、乳腺外科医として乳癌診療に携わっています。乳癌診療は、治療選択において、遺伝から人生観まで考慮する必要のある奥深い領域です。聖心では、他人を思いやり、リーダーシップを発揮できる人間になることを学びました。授業中に皆で大いに話し合い、一つの目標を立てたり解決策を出しあったりした事をよく覚えています。その過程で、自分と異なる意見も尊重し、全員が納得するゴールを見つけ出すようにとご指導いただきました。この経験は、患者さんと様々な情報を共有した上でベストな治療法を導き出す現在の私の仕事に活きていると感じます。また「聖心は一つの大きな家庭です」という言葉が表すように、学校生活を通して家族のような大切な仲間ができた事も私の大きな糧となっています。それぞれの特性を活かして頑張っている友人たちの姿は、私の仕事や生活の非常に大きな励みです。そんなしなやかで逞しい仲間たちと切磋琢磨する事で、社会をより良くする役割を皆で担っていけるのではないかと思うと、今から将来がとても楽しみです。

置かれた状況を最大限に楽しむ

服部玲佳

ワシントン大学 第1学年在学中

服部玲佳 さん

102回生 2019年卒業

私は、現在米ワシントン大学で学んでいます。COVID-19の影響で一時帰国し、オンラインで講義を受ける毎日です。オンライン講義は、時差の関係で深夜・早朝に行われます。英語ネイティブでない私にとって、オンライン受講は対面より大きな集中力が求められます。そんな中、art系からscience系まで楽しく受講できているのは、自分の置かれた状況を最大限楽しむということを聖心で学んだからだと思います。聖心では、幅広い分野に同時に並行して挑戦するバランス感覚と、集中力とを養いました。今、オンライン講義に集中しつつ、日中は大学以外の活動にも精力を注ぐことができているのは、聖心で学んだおかげだと思っています。皆さんの聖心生活が、私と同じように皆さんの将来に続く道となりますようにお祈りしています。

卒業生の声(2020年)

聖心での学びと体験が翻訳家としての基礎に

三辺律子

英米文学翻訳家

三辺律子 さん

71回生 1986年卒業
聖心女子大学文学部英語英文学科卒業、都市銀行及び聖心女子大学英文研究室勤務を経て、白百合女子大学大学院児童文化学科修了。文芸翻訳、書評・エッセイ執筆。白百合女子大学・フェリス女学院大学講師。訳書は『ジャングル・ブック』、『パディントン、テストをうける』、『エヴリデイ』、『隠された悲鳴』など130冊以上。編著書に『翻訳者による海外文学ブックガイドBOOKMARK』、共著に『今すぐ読みたい! 10代のためのYAブックガイド150』など。

私は文芸の翻訳をしています。専門は、児童書とYAと呼ばれる主に若い読者向けの小説。子どもの頃から本が大好きだった私にとって、心の底から楽しくてたまらない仕事です。
けれども、最初から翻訳家になろうと思っていたわけではありません。大学卒業後は、都市銀行に就職しました。しかし、当時は女性の登用が進んでおらず、様々な場面で疑問を感じ、勉強し直そうと、母校の大学の研究室に勤めます。そこで、児童文学研究家の猪熊葉子教授と出会いました。それがきっかけとなり、関東で唯一児童文化学科のある白百合女子大学の大学院に入学、翻訳の勉強を始めます。
その時につくづく感じたのが、聖心の英語教育の質の高さです。よく「学校の勉強って何の役に立つの?」といった疑問を耳にしますが、私の場合は、学校の勉強こそが仕事に直結しました。教科書Progress in Englishで英文法をしっかり学び、少人数制の授業では海外の文化にも触れ、原書で小説を読み通す経験もしました。今の仕事の基礎は、すべて中高で養ったと言っても過言ではありません。
技術面だけではありません。今は、翻訳と並行して、新聞等の書評やBOOKMARKという小冊子の編集を通し、日本の読者に海外文学を紹介する仕事もしています。その原動力になっているのが、子ども時代の豊かな文化体験が大人になってからの生きる「地力」になるという実感です。それを教えてくれたのも、一貫校ならではの聖心の行事や体験学習でした。
本当の意味で豊かに生きるということを教えてくれる聖心の教育が、いつまでも受け継がれることを祈っています。

信じる心を頼りに、社会の当事者として

齋藤直子

経済産業省
ニューヨーク州弁護士

齋藤直子(旧姓:加藤) さん

87回生 2002年卒業
上智大学法学部国際関係法学科、東京大学公共政策大学院修了後、2008年経済産業省入省。以来、WTO、TPP等の通商政策、化学物質管理、インフラ輸出、資源外交政策の立案・実施に従事。途中2年間米国留学し、コロンビア大学ロースクールLL.M、ジョージタウン大学ロースクールLL.M修了。

日本の行政官の立場で、より良い日本や世界のために国内外の社会に働きかける仕事をしたいと、経済産業省に入省。以来、WTO、TPP、フロン規制法改正、インフラ輸出、資源外交など、様々な分野で、主に国際的な制度作りやビジネス促進の仕事に従事してきました。
聖心での日々の授業や、途上国等で活動されるシスター・先輩方のお話、奉仕活動、姉妹校交流等を通じて得た国際感覚や、様々な社会課題への当事者意識、周りのために自分を使うことに対する喜びが、現在の仕事への動機となったと思います。また、一人で実現できる政策などまずなく、常にチームで議論し、様々な利害関係者との調整を経てやっと物事を動かせるわけですが、そのような中で、聖心で培われた、相手や周りを含む、自分の力に依らないものを信じる心に支えられていると実感しています。今後、仕事のスケールや責任が大きくなる程、自分を導く大いなるものを信じること、きっと然るべき方向に進む、という大らかな感覚が、益々支えとなるのではないかと考えています。
複雑な社会課題を一気に解決することは難しくても、今後も信じる心を頼りに、常にビジネスや生活の現場を意識しながら、少しでも物事を前進させるための一翼を担えればと考えています。

他者の立場に立って考え、惜しみなく働く

丸木千陽美

埼玉協同病院
整形外科

丸木千陽美 さん

91回生 2006年卒業
東京女子医科大学医学部卒業、浦添総合病院初期研修修了、東京女子医科大学整形外科入局、2019年4月より現職。

膝が痛くなってから引きこもりがちになってしまった祖母は、人工関節の手術を受け、また元どおり外に出かけられるようになりました。その喜んでいる姿をみて、高齢者でも元気にすることができる科に憧れを抱き整形外科の道を進むことを決めました。整形外科は今でも女性が非常に少ない科です。しかし初等科から大学まで女子校で育ち、体育大会や球技大会が大好きな元気いっぱいの学年で育った私には、女性だからという理由で選択を狭めようという考えは全くありませんでした。
整形外科医はパワーや体力も要求される仕事ではありますが、ただ薬を処方したり手術をすれば良い訳ではなく、時に「痛み」を生じる元になった精神的・社会的背景にまで想いを巡らせ、ご家族や様々な職種と連携して解決策を模索する必要があります。それはまさに他者の立場に立って考え、惜しみなく働くという聖心の教育そのものだと実感します。

聖心で培う人間力〜しなやかな芯のある女性として

明石美優

聖心女子大学 文学部
心理学科卒業

明石美優 さん

101回生 2016年卒業
高等科在学中、高校模擬国連国際大会の日本代表として渡米。大学入学後、グローバル・クラスルーム日本委員会にて、高校模擬国連事業の普及や全日本大会運営に携わる。大学では発達心理学を学び、幼児に対する絵本を用いた社会的マイノリティ教育について、保育園にて調査を実施し卒業論文を執筆。

私の考える「聖心らしさ」は、成績では測れない人間力にも重きを置くところだと思います。もちろん学校ですので、勉学を疎かにすることは決してなく、先生方には少人数クラスにて大変丁寧にご指導を賜りました。特に初等科から培った英語力は、自分の世界を広げる原動力になりました。しかし私にとって聖心は、教科書の内容を習うだけの場ではありませんでした。聖心はカトリックの教えのもと、すべての命を大切にする愛に溢れた心を育み、視野を広げて自分で考え判断し行動する力を養うことができる、生きていく上での土台を築ける学校だったと思います。
就職活動を終えた今、社会で求められているのは、偏差値で測るような学力だけではないと感じています。何を自分の強みとするかは人それぞれですが、私は聖心で学んだことを礎に、自分の所属するコミュニティ、そしてその先に広がる社会全体に、“ hot heart, cool head ”の精神で貢献できる女性になりたいと考えています。

聖心での充実した日々が礎に

山田佳奈

ウェルズリー大学 第1学年在学中

山田佳奈 さん

102回生 2019年卒業

私は現在、米ウェルズリー大学で学んでいます。ウェルズリーはリベラルアーツ・カレッジで、最初から専攻分野を決める必要がありません。私がこの大学を目指したのも、ピアノと国際政治の両方を勉強したいと思ったからでした。実際、数学や環境科学、国際政治などを受講しつつ、音楽科でピアノの個人レッスンを受け、室内楽の演奏も行っています。
勉強は大変です。英語ネイティブではない私は周囲の友人たちより一層大変ですが、なんとかこなしているのは聖心で学んだおかげだと思っています。英語だけではありません。そもそも「世界の中の日本」に興味をもったのは、高校の日本史の授業がきっかけでした。海外の大学には日本の大学のような難しい入学試験がない代わりに、どのような中学校・高校時代を過ごしてきたかを問われます。私と同じように皆さんにとって、聖心における充実した6年間がその後の礎になると確信しています。

卒業生の声(2019年)

聖心の教育にみちびかれて

佐藤淳子

順天堂大学 医学部
代謝内分泌内科学 准教授

佐藤淳子 さん

70回生 1985年卒業
聖心女子大学卒業、シカゴ大学大学院社会科学修士課程修了。出版社勤務を経て、東海大学医学部に学士入学。順天堂大学に入局し、博士号取得。

高等科のころは先生を囲み、聖書や源氏物語、近現代の文学を読むという貴重な時間に恵まれました。好きな文学を仕事にしたいと新潮社出版部に勤務していた頃、作家と編集者という関係で聖心の大先輩・須賀敦子さんとのお付き合いが始まりました。戦後まもなくイタリアに渡り、多くの日本文学をイタリア語に翻訳し、帰国後は『ミラノ霧の風景』で女流文学賞も取られた方です。実は私が高等科の時に、学校で講演された卒業生が須賀さんその人だったと後で知りました。グローバルな視点を持って、自分の目標に粘り強く近づくことの大切さを教えていただいた貴重な時間でした。その須賀さんが再会から数年後に癌を発症され、お亡くなりになるまでの闘病の姿を間近で拝見し、心の奥底で思いあぐねていた医学への道を進もうと決めました。
回り道して医師となりましたが、須賀さんがよく言っておられた「無駄なことや遅すぎることは何もないのよ」という言葉に勇気づけられてきました。順天堂大学では糖尿病や内分泌疾患の診療にあたり、また大学院で臨床研究にも携わっています。もともとのバックグラウンドである文系の知識や考え方も生かせる生活習慣病の診療は、女性にはとても向いています。医学の世界でも今後ますます女性の活躍の場が広がっていくと思いますが、さまざまな分野の教養を持ち、新しい角度から物事を見ることのできる人が求められています。聖心の「みこころの精神」にあふれた人間味豊かな教育、国際的に通用する自立した女性を目指す教育は、そうした人材の土台作りにも貢献しています。また聖心の同窓生は世界中にいて、その結びつきは驚くほど強いものです。私も人生の節目節目で先輩方、友人達に助けられてきました。マスコミや医療の分野で働く卒業生の集まりも、それぞれ組織されています。私は、この学校の卒業生であることを本当に誇りに思っています。

大我に生きる よく生きる

本間絹子

株式会社電通 
コピーライター/CMプランナー/作詞・作曲

本間絹子 さん

74回生 1989年卒業
早稲田大学 第一文学部 心理学科卒業、電通入社。サントリー燃焼系アミノ式、トヨタ自動車パッソ、花王新メリット、NHKみんなのうた「おはようのうた」等の企画・作詞・作曲・歌唱を担当。1児の母。

生まれてきた商品や企業の、本当にいいところはどこだろう。世の中を幸せにする、一番の誕生意義はなんだろう。と突き詰めて考え、それを、自分らしい方法で、世の中に元気に送り出し、世の中のひとみんなを、 少しでも幸せにする。人の心に届ける。ということがわたしの仕事です。企画だけでなく、作詞作曲をして歌で届けることも多いのですが、歌は幸せへの「祈り」だと気づいた時、聖心の祈りの精神から生まれた力だとわかりました。聖心で培った、人智の及ばない大きなものに生かされ、守られているという意識は、自分に謙虚な気持ちと同時に、むしろ小さな己だからこそ自分らしく精一杯生きて人の役に立とう、それこそが生きる意義だ、という確信とエネルギーを、いまも与えてくれています。
何より礎となっているのは、「小我でなく、大我に生きる」、奉仕の精神です。己の望みをかなえるためではなく、より高い思想やみんなの幸せを願う気持ちで仕事と向き合っていると、おのずとまわりが力を貸してくれ、 みんなの目線が横でぶつかることなく、上の方でがっちりとあってきて、普通でないパワーを生むという体験を幾度となくしてきました。つらい目、大変な目にあったときも、それこそがギフトだと思ってひたすら 誠実に、懸命に向き合って乗り越えていくと、必ずや力が集まってきて、希望の光が生まれました。
第4次産業革命でやってくる新時代は、想像もつかないことも多いですが、時代の変化にしなやかに、楽しく対応しながらも、聖心で培った教えのもと、いま目の前の人やことに真摯に丁寧に向き合い続けること、今日を精一杯生きることこそで、誰もが幸せに生きられると、信じています。

社会に生きるための人間教育

松本和子

公益財団法人 日本ユニセフ協会
個人事業部 マネージャー

松本和子 さん

80回生 1995年卒業
聖心女子大学文学部卒業(国際政治専攻)。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス修士課程(エスニシティ研究)を修了後、日本ユニセフ協会に入協。2016年より現職。仕事の傍ら、高等科3年に始めたいけばなを続ける。草月流1級師範常任総務。

世界の子どもたちが直面している現状と、それに対するユニセフ(国際連合児童基金)の支援について日本国内の皆様に広く知っていただき、ご協力いただくファンドレイジング(資金調達)に取り組んでいます。
聖心で学校生活を送るなか、自分と同じ年頃の子どもが困難な状況下で生きているという事実について知り、成長段階にあわせて考える機会を数多くいただいたように思います。お弁当をおにぎりにし、おかずの分を募金する「ハイチデー」がありました。また高等科2年の時にはフィリピンへ体験学習に行き、スラム内の学校を訪ねるなどの機会をいただきました。そして、高等科卒業時には阪神淡路大震災が起こりましたが信頼のおける支援団体を教えていただきました。当時、被災地へボランティア活動に参加したいと思ったときに、シスターや先生方に力強く後押ししていただいたことは今でも感謝しております。これらの経験を通じて、国際的な視野をもちながら、「よりよい社会を築く」ために自分が貢献できることについて考える習慣を育んでいただきました。
また、初等科から高等科まで同じ学び舎で過ごすなか、社会の一員として生きるスキルを学びました。上級生は下級生の世話をし、下級生は上級生に道を譲るなどの礼儀が自然と身に着いたと思います。中等科以降になると、体育大会や合唱コンクールなどのイベントを通じて、クラス、学年で団結する楽しさと難しさも経験しました。そして、その絆が心の支えになっていると、時を経て実感しています。
「聖心女子学院はひとつの大きな家庭です」:社会のなかで共に生きる他者のため、自分にできることを常に考え、祈り、慮り、そして行動するという人間として大切なものを学んだことは、私の財産です。そのスピリットが、未来を担う次世代の多くの方にも引き継がれることを願っております。

女性リーダーとしてしなやかに生きる力

吉成玲子

(株)日立ビルシステム 水戸財務部
原価グループ 部長代理

吉成玲子 さん

81回生 1996年卒業
一橋大学 経済学部卒業、2000年㈱日立製作所入社、昇降機事業の財務部門を中心に水戸・東京・シンガポールでの勤務を経て現職。1児の母。

(株)日立製作所昇降機事業の財務部門に勤務して19年が経ちました。入社当時はまだ同じ事業所内に女性総合職は数少なく、周囲から期待されながらここまでやってきました。その間、新事業の立上げ、シンガポール現地法人での財務業務等色々な経験をさせてもらい、徐々に責任ある立場にステップアップしてきました。第1子育児休暇復帰と同時に部長代理に昇格し、責任と業務範囲が更に増す中、育児との両立に奮闘しています。
聖心では、シスターや先生方が細やかに目を配り、一人一人の個性を大事に育ててくださり、かけがえのない中高時代を過ごしました。勉強一辺倒ではなく人間としての幅を広げるような様々なことに興味を持つよう導いていただき、現在の私は仕事が大変な時でも、趣味や運動、家族・友人とのコミュニケーションの時間も大切に「いつも心のどこかに余裕を持つ」ことができていると思います。
聖心の英語教育は素晴らしく、「聞く・読む・話す・書く」全ての能力を自然に身につけられるものだったと思います。そのおかげで大学受験でも社会人になってからも、特別な勉強をしなくても全く困りませんでした。
これからは女性マネージャーとしてリーダーシップを発揮し、人を育てることが私の果たす役割となります。人材育成も組織運営も「人の心を動かす」ことにつながり、聖心で学んだ「感謝する心を大切に、深い愛情を持って人に接すること」が最も大事だと改めて実感しています。これからも聖心の教えを胸に、女性リーダーとしてしなやかな強さを持って頑張りたいと思います。

聖心で培われた力を生かして

五味淵三智

株式会社ピーディーシステム
一級建築士

五味淵三智 さん

87回生 2002年卒業
昭和女子大学大学院修了後、株式会社木下工務店を経て、株式会社ピーディーシステム入社。現在、一級建築士として設計業務に従事。

現在設計会社に勤務し、ホテルやオフィスビル、工場などの設計に関わっています。町の景色や、人の生活も変えるような責任のある仕事ではありますが、その分関わった建物が完成したときの喜びはひとしおです。10年後、20年後にもその建物がどのように使われているのかを見ては、自分の仕事に対しての反省や意外な発見をすることができるのは、建築の仕事ならではだと感じております。
社会人として10年経ちましたが、一つ一つの案件ごとに、まだまだ成長しなくてはと思うことも多く、勉強の毎日です。
様々な立場の人が関わる仕事ですので、周りに目を配り、相手が何を求めているかを考え行動することは、日常の人間関係だけでなく、ビジネスにおいても重要なスキルです。
幼い頃から先生やシスター方に相手の立場になって考えることを教えていただいたお陰だと感謝しております。
忙しくなると、つい目の前のことに必死になってしまいますが、そんな時に、「think globally act locally」とシスターの声が聞こえる気がします。広い視野を持つことを忘れずに、いまやるべきことをしっかりと行う、そんなことを繰り返しながら少しでも社会に貢献していけたらと思っております。

多様性を認め、自主性とリーダーシップを兼ね備えた女性を目指す教育

岩田悠

Google Japan 合同会社
Google ハードウェアパートナーシップ部
Associate Partnership Manager

岩田悠 さん

93回生 2008年卒業
慶応義塾大学法学部卒業後、現Google Japan 合同会社に入社。広告代理店担当、ディスプレイ広告製品担当チームとデジタルマーケティングの経験を経て、現職。Googleのハードウェア製品を通じて人々の生活をより豊かにすべく、パートナーシップ、営業を担当。

ハイチデーやインター生との交流、英語演劇部での経験等、グローバルな視点を養った学生時代を経て、”世界に貢献できる仕事がしたい”という想いでGoogle に入社しました。”世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにする”ことを社是とし、アクセスの入口となる自社ハードウェア製品の普及を目指しています。会社には様々な人種、信仰の人が働いていますが、その多様性を認め、共に働けているのも、在学中のあらゆる場面で”世界”を身近に感じ、考える機会があったからだと思っています。
現職では、決められた枠や方法はなく、掲げた目標に対して自ら考え、周りを巻き込みながら進めることが求められますが、これは聖心で培ってきた”自主性とリーダーシップ” と非常に似ていると感じます。学級委員の立候補から各行事の担当等、どんな場面においても、指名を受けて受動的に行うのではなく、自主的に手をあげて能動的に行動し、率いる立場になった際には、異なる意見を持つ人達それぞれを尊重しながら一つの目標に向かうことを常に経験してきました。授業においても、ディベートやディスカッション、個人研究等の機会が多かったため、リーダーシップを持つには欠かせない、多角的な視点を養う機会となりました。
聖心で学んだ同窓生達は国内・国外、また社会や家庭等、様々な場所・場面で活躍しており、今でも会うたびに刺激をもらっています。私も皆と同様に、聖心で学んできたことを胸に、常に”しなやかで芯の強い自律した女性” でありたいと思っています。

現在もこれからも、私を支える「聖心」の教育

藤波里彩子

聖心女子大学 文学部 心理学科

藤波里彩子 さん

100回生 2015年卒業
聖心女子大学公認難民支援団体SHRETに所属。小学校~高校を対象の出張授業や、大学のオープンキャンパスでの啓発活動などを担当。特定非営利活動法人Learning for Allにて小学生・中学生を対象に学習ボランティア、教材開発インターンとして2年半関わり続ける。

聖心では、講演会や体験学習をきっかけに、教科書では学びきれない社会問題等に関して広い視野を持って学ぶ機会が多々あります。また、パン販売やクッキーセールなどの「ボランティア」に「立候補」するといった、相手に尽くすという経験も聖心ならではです。そのような生活の中で得た、現在の私を支えるものが2つあります。1つ目は挑戦心です。もゆる会の副会長をはじめとした委員会、カンボジア研修旅行、学校説明会やみこころ祭でのスピーチなど、多くの挑戦の機会と、それを乗り越えるための先生方のサポートに恵まれました。この経験は、大学進学後も何か新しいことや難しいことに立ち向かわなければいけない際の、大きな原動力になっています。
2つ目は思いやる心です。「聖心は1つの家庭」という言葉を知らない聖心生はいません。相手を家族のように大切にし、相手の考えと心に寄り添い、尽くす文化が聖心にはあります。現在私は、課外活動で子どもを相手にする時間が多くありますが、うまく自分の気持ちを伝えられない子どもに対する傾聴と肯定的な気持ちを信じることを心がけています。
私はすべての人が自分の可能性を信じて歩んでいくことのできる社会の実現に貢献できる人になりたいと思っています。大学卒業後は 子どもの教育に関わる仕事に就きますが、私が聖心で受けた教育を多くの子どもたちに還元できるよう、これからも日々精進して参ります。

卒業生の声(2018年)

世界に目を向けるきっかけとリーダーシップと

国際NGOワールド・ビジョン・ジャパン マーケティング第1部 コミュニケーション課課長

浅野恵子 さん

76回生 1991年卒業
聖心女子大学卒業、ロンドン大学大学院修了、JETRO(日本貿易振興機構)等勤務を経て、ワールド・ビジョン・ジャパン入団。ミャンマー駐在スタッフなどを経て現職。2児の母。

初等科時代、途上国で献身的な活動をするシスターのお話を伺ったのがきっかけで、食事や教育が当たり前ではない世界の子どもたちの存在を知りました。その後も折々に触れ、グローバル社会で自分をどんな風に役立たせたいのかを考える機会をいただきながら成長したことが、貧困や紛争などの犠牲になっている子どもたちのために活動する国際NGOでの現在の仕事につながっていると思います。
中高等科時代、「なにごとにも すすんで とりくみ さいごまで やりとおす」という学校全体の目標を、先輩方が「なすとさや」という言葉にまとめて掲げてくださいました。今思うと、このフレーズは“リーダーシップ”の基本だと思います。女子校だからこそ、女性もリーダーシップをとることに何の疑問も抱かずに育ちましたが、卒業以来、いろいろなところで出会う同窓生の皆さまは、仕事、家庭、それぞれの場で、気負うことなく自然にリーダーシップを発揮していらっしゃり、励ましを頂いています。

聖心で培われたグローバルな視点と受容力

三菱電機株式会社 宇宙総合システム部 エンジニア

江島二葉 さん

74回生 1989年卒業
慶応義塾大学 理工学部 電気工学科卒業、三菱電機入社。鎌倉製作所にて人工衛星や宇宙船等の開発に従事。

「いつでも、どこでも、誰とでも」話をすることができたらなんてすばらしいだろう。そんな憧れを持って通信技術の分野で研究開発に取り組むようになってから、もう20年以上になります。現在はエンジニアとして、人工衛星と地上の間で様々なデータをやりとりするための通信システムの設計に携わっています。
人工衛星は大勢の様々な分野の人が力を合わせて作る大きな製品です。その開発には世界規模で物事をとらえる視点や他者を理解し受け入れる姿勢が必要とされますが、振り返ると聖心で毎日を過ごすうちにこれらのことが自然に身につき、今の私の支えとなっているのだと気付かされます。
エンジニアの私が驚くほどのスピードで技術は進化し、いまや宇宙旅行も夢ではなくなりました。聖心には時代の変化に対応しつつ、一方で脈々と引き継がれる変わらないスピリットがあります。私の専門分野を活かしつつ、在校生・卒業生の皆様と共に世界中の人々との温かい「通心」により社会貢献できることを楽しみにしています。

さまざまな困難に向き合い打破してゆく力の根源

観世流シテ方能楽師

鵜澤光 さん

83回生 1998年卒業
東京藝術大学 音楽学部 邦楽科能楽専攻卒業。能楽協会会員、洗足学園音楽大学非常勤講師、立教大学非常勤講師。演能団体銕仙会に所属し、国内外の舞台活動のほか、ワークショップや講演も積極的に行う。

祖父、母共に能楽師という家庭に生まれ、聖心在学中も舞台活動や稽古を学業と並行して行っていました。七百年に亘って演じ続けられてきた日本の伝統演劇である能。その舞台はまさに一期一会と言えます。何日間も連続して公演することはなく、その日一日に懸けてひたすら稽古に励み、他の演者、観客と共に一つの作品を創り上げます。主役一人の力で舞台というものは成り立ちません。日々の積み重ね、誠実な取り組み、他者との信頼関係、そして何より力の限りを尽くすこと。それらが結実することを信じて舞台に立つのです。
私は東京芸術大学を卒業後六年間の内弟子生活を経て独立、プロの能楽師となって十年が経ちました。伝統的な世界にありがちな様々な事柄、そしてこれからも降りかかってくるであろう事象にしっかりと向き合い、時に打破してゆくその力の根源こそ、聖心の教えなのではないかと思います。
また世界に向け、日本の歴史、文化、芸術を、能を通して発信してゆくことも私にとって重要なことです。聖心の卒業生は多様な世界で活躍しています。皆さんと連携し、更に大きな力を生み出して行けることを強く確信しております。

学びと経験を深めて生まれた国際協力への思い

聖心女子大学 文学部 国際交流学科 卒業

増田京美 さん

99回生 2014年卒業
大学在学中、大学の難民支援団体SHRETに所属し、中高生向けの出張授業、日本語教室でのボランティア、啓発イベントの実施など、様々な活動をおこなう。3年次には東アジア・東南アジアのカトリック大学の学生が集うASEACCU(Association of Southeast and East Asian Catholic Colleges and Universities)国際学生会議にも参加。

聖心での日々は、確実に私の視野を「世界」へ広げてくれました。聖心ではボランティアの機会が数多くあり、その中で相手の立場でものを見ること、微力でも自分にできることを考え、実践することの大切さを学びました。さらに、模擬国連やカンボジア体験学習への参加を通じて、実践的な英語の力を身につけながら、国際社会を取りまく現状について学びを深める機会にも恵まれました。
「将来は国際協力に携わりたい」という強い思いは、こうした経験の積み重ねから生まれたのだと思います。大学入学後は、国際経済を学ぶ傍ら、大学の難民支援団体で活動したり、長期休みを利用して難民キャンプに足を運んだりと、非常に一貫した学生生活を送ってきました。そして大学卒業後は、国際協力の道に進みます。
聖心で学んだ、惜しみなく人のために働く心を持って、今後のキャリアを歩みたいと思っています。

聖心で学んだことが、悩んだときの道しるべに

弁護士

水本陽子 さん

89回生 2004年卒業
慶應義塾大学 法学部卒業。東京大学大学院 法学政治学研究科卒業。司法試験合格後、2011年より弁護士

聖心では、シスターや先生方、同級生との関わりの中で、「他人と比べるのではなく、自分と向き合い、納得のいく答えを見つけること」が大切であると学ぶことができたように思います。卒業後、弁護士として働くようになり、明確な「答え」と呼べるものがない中で、自分はどうしたらよいのか、どうすべきなのかと悩むこともしばしばありますが、聖心で学んだことが、確固たる道しるべとなって、私を導いてくれているように感じます。
また、生徒1人1人に細やかに目を配り、それぞれがかけがえのない存在であると繰り返し示してくださったシスターや先生方、そして、緑豊かな聖心の校舎で、12年という長い時間を共に過ごし、私の良いところも至らないところも知り尽くした上で、ありのままを受け入れてくれる生涯の友人たちは、私にとって、何物にも代えがたい宝物です。
聖心で過ごした日々を思い返す度、「聖心は一つの大きな家庭です」という言葉に込められた温かさを実感します。

生き方として根づいた奉仕の精神

米国ワシントンDC
US Association of Former Members of Congress シニアプログラムオフィサー

寺井綾乃 さん

96回生2011年卒業
グルーバンクロフト基金奨学生として米国マカレスターカレッジ入学。在学中、河野太郎衆議院議員事務所、在京米国大使館商務部、ロイター通信編集部などでのインターンシップを経て、2015年大学卒業後、ワシントンDCの非営利団体にて米国議会の日米交流事業に携わる。

現在米国で仕事をする中で、Public Service「Public(公共・社会)のためのService(奉仕)」という言葉をよく耳にします。聖心での12年間を振り返ってみると、在学中はおにぎり弁当を持参しておかずの分を募金したハイチデーから、炊き出しの手伝い、そして一時期校内目標であった「After You(お先にどうぞ)」というスローガンに至るまで、自分自身よりも学友・家族・地域のコミュニティを優先し、発展途上国に思いをはせ、社会に奉仕することがいかに学院生活の一部であったかに気づかされます。
その影響か、聖心卒業後経験してきた職場「立法府・報道室・外交機関」では、媒介は違えど何らかの形で公共益にかかわる仕事が出来、現在は日米議会交流を通して2国間の相互理解の深化に努めています。
同時に、日々の生活の中で自分のことで精一杯になってしまい周りを見渡すことがおろそかになってしまうときに、「After You」に代表されるように、聖心で培われた奉仕の精神は職業や一度限りの活動に終始するものではなく、一個人としての生き方であると思い返しています。

卒業生の声(2017年)

個々の長所を伸ばしながら自主性と責任感を育む教育

藤関歯科医院 院長

藤関雅子 さん

64回生 1979年卒業
東京歯科大学卒業、日本大学歯学部小児歯科学教室入局、1994年藤関歯科医院開業、小児歯科学会専門医取得

私が学生だった40年以上前から聖心では、自分で考え責任をもって行動する女性となるようにと教えられました。その気持ちをもって、今私は小児歯科の専門医として患者さんである子供たちやその家族の心に寄り添う医療をめざしています。学院で日々、人の気持ちを常に考えるようにと言われたことや、生徒一人一人のよいところをみつけて伸ばしてくださり、仕事を任せてくださった事は社会に出てから大きな力となりました。また、今でも同級生と集まって自然とボランティアをする機会がありますが、そんな時に、皆が「骨身を惜しまず困っている人に手をさしのべること」という教えが 身についていること、そして「聖心は一つの大きな家族です」とシスター方に言われたことを感じます。

キャリア形成の原点となった聖心での学び

Tammy’ s Treats(タミーズ・トリーツ)代表

杉原たみ さん

70回生 1985年卒業
聖心女子大学卒業、米国アメリカン大学大学院卒業、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に勤務後、Tammy's Treatsを立ち上げ。タイやカンボジアを中心に手仕事を通じた生産者の自立支援を目指し活動中。

最初の就職先として難民支援を行う国際機関を志望したのは、国際的な仕事への憧れに加え、社会貢献にもつながるところに魅力を感じたからです。今考えると、聖心で受けた教育があったからこそ、そうした気持ちが自然と芽生えたように思います。初等科から英語を学び、高等科でより高度な英語の授業を受けられたことが、国際的な仕事に憧れるきっかけとなりました。また社会に貢献できるような仕事がしたいという思いは、日々の学校生活で養われた奉仕の精神から来ているのかもしれません。同窓生には同じような思いで活動されている方も多く、刺激を受ける一方で、聖心のネットワークには大いに助けられています。仕事柄、学生に話をする機会もあるのですが、聖心の学生は他校の生徒と比べ、一般的に難民問題や国際協力への意識や関心が高く、誇らしく思います。聖心のスピリットを大切に、グローバル時代に活躍する人材が多く輩出されることを期待しています。

見えないものを見る力、感じる心を培う場所

イタリア ミラノ市 Genuine Education Network 代表取締役社長
株式会社 GEN Japan 代表取締役社長
イタリア食科学大学 日本発酵食文化 非常勤講師

齋藤由佳子 さん

80回生 1995年卒業
英国にて美術大学卒業後、(株)リクルートにて新規事業開発事業に従事。2011年より渡欧し、2014年ミラノにて起業。食文化教育事業を日本とイタリアを中心に展開。

振り返ると聖心では世界が身近で、ハイチ弁当など貧しい国や同世代のお友だちの生活に想像力を巡らせ祈る機会が多くありました。異文化への理解を深め、世界の不均衡がなぜ起きているか考える事は聖心では当たり前ですが、卒業し社会へ出るとそのように大きな視野で物事を考える機会は中々ありません。
3年前にイタリアで起業したのは、地球目線でこういった世界の課題を考えるきっかけを食文化を通じて提供し、毎日の小さな行動の積み重ねで世界へ貢献する人材を育成する食文化教育事業を展開するためでした。昨今、世界の情勢を見ると内側へと排他的になり閉じていく傾向にあるように感じられますが、日本は元来、自然を通して五感を養い、食や工芸を通して美を慈しみ、他者を恐れず柔軟に受け入れ共栄する文化があります。こういった文化への国内外での評価を高め、目に見えないものを感じる豊かな感性や他者を思う想像力を培うことこそ、閉じゆく世界を再び開き繋げる力になるのではないでしょうか。
地球全体の多様性を守るために、異なる文化や価値を尊重し受け入れる包容力、それこそが平和な世界を実現する第一歩と信じ、前例のない事業に取り組み続けていますが、そのもとにある勇気は聖心での学びが礎となっています。

「人と社会のために行動する」教育

日本放送協会 社会部記者

上田真理子 さん

81回生 1996年卒業
聖心女子大学 文学部卒業、日本放送協会入局、 旭川放送局、社会部司法担当、ニュース7制作などを経て2013年より現職。

貧困やDVなどに苦しむ子どもや女性たち、事件事故や災害の被害者・被災者などを取材しニュースや番組で伝えています。社会で弱い立場にある方たちに寄り添い、少しでも役に立ちたい、社会の問題を解決したいという報道記者としてのまなざしや原動力は聖心の教育で培われたものだと感じています。聖心では奉仕活動がごく当たり前のこととして行われ、夏休みには毎年保育園や障がい者施設などで長期間のボランティアを行いました。国内外を問わず困難な状況に置かれた方たちを常に心にかけて祈りを捧げ、ボランティア活動で積極的に関わるという学校生活を通し、教育方針である「人と社会のために行動する」ことが自然と身についたのだと思います。また、少人数の環境でまさに家族のように長年ともに学んだ同級生や先輩、後輩たちとのつながりは深く、社会のさまざまな分野で活躍する友人たちの姿は仕事をするうえで励みにも支えにもなっています。

グローバルに活躍するための姿勢とスキルの獲得

聖心女子大学 文学部 英語英文学科4年(2017年3月卒業予定)

桝水美伽 さん

98回生 2013年卒業
大学在学中、在日アイルランド商工会議所主催 I Love Ireland Festival に関わる。2015年 Trinity College Dublin へ1年間認定留学。Bank of Ireland Corporate Banking FDI Team などでインターンを経験。

聖心での教育は、主に2つの点において現在の私の活動を支えてくれています。1つ目は、常に高きに挑戦する姿勢です。現代社会の授業に於いて50分間1人で発表した経験や、Research & Presentation の授業で初のディベートを、妊娠中絶という生命倫理に関わる問題をテーマに英語で行った経験は、困難に直面した際にそれを乗り越えるため挑戦し続ける精神的なタフさ、くよくよ悩まずに飛び込んでいく行動力、そしてその達成感を基礎とした自信を育ててくれました。
2つ目は、英語のスキルです。英語の4技能を学ぶ授業や模擬国連等、実践的に英語を学べる環境が整っていたことに大変感謝しています。英語スキルの獲得は、世界中の多様な情報や価値観へのアクセスを意味します。卒業後はアイルランド関連のボランティア活動や留学、現地企業でのインターンに取り組み、海外の人たちとのコミュニケーションを通して日々新しい価値観との出会いやそれによる自身の価値観の変化を強く実感しています。

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