生死にかかわる状態で搬送されてくる患者さんと向き合う殺 伐としがちな日常の中、精神的な支えとなっているもののうち の一つが聖心での教えです。患者さんや他の医療スタッフな ど、他者の立場や心情を考えてから行動に移すこと、現場での 多様な考え方を認め、ただ流されるのではなく自分の考えと 折り合いをつけること、忙しい中でも常に自分の行いを振り返 ること。まだ医療者として未熟な部分をこれらの教えが補っ てくれるように思いますし、このような教育を一貫して受けら れたことは人生における豊かな財産です。(※) 三光町の12年間で強く心に刻まれた教えの一つに 「generosity」があります。物惜しみしないことを意味し、他 者に寄り添い奉仕する惜しみない心を大事にした創立者の想 いを表す言葉です。私は、実社会に貢献する仕事がしたいと 考え、卒業後は法学部に進学し、現在は弁護士として主に国 内外の企業買収案件に従事しています。企業の重大な局面 をサポートするにあたっては、難解な判断や、時に多忙を極め ることもありますが、この教えが自身の思考や行動の礎を形 成していることを実感します。(※) 聖路加国際病院 脳神経外科 後期臨床研修医 田中優貴子 さん 95回生 2010年卒業 弁護士 西村あさひ法律事務所勤務 内海友理 さん 93 回生 2008 年卒業 日々の診療の中にある 聖心の教え 人生の糧となり道標となる 聖心スピリット 医療 法曹 慶應義塾大学法学部、慶應義塾大学法科大学院卒業。弁護士として西村 あさひ法律事務所に勤務。渉外弁護士として国内外の M&A ディールを中 心とした企業法務に携わる。 東京女子医科大学医学部卒業後、国立国際医療研究センター外科系初期研 修を修了し、東京女子医科大学脳神経外科入局。 宇宙で星を見てみたい。宇宙の美しさを捉える宇宙機の開発に 携わりたい。技術畑での仕事を選択したため、卒業後は男性が 多い環境に身を置くことが多くなりました。それでもなんとか幼 少からの夢にチャレンジし続けることができたのは聖心の教育の おかげだと思っています。聖心ではもゆる会などの奉仕活動を通 じて、(1)もの惜しみしない心、(2)他者に譲る心、(3)お祈りする 心を培っていただきました。これらの心は競争が激しい社会にお いても、お守りのように自身を守ってきてくれた気がします。他者 に手を差し伸べるためにはまず個が心豊かで自立している必要 があると感じています。私自身学びの過程にいますが、聖心の多 くの諸先輩方がそうされてきたように、誰かのために動くことがで きるよう、人の喜怒哀楽の感情に寄り添えるよう、これからも心を 鍛えていきたいと思っています。卒業後も温かくご指導してくださ る聖心の先生方に感謝しています。 新聞記者というと、よく「文章を書くのが得意なのですか」と言われ ます。しかしどんな記事でも求められるのは「相手の話を聞く力」 です。私の場合、聖心で培った「思いやり」こそ武器であり、失っては ならないものだと感じています。初等科の頃から途上国や被災地 の話を聞く機会が度々あり、高等科でのカンボジア研修では過酷な 現実の中で瞳の輝きを失わない子ども達に出会いました。こうし た経験から、勝手な思い込みで人を判断せず、耳を傾けることの意 義を学びました。例えば、大きな事故や災害でご家族を失った方に どう声をかけるか。どんな思いでいらっしゃるかを想像し寄り添う ことで、伺えた話がたくさんありました。私を信じて話してくださっ たことを世の中に伝える使命は重いものです。その使命に押しつ ぶされそうになった時には、各地にいらっしゃる卒業生の温かさに 支えられ、「聖心は一つの大きな家庭です」という言葉を実感しまし た。聖心スピリットは私の心の幹となっています。 さっと手を差し伸べられるように 心の幹となっている聖心スピリット 株式会社アストロスケール 誘導航法制御エンジニア 岩澤 ありあさん 91回生2006年卒業 読売新聞東京本社 教育部 記者 染木 彩さん 92回生2007年卒業 慶應義塾大学理工学部物理学科卒業。同大学大 学院システムデザイン・マネジメント研究科修了。 米国Purdue University航空宇宙工学科訪問研究 員。大手電機メーカーとスタートアップにて人工 衛星の開発に従事。宇宙利用分野における社会 課題解決型人材育成や小中学生を対象とした研 究教育にも取り組む。 聖心女子大学文学部(国際交流専攻)卒業、2011 年読売新聞東京本社入社。前橋支局(群馬県)社 会部を経て、2017年から3年間産休・育休を取得。 2児の母。復帰後は社会部で「読売KODOMO新 聞」を担当し、2024年9月より現職で教育分野の取 材に携わる。 宇宙開発 マスコミ 22
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