未来を育む森。 自分らしく未来を描きながら 「多様に、グローバルに、よりよく生き抜く。」ために。 1
聖心女子学院の学び舎は、都心にありながら 緑豊かな自然とふれあうことができる恵まれ た環境の中にあります。豊かさを育む森の 中で、四季の移ろいを感じながら、のびのび と学び、それぞれの可能性を伸ばし、自分ら しく開花させていく12年間がはじまります。 2
聖心は、 ひとつの家庭。 家族のようにお互いを大切にし、 温かく寄り添う、惜しみない心が根づいています。 3
子どもたち一人ひとりは、神の愛を受けたかけがえの ない存在です。そして、聖心女子学院での学校生活は 子どもたちの成長を見守る、あたたかなまなざしのも とにあります。創立者である聖マグダレナ・ソフィア・ バラの「聖心はひとつの家庭」という言葉は、すべての 児童・生徒の心に根づいています。家族と共にいるよ うな安心感や信頼感の中で育まれた「やさしさ」「思い やり」「人に尽くす心」は、日常生活のさまざまな場面 で活かされていきます。 ともに 4
学ぶことは、 考えること。 考える力を伸ばし、 さまざまな状況に対応できる判断力を磨きます。 5
学習のスタートは、基礎学力を徹底し、学びの土台を築 くことからはじまります。段階を踏みながら基礎・基本 をかためることで、新しいことを学び、身につける楽しさ を実感できるようになります。また、自ら課題を見つけ て考える積極性も養われていきます。日々の授業で考 える力を高めながら、学校生活の様々な体験を通して 判断力を磨き、自分の内面から生まれる豊かで確かな 言葉を発する力や行動力を身につけていきます。 学び 6
じぶんと、 向き合う。 祈りの時間は、 自分を見つめ、自分と対話する時間でもあります。 7
祈りをはじめ、宗教行事や宗教の授業を大切にする姿勢 は、すべての活動の基盤として聖心女子学院の生活全体 をしっかりと支えます。毎日の生活の中で祈りの時間を 大切にします。自分の心を見つめ、感謝や希望をもって 生きる姿勢を養います。神のまなざしのもとにある自分 と他者を大切にする心や、キリスト教の価値観に基づい た思考力・判断力・実践力を段階的に養いながら、自分 の生き方を考え、選択できるように導いていきます。 祈り 8
多様性を受け入れ、 主体的に関わる。 他者のためにできることを自ら探し、 実践していきます。 9
聖心女子学院には、校内だけではなく、校外、国際社会 につながる多彩な奉仕活動プログラムがあります。立 場の異なる様々な人の存在を認め、積極的に関わる力 を身につける機会として、一人ひとりが奉仕の心を持っ て活動しています。 奉仕・共生 初等科から継続して行っている奉仕活動は高等科2年生、 3年生になると生徒自ら訪問先と連絡を取り、訪問日時 を決めて現地の活動に参加します。高等科2年生は都内 近郊にある施設を中心として13か所のデイケアホームを 一人2回ずつ訪れます。七夕、夏祭り、ハロウィーンなどの イベントに参加することも多くあります。何よりも喜ばれ るのは施設利用者との語らいです。生徒は人生の大先輩か ら多くの経験談を聞くことによって、新たな学びを得る一日 を過ごします。 自分たちで考え行動する 10
伝統の上に、 未来を描く。 聖心女子学院は1801年フランスのアミアンで、女子の ための寄宿学校として創立されました。それ以後フラ ンス各地で設立され、キリスト教的価値観に基づく魂と 高度な知性、行動力を育む女子教育の伝統を築いてき ました。1818年にはアメリカでも設立され、南米にも広 がり、日本では、ヨーロッパからオーストラリアを経て、 1908年4名の聖心会修道女により聖心の教育の礎が定 められました。現在、日本では5つの姉妹校が幼稚園か ら大学院まで、世界では32カ国の姉妹校が聖心の教育 のスピリットを受け継いでいます。 200年にわたる女子教育の伝統は、 新しさを支える強固な基盤となっています。 たったひとりの子どものためにも 私は聖心女子学院をたてたでしょう。 創立者 聖マグダレナ・ソフィア・バラ (1779 -1865) 1908 1978 2008 1928 1909 明治41年 昭和53年 平成20年 昭和3年 明治42年 オーストラリアより4名の聖心会修道女が横浜港に 到着「語学校」開校 財団法人 聖心女子学院設立 創立70周年記念行事 ソフィア・バラホール落成 創立100周年記念行事 デュシェーン ホール(安藤忠雄氏 設計)落成 4ー4ー4制開始 関東大震災で焼失した校舎を再建 聖堂・普通教室落成 白金三光町に校舎・正門落成 聖心女子学院の歴史 Congo Ireland Uganda Egypt Kenya India Japan U.S.A. Puerto Rico Brazil Argentina Uruguay Canada Mexico Peru Colombia Chile Korea Taiwan New Zealand Great Britain Belgium Germany Poland Austria Italy France Spain Malta Australia Chad Venezuela 世界32カ国の姉妹校(2025年現在) Kincoppal-Rose Bay School of the Sacred Heart (Australia) Songsim Sacred Heart Girls' Middle and High School (Korea) マーテル・アドミラビリス (感ずべき御母) Mater Admirabilis 11
2024年度から本格的に養蜂活動が始まっています。本 館の屋上に蜂の巣箱を2つ取り付けて、最盛期には 50,000匹のミツバチを飼っています。昨年度は4回採 蜜を行い、「みこころハニー」と名付けられたハチミツを 50mlの小瓶に詰めて、販売も行いました。児童・生徒 たちはミツバチの体のつくりを観察したり、社会で養蜂 産業について調べたり、ハチを題材とした詩を鑑賞した りと、横断的な学びが広がっています。 2029年の完成を目指してキャンパスグランドデザインの 計画が進んでいます。子どもたちが寛ぐことのできる空 間も計画しています。この空間デザインに関わりたい生 徒を募集したところ、予想以上の応募がありました。設 計者とのミーティングを重ねて子どもたちは空間に何が 必要か、真剣にアイディアを出し合っています。実際に利 用できるのはまだ先のことですが、未来の児童・生徒たち のためにも素敵な空間づくりに楽しく取り組んでいます。 2024年度も12校の姉妹校と1校の海外私立高校と短 期および長期留学を行いました。生徒達は現地でホス トシスターと授業を一緒に受け、ホームステイを経験し ます。語学研修とは異なり、英語をツールとして現地の 科目を学ぶ難しさはありますが、放課後活動や行事を 通してその国の文化を学ぶ楽しさは格別です。海外か ら本校に訪れる生徒たちも、各クラスの一員として東京 聖心の学校生活を楽しみます。そのほかに姉妹校以外 の1年留学も3年目を迎えて、現地から活動内容を伝え るレポートが毎月学校に届いています。 伝統・革新 養蜂を通して行うSTEM教育 新たな空間づくりに生徒が挑戦 姉妹校ネットワークを通じた世界とのつながり Mount Anville Secondary School (Ireland) Sacred Heart Girls Jr. and Sr. High School (Taiwan) Woodlands Academy of the Sacred Heart (U.S.A.) Forest Ridge School of the Sacred Heart (U.S.A.) 国内の姉妹校 聖心女子大学 (大学・大学院)東京都渋谷区広尾 不二聖心女子学院 (中・高)静岡県裾野市 小林聖心女子学院 (小・中・高)兵庫県宝塚市 聖心インターナショナルスクール (幼・小・中・高)東京都渋谷区広尾 12
世界を、広げる。 時代や国境を超えて、 自分らしく活躍できる女性を育てます。 13
英語教育だけにとどまらず、国際理解を深め、世界の人々 と関わり合える能力の育成に力を注いでいます。姉妹校 からの留学生たちは本校生徒の家庭でホームステイをし、 お互いの文化や生活の理解を通して、友情を深めていま す。異なる意見や考え方をもつ他者に敬意をもって接し、 人種や国籍を超えて共生する力を身につけることで、一人 ひとりの世界はさらに大きく広がっていきます。そして、そ の中で各々が個性を活かし他者とともに新しい世界を築 いていきます。 グローバル・多様性 昨年度のカンボジア体験学習はプノンペンとシェムリアッ プの両都市を訪れました。プノンペンでは内戦の惨状を 伝えるツールスレン刑務所と、キリングフィールドを訪れま した。歴史と向き合い、真実を後世に伝えようとするカン ボジアから、現代の私たちも平和を構築するために何をす べきか考えさせられました。今年度は姉妹校主催の韓国 体験学習とフィリピン体験学習も予定されています。アジ ア圏の文化を体験する貴重な機会となっています。 姉妹校主催の体験学習 14
18歳までの 12年間を有意義に。 女子の発達段階にふさわしい 学びの理想を追求した3ステージ制です。 15
12年間という長いスパンを4年ごとの3ステージに区 切り、成長の早い女子の発達段階を踏まえた、より質 の高い教育をめざしています。たとえば、ファーストス テージの代表としての役割を担う4年生時には、リー ダーシップを発揮する機会が格段に増えるなど、より よいタイミングで、よりよい機会を多く得ることができ ます。学習面でも、ステージごとの狙いを明確にした カリキュラムを備えています。 4 - 4 - 4 制 1年 5年 9年 2年 6年 10年 3年 7年 11年 4年 8年 12年 初等科 中等科 高等科 1st Stage 2nd Stage 3rd Stage ファーストステージ セカンドステージ サードステージ 基礎・基本の徹底 定着・習熟・伸長 応用・発展・深化 少人数で基礎学力を徹底。 学びの土台を築きます。 教科担任制により自主的に 学ぶ姿勢を定着させます。 一人ひとりの進路に対応できる、 真の力を育成します。 16
一つひとつの経験が、 心豊かな成長を支えていく。 年間行事 4 April 5 May 6 June 7 July 8 August 9 September ● 入学式 ● 前期始業式 ● 春の遠足(1〜6年) ● 学校探検(1・6年) ● 自然教育園(2年・年4回) ● 英語実力テスト(8〜12年) ● 創立者祝日 ● 聖母戴冠式 ● 1 年生を迎える会 ● 運動会 ● 消防写生会(3年) ● 親睦の日 ● 姉妹校留学報告会 ● 体育大会 ● 漢字コンテスト ● 1日学校参観日 ● みこころの祝日 ● 下校グループ親子集会 ● 校外学習(5年) ● 親子防犯教室(1年) ● 美術館見学(6年) ● 英単語検定(6年) ● 水泳教室(2〜6年) ● ハイチデー ● 校外学習(4年) ● 合唱コンクール ● 奥日光キャンプ(8年) ● 奈良体験学習(9年) ● 歌舞伎教室(10年) ● 聖心女子大学説明会(10年) ● 長崎研修旅行(11年) ● 黙想会(12年) ● カンボジア体験学習 ● 韓国体験学習 ● フィリピン体験学習 ● SOFISワークショップ ● 台湾文化交流キャンプ ● 水泳教室(1年) ● 校外学習(6年) ● 美術館見学(5年) ● 秋の遠足(1~3年縦割り) ● 学年のつどい ● 姉妹校留学報告会 ● 共通行事/● 初等科行事/● 中・高等科行事 17
10 October 11 November 12 December 1 January 2 February 3 March ● 後期始業式 ● みこころ祭 ● 感ずべき御母の祝日 ● 港区めぐり(3年) ● English Day(1〜4年) ● 球技大会 ● 大学生による進学体験談(11年) ● 聖フィリピン・デュシェーンの祝日 ● 作文発表会 ● 1日学校参観日 ● 社会科見学(4年) ● 都バス営業所見学(2年) ● 英単語検定(5年) ● 社会人講師講演会(11年) ● ゆりの行列 ● クリスマス・ウィッシング ● ハイチデー ● 焼き芋大会(1年) ● 新年の祈り ● 百人一首大会(5~8年) ● 英検(6~10年) ● 下校グループの集まり ● 英検Jr(. 4年) ● English Day(7~9年) ● 学習発表会 ● 学年参観日 ● 卒業研究発表会(6年) ● 個人研究発表会(5年) ● カトリック音楽会(6年) ● 聖心インターナショナル スクールとの交流(1年) ● 練成会(7〜11年) ● 送別セレモニー ● 卒業生の話を聞く会(9年) ● 卒業式 ● 修了式 ● ハイチデー ● 感謝のミサ ● 6年生を送る会 ● 能教室(6年) ● 学年のつどい ● 姉妹校留学報告会 18
委員会・クラブ活動 委員会 クラブ活動 初等科(4年生より) 初等科(4年生より) 中高等科 中高等科 ■運動部 剣道部 水泳部 ソフトボール部 卓球部 ダンス部 テニス部 バスケットボール部 バドミントン部 バレーボール部 陸上競技部 演劇 科学 コンピュータ 卓球 サッカー 手話 児童会 代表委員会 もゆる 放送もゆる 健康もゆる 国際もゆる 情報もゆる スポーツもゆる ソフィアもゆる 環境もゆる 図書もゆる もゆる会 校内美化委員会 視聴覚放送委員会 聖星委員会(校内新聞) ソフィア委員会 体育委員会 塔委員会(校内誌) 図書委員会 保健委員会 出席係 生徒会 評議会 幹事会 もゆる会 常設委員会 ■文化部 英語演劇部(EDC) 演劇部 オーケストラ部 家庭部(サードステージ) 軽音楽部 美術部 理科部(生物班・地学班・理化学班) ■同好会 模擬国連 手話 ESS 華道 茶道 百人一首 サッカー 他 ダンス 手作り 読書創作 バスケットボール バドミントン 美術 ミュージック 鬼ごっこ・ドッジボール ボードゲーム かるた・折り紙 19
制服 1960年(昭和35年)に制定されたスカート、ベスト、ブレザー、ブラ ウス、ワンピースに加え、2021年(令和3年)からは生徒会・児童会 の発案により実現したスラックスを着用することもできるようにな りました。寒い季節には、オーバーコートを着用します。 学童保育「ジョアニークラブ」 「社会に貢献する女性の育成」を建学の理念とする学校として、保 護者を支援する学童保育「ジョアニークラブ」を開設しています。 放課後に児童が安心して過ごせる環境を整えるとともに、親子の よりよい関わりをサポートします。 対象 1~6年生 実施日時 授業のある日:授業後の放課後~18時30分 長期休暇など授業のない日:8時30分~18時30分 *8月中旬、年末年始、11月1日は開室しません。 運 営 特定非営利活動法人 放課後NPOアフタースクール お弁当の注文・パンの販売 お弁当 パン・おにぎり(中高等科) 初等科・中等科ではお弁当を注文することができます。旬の食材 を使った手作りのお弁当を、アポルテフードファクトリーに委託し ています。食の安全に配慮し、できるだけ無添加・国産の食材を 使用しています。急病、急用でお弁当作りが難しい保護者や、介 護や育児、仕事をお持ちの保護者を支える取り組みのひとつです。 中等科・高等科では昼食の補助としてパンとおにぎりを販売して います。パンは、高等科生がボランティアで販売を担当していま す。仕入れ価格に上乗せして得た収益金は、東日本大震災遺児 の育英資金として寄付しています。校内で購入でき、美味しく便利 であるだけでなく、仕入れ・販売・寄付の各側面で自分たちの力を 活かし、社会とのつながりを意識する場となっています。 20
多彩なジャンルで活躍する 卒業生からのメッセージ 初等科時代、途上国で献身的な活動をするシスターのお話を 伺ったのがきっかけで、食事や教育が当たり前ではない世界の 子どもたちの存在を知りました。その後も折々に触れ、グロー バル社会で自分をどんな風に役立たせたいのかを考える機会 をいただきながら成長したことが、貧困や紛争などの犠牲に なっている子どもたちのために活動する国際NGOでの現在の 仕事につながっていると思います。また、女子校だからこそ、女 性もリーダーシップをとることに何の疑問も抱かずに育ちまし たが、卒業以来、いろいろなところで出会う同窓生の皆さまは、 仕事、家庭、それぞれの場で、気負うことなく自然にリーダー シップを発揮していらっしゃり、励ましを頂いています(。※) ハイチデーやインター生との交流、英語演劇部での経験等、グ ローバルな視点を養った学生時代を経て、”世界に貢献できる 仕事がしたい”という想いでGoogle に入社しました。会社に は様々な人種、信仰の人が働いていますが、その多様性を認 め、共に働けているのも、在学中のあらゆる場面で”世界”を 身近に感じ、考える機会があったからだと思っています。また、 聖心で学んだ同窓生達は国内・国外、社会や家庭等、様々な 場所・場面で活躍しており、今でも会うたびに刺激をもらって います。(※) 現在設計会社に勤務し、ホテルやオフィスビル、工場などの設 計に関わっています。様々な立場の人が関わる仕事ですので、 周りに目を配り、相手が何を求めているかを考え行動するこ とは、日常の人間関係だけでなく、ビジネスにおいても重要な スキルです。幼い頃から先生やシスター方に、相手の立場に なって考えることを教えていただいたお陰だと感謝しておりま す。忙しくなると、つい目の前のことに必死になってしまいま すが、そんな時に、「think globally, act locally」とシスターの 声が聞こえる気がします。広い視野を持つことを忘れずに、い まやるべきことをしっかりと行う、そんなことを繰り返しながら 少しでも社会に貢献していけたらと思っております。(※) 国際 NGO ワールド・ビジョン・ジャパン マーケティング第 1 部 コミュニケーション課課長 浅野恵子 さん 76 回生 1991 年卒業 Google Japan 合同会社 Google ハードウェアパートナーシップ部 Associate Partnership Manager 岩田悠 さん 93 回生 2008 年卒業 株式会社ピーディーシステム 一級建築士 五味淵三智 さん 87 回生 2002 年卒業 世界に目を向けるきっかけと リーダーシップと 多様性を認め、自主性とリーダーシッ プを兼ね備えた女性を目指す教育 聖心で培われた力を生かして 勤務先はインタビュー当時のものです。 ※フルバージョンは Web にてご覧いただけます。 NGO IT 建築設計 慶応義塾大学法学部卒業後、現Google Japan 合同会社に入社。広告代理 店担当、ディスプレイ広告製品担当チームとデジタルマーケティングの経 験を経て、現職。Googleのハードウェア製品を通じて人々の生活をより豊 かにすべく、パートナーシップ、営業を担当。 昭和女子大学大学院修了後、株式会社木下工務店を経て、株式会社ピー ディーシステム入社。現在、一級建築士として設計業務に従事。 聖心女子大学卒業、ロンドン大学大学院修了、JETRO( 日本貿易振興機構 ) 等勤務を経て、ワールド・ビジョン・ジャパン入団。ミャンマー駐在スタッ フなどを経て現職。2 児の母。 聖心で過ごした12年間を振り返ってみると、最も育まれたこと は、人とつながる力だと考えています。聖心から美術大学に進 学し、卒業後は舞台美術家として活動してきました。総合芸術 といわれる舞台芸術においては、限られた時間の中で演出・照 明・音響・衣装・演者など様々なセクションのメンバーと協働す ることが求められますが、奉仕の心、人のことを思いやり自分の ためだけでなく人のために惜しまず努力すること、人と人とをつ なぐ架け橋となる意識が、しっかりと土台になってコミュニケー ションの力と創作する力を支えてくれていると感じています。今 は大学にて教育に関わる機会も得て、世代や国籍を超えて多様 な価値観に出会う毎日ですが、改めてこの心の在り方が身につ くように指導してくださった先生方、自然と同じ価値観を共有で きた友人たちに出逢えたことに感謝しております。そして確か な心の財産として、後輩たちに伝えていきたいと思います。 聖心で育まれた人とつながる力 舞台美術家・東京藝術大学 准教授 原田 愛さん 85回生2000年卒業 東京藝術大学大学院修了後、Theater Project Tokyoでの研修を経て舞台美術家・二村周作のア シスタントを務め、2011年に独立。演劇・ミュージ カル・オペラなどの舞台デザインを手掛ける舞台 美術家として活動している。2021年より東京藝術 大学美術学部先端芸術表現科准教授。 芸術・教育 21
生死にかかわる状態で搬送されてくる患者さんと向き合う殺 伐としがちな日常の中、精神的な支えとなっているもののうち の一つが聖心での教えです。患者さんや他の医療スタッフな ど、他者の立場や心情を考えてから行動に移すこと、現場での 多様な考え方を認め、ただ流されるのではなく自分の考えと 折り合いをつけること、忙しい中でも常に自分の行いを振り返 ること。まだ医療者として未熟な部分をこれらの教えが補っ てくれるように思いますし、このような教育を一貫して受けら れたことは人生における豊かな財産です。(※) 三光町の12年間で強く心に刻まれた教えの一つに 「generosity」があります。物惜しみしないことを意味し、他 者に寄り添い奉仕する惜しみない心を大事にした創立者の想 いを表す言葉です。私は、実社会に貢献する仕事がしたいと 考え、卒業後は法学部に進学し、現在は弁護士として主に国 内外の企業買収案件に従事しています。企業の重大な局面 をサポートするにあたっては、難解な判断や、時に多忙を極め ることもありますが、この教えが自身の思考や行動の礎を形 成していることを実感します。(※) 聖路加国際病院 脳神経外科 後期臨床研修医 田中優貴子 さん 95回生 2010年卒業 弁護士 西村あさひ法律事務所勤務 内海友理 さん 93 回生 2008 年卒業 日々の診療の中にある 聖心の教え 人生の糧となり道標となる 聖心スピリット 医療 法曹 慶應義塾大学法学部、慶應義塾大学法科大学院卒業。弁護士として西村 あさひ法律事務所に勤務。渉外弁護士として国内外の M&A ディールを中 心とした企業法務に携わる。 東京女子医科大学医学部卒業後、国立国際医療研究センター外科系初期研 修を修了し、東京女子医科大学脳神経外科入局。 宇宙で星を見てみたい。宇宙の美しさを捉える宇宙機の開発に 携わりたい。技術畑での仕事を選択したため、卒業後は男性が 多い環境に身を置くことが多くなりました。それでもなんとか幼 少からの夢にチャレンジし続けることができたのは聖心の教育の おかげだと思っています。聖心ではもゆる会などの奉仕活動を通 じて、(1)もの惜しみしない心、(2)他者に譲る心、(3)お祈りする 心を培っていただきました。これらの心は競争が激しい社会にお いても、お守りのように自身を守ってきてくれた気がします。他者 に手を差し伸べるためにはまず個が心豊かで自立している必要 があると感じています。私自身学びの過程にいますが、聖心の多 くの諸先輩方がそうされてきたように、誰かのために動くことがで きるよう、人の喜怒哀楽の感情に寄り添えるよう、これからも心を 鍛えていきたいと思っています。卒業後も温かくご指導してくださ る聖心の先生方に感謝しています。 新聞記者というと、よく「文章を書くのが得意なのですか」と言われ ます。しかしどんな記事でも求められるのは「相手の話を聞く力」 です。私の場合、聖心で培った「思いやり」こそ武器であり、失っては ならないものだと感じています。初等科の頃から途上国や被災地 の話を聞く機会が度々あり、高等科でのカンボジア研修では過酷な 現実の中で瞳の輝きを失わない子ども達に出会いました。こうし た経験から、勝手な思い込みで人を判断せず、耳を傾けることの意 義を学びました。例えば、大きな事故や災害でご家族を失った方に どう声をかけるか。どんな思いでいらっしゃるかを想像し寄り添う ことで、伺えた話がたくさんありました。私を信じて話してくださっ たことを世の中に伝える使命は重いものです。その使命に押しつ ぶされそうになった時には、各地にいらっしゃる卒業生の温かさに 支えられ、「聖心は一つの大きな家庭です」という言葉を実感しまし た。聖心スピリットは私の心の幹となっています。 さっと手を差し伸べられるように 心の幹となっている聖心スピリット 株式会社アストロスケール 誘導航法制御エンジニア 岩澤 ありあさん 91回生2006年卒業 読売新聞東京本社 教育部 記者 染木 彩さん 92回生2007年卒業 慶應義塾大学理工学部物理学科卒業。同大学大 学院システムデザイン・マネジメント研究科修了。 米国Purdue University航空宇宙工学科訪問研究 員。大手電機メーカーとスタートアップにて人工 衛星の開発に従事。宇宙利用分野における社会 課題解決型人材育成や小中学生を対象とした研 究教育にも取り組む。 聖心女子大学文学部(国際交流専攻)卒業、2011 年読売新聞東京本社入社。前橋支局(群馬県)社 会部を経て、2017年から3年間産休・育休を取得。 2児の母。復帰後は社会部で「読売KODOMO新 聞」を担当し、2024年9月より現職で教育分野の取 材に携わる。 宇宙開発 マスコミ 22
在校生の声 朝、友達と笑い合って、明るい一日が始まります。 聖心の魅力は、3つあります。1つめは、自然の 美しさです。毎朝、門を通ると美しい木々のすき 間から暖かい光が照らしてくれます。自然が驚 くほど豊かで、生き物との調和を大切にしてい る学校で、どんなときでも神様とつながっている ことを感じられます。2つめは、どの教科の授 業も充実しているところです。答えを出すだけ を目標とせずに、考えを深めていく授業では、友 達との対話が多くなります。さまざまな考え方 に触れることで学びが充実していく面白さがあ ります。3つめは、他学年との関わりが多いとこ ろです。交流会を行ったり、共に行事の準備を したりと学年の枠を越えて過ごす機会に恵まれ ていて、他学年とも仲良くなります。全学年で集 まって祈る時間にはみんなの心がひとつになり ます。この瞬間にも「聖心は一つの大きな家庭」 であることを実感します。 聖心では、創立者である聖マグダレナ・ソフィア・バ ラの精神「清貧を愛する心」について学び、考え、行 動します。クリスマスウィッシングや練成会、日々の 祈りなど、静かに自分と向き合う時間は、大切な伝 統の一部です。日常の喧騒を離れ、心を落ち着け るこの時間の貴重さを改めて実感し、物質的な豊 かさではなく、心の豊かさに目を向ける大切さを学 びました。また、東北でのボランティア活動やお昼 のおかず代を募金する活動、毎日の祈りを通して、 「人に尽くす」ことの大切さも学びました。初等科 のときからこうした活動に参加し、自分の時間や力 を惜しみなく人のために使う姿勢や、誠実に他者に 尽くす行動力を養うことができました。そして、それ らが「清貧を愛する心」と深くつながっていることに 気づきました。物質的な豊かさを追い求めがちな 現代社会において、真の豊かさは持ち物の多さで はなく、心の充実や人とのつながりにあると思いま す。本当に大切なものを見極める力を育むことが できたことに感謝し、これからもこの学びを生かし、 日々の生活の中で実践していきたいと思います。 聖心での12年間を通して、私が最も身につけた のはリーダーシップと国際性です。リーダーシッ プとは、単に皆の前に立って先導するだけでな く、周囲と協力しながら最適な判断を下し、全員 が力を発揮できる環境を作ること、すなわち縁の 下の力持ちとして皆を支えることであると学びま した。聖心では初等科、中等科、高等科という枠 組に加え、4・4・4制を採用していることから、どの 学年になってもリーダーシップを発揮する機会に 恵まれています。特に生徒会会長を務めた際に はリーダーシップに欠かせない、多様な意見を尊 重しながらまとめる力、常に周囲に目を配り全体 を見渡す力を身につけました。また、国際性とは、 単に語学力を磨くだけでなく、多様な文化や価値 観を理解し、柔軟に適応する力であると思います。 聖心での質の高い授業や海外の姉妹校との交流、 留学などを通じて、異なる背景を持つ人々の考え 方に触れ、自らの視野を広げることの大切さを学 びました。聖心で培ったリーダーシップと国際性 を活かし、これからも世界の一員として多様な価 値観を尊重しながら他者と協働し、より良い社会 の実現に貢献していきたいと考えています。 私が実感している3つの魅力 清貧を愛する心 リーダーシップと国際性 ファーストステージ生(4年生) サードステージ生(12年生) サードステージ生(12年生) 児童会では、今年から新たにウクライナと交流を 始めました。ウクライナとロシアの戦争について、 ニュースや新聞で情報を得ていましたが、実際に オンラインで交流を行うことで現地の様子を伺う ことができました。最初は、戦争中の子どもたち とどのように接していいかがわからず心配してい ましたが、交流を重ねるごとに戦争中の国という イメージがなくなり、同じ小学生の友達と会話して いるように感じました。しかし、ウクライナは物資 が足りていなかったり、未だに警報がなって地下の シェルターに入ったりと、普段とは違う生活をして いると伺いました。児童会で話し合い、「私たちに できることをしていこう」と活動するようになりまし た。そして、文房具の寄付、クリスマスカードの作 成、靴下の寄付、募金活動を実施することができま した。お手紙を送った際には、ウクライナの子ども たちからお返事が来てとてもうれしかったです。ま た、募金で集まったお金で、プリンターやパソコン を購入できたと伺い、誰かの役に立つ喜びを感じ ることができました。私は、この経験を通して、自 分に何かできるか考え、困っている方のために進ん で行動していこうと考えるようになりました。 ウクライナの子どもたちとの交流から セカンドステージ生(6年生) 前期児童会会長 23
教育理念 子どもたちの学校生活は楽しく安全であってほしい。これはすべての大人の願いであり、聖心 女子学院の願いでもあります。教育は子どもの未来への贈り物。この思いを保護者の皆様と 共有しながら、日々の学校生活を私たちは作っています。 聖心の生活は学びの豊かさと関わりの温かさ、力一杯活動するエネルギーに満ちています。 「あー、楽しかった!」子どもたちのこんな言葉を聞くことが、学校の喜びです。聖心では、色々な 楽しさが子どもたちを待っています。緑に恵まれた校庭で走り回る楽しさ、教室で友だちと学ぶ 楽しさ。中でも、わからなかったことがわかる楽しさは格別です。そして、昨日できなかったこと にチャレンジして克服する楽しさ、難しいことを解決する楽しさもあります。友だちに助けられた り、助け合ったりする楽しさ。先生と話をする楽しさ。自分の周りに目を向けて、世界のことを 知る楽しさ。聖心の子どもたちの楽しさは、数え上げたらきりがありません。 初等科1年生から高等科3年生までの12年間は、人生の初めの大事な時間です。自分の可能 性を試し、自分の生き方を見つける時期です。聖心の生活は魂・知性・実行力の3つの柱をバラ ンスよく伸ばし、子どもたちに安定感を育てます。そして、神さまに見守られた安心が、子どもた ちをどんな時もしっかりした女性へと育てていきます。女子校の生活は、子どもたちに何でも やってみる自由な場を確保します。そこでは子どもたちが型にはまらず、自分の力を見いだす チャンスを得ています。枠組みなく、ありのままの自分でいられる安心感。これらが安全な学校 を作ります。 保護者の皆様と思いを一つにして、子どもたちの未来に向けて進みたい。この願いをもって、聖 心は伝統の上に変革を重ねます。新しい聖心の教育の創造に向けて校舎の全体を見直し、キャン パスグランドデザインを進めています。子どもたちと共に、完成を楽しみにしながら、前進します。 ごあいさつ 校長 藤原恵美 聖心女子学院は、一人ひとりが神の愛を受けた かけがえのない存在であることを知り、 世界の一員としての連帯感と使命感を持って、 より良い社会を築くことに貢献する 賢明な女性の育成をめざします。 校章のまわりを縁どっているのは 百合の花で、清らかさを象徴して います。どのような状況にあって も、神から与えられた、神に属する 清純さを保ちつつ、さらに成長し ていきます。百合の花の上には聖 体が形どられ、神の愛に養われて 成長し、互いに結ばれて共同体を 作っていくことを意味しています。 24
魂を育てる 知性を磨く 実行力を養う 祈る心を大切にし、キリスト教の価値観に基づいて 愛と希望をもって生きる姿勢を育てます。 謙虚に自己を見つめ、現実に静かに向き合い、自らを深め、 高めていくように導きます。 みずみずしい感性と、 他と共感できる豊かな人間性を育みます。 知的価値を重んじ、喜びをもって自ら学ぶ力を育てます。 創造性に富む堅実な思考力と、正しく判断する力を育てます。 広い視野で物事をとらえ、 自分の考えを明確に表現する力を育てます。 人や社会と積極的に関わる能力を育てます。 骨惜しみせず働く習慣と、 誠実に他者に尽くす行動力を育てます。 責任感と謙虚な心を備えたリーダーシップを養います。 教育方針 25
自分自身も他者も、神からも人からも 愛されているかけがえのない存在であることを知っています。 「人に尽くす」という生き方に価値があると分かり始めています。 自分の経験をふり返り、考え、表現することができます。 自分自身の人生の意味を探求し始めています。 自分自身の長所も欠点も受け入れ、成長の手がかりにすることができます。 自分の中にある自己中心性に気づき、それを是正しようとしています。 いろいろな人たちに助けてもらい支えられてきたことに感謝しています。 各教科における基礎的学力が育っています。 学ぶ喜びと学習の達成感を知っています。 真理を追求したいという意欲が育っています。 知的好奇心が育っています。集中力が身についています。 自分で考える力と判断力が育ち始めています。 理論に基づいた判断力を使って、ものごとを分析する力が育っています。 種々の情報を批判眼をもって判断することができます。 自分自身の責任を明確に認識し、それを実行できます。 限界のある状況の中でも、 知恵を使って工夫を凝らすことができます。 集団の中で、必要に応じて、リーダーシップをとることができます。 リーダーを助けて自分の役割を担うことができます。 聖心女子学院生18歳の姿 18歳のプロファイル 18歳のプロファイルとは 聖心女子学院の教育理念と教育方針をもとに学んだ子どもたちが卒業する18歳時に身 につけておきたい資質や力を示したものです。児童・生徒、保護者、教員が共有しなが ら、日々の教育活動や学校生活の指標としています。ここで紹介するのは、その一部で す。60項目の全文は、HPでご覧いただけます。 26
初等科・中等科・高等科 学校法人 聖心女子学院 〒108-0072 東京都港区白金4-11-1 TEL 03-3444-7671(代) FAX 03-3444-0094 https://www.tky-sacred-heart.ed.jp/ 国立自然教育園 白金台駅前 シェラトン都ホテル東京 八芳園 高松 中学校 白金台駅 白金氷川神社 聖心 女子学院 北里研究所 至恵比寿 至目黒 白金の丘学園 正門 通用門 首 都 高 速 2 号 目 黒 線 桜 田 通 り 外 苑 西 通 り 目黒通り 東大医科学研究所 高輪消防署 恵比寿3丁目 三光坂下 北里研究所前 白金台駅より 東京メトロ南北線・都営三田線「白金台駅」2番出口徒歩10分 目黒駅より 都営バス:大井競馬場行「白金台駅前(東大医科研病院前)」下車徒歩10分 都営バス・東急バス:東京駅南口行「白金台駅前(東大医科研病院前)」下車徒歩10分 田町駅より 都営バス:渋谷駅行「北里研究所前」下車徒歩3分 渋谷・恵比寿駅より 都営バス:田町駅行「北里研究所前」下車徒歩3分 品川駅より 都営バス:目黒駅行「白金台駅前(東大医科研病院前)」下車徒歩10分 池袋 新宿 渋谷 登戸 調布 青葉台 戸塚 白金台 上野 駒込 金町 西船橋 品川 四ツ谷 目黒 新木場 東京 横浜 新横浜 溝の口 赤羽 三鷹 練馬 和光市 �� �� �� �� �� � �� �� �� �� �� �� 二俣川 �� �� �� �� �� �� �� �� �� �� �� �� 白金台駅までの所要時間の目安 初等科1年[募集:女子96名] 学校説明会 6月7日(土)・9月6日(土) 授業公開 4月28日(月)・5月30日(金)・9月25日(木) 2026年1月23日(金) 入学試験 11月1日(土) 中等科1年(帰国生)[募集:女子約10名] 学校説明会 6月21日(土)・11月15日(土) 授業公開 7月8日(火)・10月23日(木) 入学試験 12月22日(月) 初等科5年 転入・編入[募集:女子約24名] 学校説明会 6月21日(土)・11月15日(土) 授業公開 7月8日(火)・10月23日(木) 入学試験 2026年1月17日(土) 2026年度児童生徒募集
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