校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

8月31日 中高等科 夏休み明け集会 グレタは希望の兆しを探している。変化の準備はできている!

2021.08.31

  中高等科は夏休み明けとなり、登校時刻を遅くしての時差登校で学校生活を始めました。今回もZoomによる集会となり、聖書朗読、9年生の祈りで始まりました。学校はにわかに活気づいています。

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 夏休みを終え、今日から学校生活を始めます。皆さんが登校してきて、学校がにぎやかに活気づいてとてもうれしく思います。夏休みをどのように過ごしましたか。今日はどのような気持ちで学校にきましたか。期待をもって始めたいと思います。

 まず、今日このように学校に集まれたことを感謝し、学校での生活を大切にしたいと思います。先週の補習日はオンラインとしましたが、今日からは登校としました。期末試験が控えていることを考え、この2週間については登校時刻を遅らせました。授業時間は40分間です。コロナウイルス感染症は大変厳しい状況で、その中での登校について、どのようにしたらよいか慎重に考えて決めました。気を引き締めて生活しましょう。各クラスで感染防止について色々な注意を伝えていただきますが、7月より一段階、感染防止の意識のレベルを引き上げます。大事なことです。自分の健康を守ることは、皆の健康を守ることです。聖心は一つの家庭という言葉が今のような状況でこそほんものになるように、お互いへの配慮をもって生活しましょう。登下校の駅や交通機関での皆さんの行動は注目されていることも忘れないでください。前期末試験まで、この2週間をしっかりと過ごしましょう。授業は40分間しかありません。集中して学んでください。

 この夏、皆さんの心に残ったことは何でしたか。休むこと、何かを楽しむこともできましたか?

 今年も夏休みの間には、たくさんのお便りをいただきました。ありがとうございました。一枚一枚大切に読ませていただきました。12年生の方のお便りからは、夏休みの始めの黙想会の沈黙と祈りがとても印象深い経験だったことが伝わってきました。日々の忙しさから離れて、聖書の言葉にじっくり取り組んだり、自分に向き合ったりする時間を過ごす中で、自分の心の深いところにあるものに気づいた方が何人もいるようです。下級生の方々は、黙想会って何?と思っているかもしれませんが、私がお伝えしたいのは、心の静けさと祈りの大切さということです。

 心配なことがらがたくさんある今の状況です。コロナウイルス感染症はどうなるのか、世界でもミャンマー、アフガニスタンはどうなっていくのか。皆さんにとっては、2週間後の期末試験はどうなるのか。心配なことがたくさんあります。その中でも、こうして学校に集まって皆で祈り、集会の画面に集中して耳を傾けることで、不安や心配に流されず、大事なことに焦点をあてて、前に進む力をみつけることができます。今日から心新たになりましょう。

 私は夏休みの間に、グレタ・トゥーンベリについてのテレビ番組を見ました。気候変動について声をあげているスウェーデンの高校生グレタのことは皆さんも知っているでしょう。グレタは活動を続けています。高校を一時休学して活動に専念し、世界各地を旅して、気候変動による深刻な現場を訪ねたり、専門家の話を聴いたり、また、招かれて国際的な場で講演したりしています。高校生として自分の主張をはっきり持って、自分にできることは何かと考えていました。高校生だから自分にはできない、とは考えていません。一方で、グレタは世界から注目され、脚光をあびる存在となっても、興味本位や好奇心でなく、本気で自分の話を聴いてくれる人は少ない、と深く感じていました。とてもまじめで、孤独な闘いをしているようにも見えました。グレタを理解し助ける大人の人々にも支えられながら、自分をしっかり見つめ、自分の弱さも知って、それでも自分が大切にしたいものを見失わずに、苦しくても追求し続ける、グレタにはそんな姿勢が見えました。自分に正直な人だと感じました。私たちの学校の言葉で言えば、魂をしっかりと見つめて大切にしています。グレタはあるときこのように言っていました。「私たちは希望の兆しを探しています。変化する準備はできているはずです。」グレタはやるべきことがわかっているにもかかわらず、これまで通りにとらわれて動こうとしない多くの人々、特に大人を厳しく批判しています。そして、自分自身は結果がなかなか見えなくても、挑戦することをあきらめない、あきらめるのは臆病者と言っていました。「変化する準備はできているはず」というグレタの言葉を忘れずにいたいと思います。小さくても、変化を生み出すことが希望になります。変化を生み出すには勇気も必要です。しかし、皆さんにもそれぞれ大切にしたいもの、魂を動かすものがあるはずです。あきらめず、追求していきましょう。小さな変化は皆さんの中で希望の力になります。これまで通りという殻を破って、変化を生み出しましょう。

 今回の聖書朗読はルカによる福音書9章にある、「イエスの姿が変わる」という場面です。カトリック教会では、8月6日を主イエスの「変容」の祝日としています。先ほど読まれた箇所は不思議なできごとを伝えています。弟子のうち3人だけを連れて、イエスは祈るために山に昇られると、祈っているうちに服が真っ白に輝いて、とても神々しい姿になったと書かれています。旧約聖書に出てくる2人の偉大な人物がイエスのそばに現れて、親しく語り合います。話している内容はイエスがこれから出遭う、苦しみ、十字架と死についてです。日頃のイエスと異なるすばらしさに弟子たちは驚いて、この光景について行かれません。分からなくなって、不安になっていると、「これはわたしの子、選ばれた者。これに聞け」という声が雲の中から聞こえたとあります。3人の弟子たちは、この出来事の意味をこの時すぐにはわからなかったようです。しかし、後になってから、イエスの死と復活を体験してから、あれは大事なことだったと改めて思い出して大切に語り伝えました。これがイエスの本当の姿だったと悟ったでしょう。この出来事をイエスの「変容」と呼んでいます。神様と共にある、イエスの本当の姿、目に見えるものを超えた、神様と共にある姿、ということです。変化は私たちが生み出していくものです。しかし、「変容」は、神の力、何か良いものによって変えられていくものとも言えます。日常生活の中で努力を重ねて、変化を生みだすのは、大変なこと、苦しいことかもしません。でも、その努力のときに神さまが共にいてくださって、神様によって私たちは少しずつ変えられていきます。それが変容を生きる、ということでもあります。このことを心において、今年の学校目標を自分のものとしていきましょう。

 今日から一日一日が大切です。学校生活を大切にしましょう。自分の殻を破って、今にふさわしいものに向けて踏み出し、変化を生み出していってください。

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