校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

4月8日中等科入学式・始業式 「出会い、発見し、驚き、問いかける。そして変化する。」

2021.04.08

 中等科入学式が新入生とその保護者の参加のもとソフィア・バラホールで行われ、8・9年生は各教室から参加しました。

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 7年生の皆さん、中等科入学おめでとうございます。8年・9年の皆さん、それぞれ進級おめでとうございます。8年・9年の皆さんはZoomにより、教室で参加しています。4日の日曜日はイエスのご復活でした。ですから、ご復活もおめでとうございます。

 去年の春、臨時休校の中で新学年を迎えたことを考えると、今年はこのように学校生活が始められることはとてもうれしいことです。ふつうのことが実行できるということが大事なことだと皆さんも実感しているはずです。新学年の学校生活を、一日一日を大切に過ごしていきましょう。

 7年として中等科生になった皆さんは6年間の中高等科の生活を始めます。中高等科は各学年に学年カラーがあり、皆さんの色は緑です。素敵な色です。これからの6年間には初等科とは違ったチャレンジと楽しさがあります。それを存分に体験してください。やるべきこと、やりたいことがたくさんあって、きっととても忙しく、あっという間に過ぎていきます。8年生、9年生はそれを実感しています。一日一日が大切です。

 これから皆さん一人ひとりが自分らしくなり、お友だちとは違う個性を発揮していくことでしょう。自分自身についてまだ知らないところを発見してください。自分で自分について驚くことがきっとたくさんあることでしょう。そのような驚きを大事にしましょう。自分自身について驚くような発見をするということは、変わっていくということです。変化を恐れず、楽しんでください。学習を通して何かを深く学ぶときにも皆さんは変わっていきます。考えが変わって、ものの見方が変化し、世界の見え方が変わっていきます。自分だけの世界から、広い世界、多くの人と共に住む世界がはっきりしたものとして見えてくるでしょう。そして、新しいものの見方になると、皆さん自身が変化を生み出していきます。

 お友だちも変わっていきます。お互いに変わっていくことを喜んで受けとめていかれるのがよい友だちです。変わっていくことはとてもすてきなことです。

 7年生の皆さんには、初等科の卒業式で「ふつうのこと、いつも変わらず続いていることの大切さ」についてお話ししました。今日は変化についてお話ししています。矛盾でしょうか。私は、重要な変化はふつうのこと、いつも変わらずにあることを大事にしている時にこそ生まれるものだと考えています。なぜなら、ふつうのこと、いつも変わらずにあることは、その人の身体と心に流れているいのちの力を支えているからです。毎日続けている学習、毎日きちんと眠って、食事をとること、規則正しい生活や、やるべきことをきちんとやり遂げること、このようなふつうのことが皆さんのいのちを養い、変化を生み出す力となっていきます。

 今年度、私たちは変化を生み出すことを学校の目標としても大事にします。「Being artisans of hope. 希望の作り手になる」を昨年度の目標として努力しました。これは世界の聖心で大切にしている言葉で、去年新型コロナウイルスに直面した私たちにふさわしい目標でした。とても意味の深い、大きな目標でしたから、今年もこれを心に留めながら、「変化を生み出す、変容を生きる」ということに力を注いでいきます。私たちの生活は新型コロナウイルスの登場によって変化しました。今もこうして皆がマスクをして生活しています。これは私たちの生活で去年、目に見えて変化したことの一つです。これは変化しなくてはならないことでした。その意味では受け身的に変わったことです。しかし、私たちは自ら変化を生み出すこともできます。まわりの世界の変化に流されてしまうのではなく、自分でも変化を生み出していきましょう。新しいことにチャレンジしていきましょう。どのようなチャレンジができるでしょうか。

 先日4日の日曜日はご復活の日でした。イエスのご復活はいのちの変化のお祝いです。十字架の上でイエスは死の時を迎えます。しかし、復活されて、新しいいのちを生きています、イエスのいのちは神さまの元で新しいいのちになっています、ということが聖書を通して伝えられているご復活の教えです。神さまを信じる心には大きな変化が生まれます。神さまにいただく深い変化を「変容」と言います。今年の目標は、神さまから変容もいただいて生きていくことも目指しています。学校生活を通して皆で少しずつ考え、経験を深めていきましょう。

 ここで、一人のすてきな卒業生の話をします。この方はNHKで番組を制作するディレクターの仕事をしています。数年前に「静かで、にぎやかな世界」という、耳の聞こえない子どもたちが手話で学んでいる学校についての番組を作り、大きな賞を受けられました。番組中のその学校では、子どもたちがとても元気で活発で、おしゃべりをたくさんしますが、全部手話ですので、話し声や音はしません。しーんとして静かですが、子どもたちの姿はとても明るくにぎやかなのです。実はこの方自身も聴力に障害があり、まわりの人が話しているのを書き取ってくれるサポーターの人がいないと仕事ができません。しかし、自分の考えをしっかりもって、この方にしかできない番組作りをしています。この方が素敵な言葉を学校に寄せてくださいました。「『聖心は一つの大きな家庭』という言葉があるように、私は小さな頃から、難聴者としての、ありのままの自分を受けて入れてもらいながら、育ってきました。障害者として社会に出ると、様々な壁に直面します。ですが、都度、違和感のあることには声をあげ、突き進むことができたのは、一人の人間として尊重されてきた土台があるからだと思います。一人ひとりに無限の可能性があり、その力を引き出してくれた聖心から、自分らしく輝いていける女性がこれからも生まれることを願っています。」皆さんにもぜひこのようになってほしいと思います。長嶋愛さんという方です。この方の書かれた本が図書室にあります。

 今日から始まる学校生活で新しいことに出会い、発見し、驚いて、何だろうと問いかけてください。豊かに学んでいってください。学習はテストでよい点を取ることだけが目標ではありません。もちろんテストもがんばってください。大事なことは、皆さんが自分のものとして深く学び、考え方を身につけて変わっていくことです。

 聖書の中のご復活の場面では、女の人たちがまず、最初にイエスを信じて変わっていきます。聖書の中でも、女の人たちはふつうを大切にする力とそこから変化を生み出す力を持っていました。皆さんも女子として変わっていく力を持っています。どのような変化に出遭っていくのか楽しみにして今日からの学校生活を進めましょう。

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