文字数が多く、しかもよく使う言葉は、２つの単語の組み合わせによるものなら、最初の一文字だけを取り出して組み合わせたり、始めの部分だけにつづめる省略形にしたりするなどして、使いやすい形にされます。たとえば、「国連」は国際連合、「コンビニ」と言えばコンビニエンスストアー、「パソコン」はパーソナルコンピューターの省略形であることは常識となっています。英語でもいくつかの単語の組み合わせによる言葉、組織の名称などは各語の最初の一文字をとって略語にしています。国連はUN、United Nations、この頃新型コロナウイルスの問題で毎日のようにニュースや新聞に登場するWHO（世界保健機構）は、World Health Organizationです。昨年ノーベル平和賞を受賞した世界食糧機構はWFP、World Food Programmeです。そして、SDGｓ、持続可能な開発目標はSustainable Development Goalsです。１７の課題に取り組むので、ゴールは複数になってGｓとｓがつけられています。

　高等科の朝礼ではPFCの活動について報告がありました。PFCはPlastic Free Campus、省略形の言葉です。私たちの学校のプラスチックフリーキャンパスの活動が少しずつ始まっています。プラスチックは私たちの生活に欠かせない素材で、どのような形にも成型できる大変便利なものです。しかし、環境への影響も大きい。すぐプラスチックゼロにすることはできなくても、このまま何もしないで良いものではありません。PFCは実行可能なプラスチック削減を模索していくのでしょう。簡単なことではないかもしれませんが、実行していきたいものです。

　聖心会にも、修道会としての活動の方向性を表す重要な言葉があります。JPICです。JはJustice、PはPeace、ICはIntegration of Creationです。Justiceは正義ですから、正しい考え方として、約束を守る、誰にでも公平に、弱い立場の人々を守るなどの活動となります。Peaceは平和ですから、人と人との関わり方においてお互いを大切にし、意見が異なる時にも力で争わず、話し合い、解決を考えることを目指します。そして、Integrationは訳語としては「保全」としていますが、何かをまとめる、ばらばらにならないように保つ、統合、という意味がある言葉です。Creationは神様に創られたものを表し、自然界の人間や動物、あらゆるいのちの全体を指し、地球や宇宙全体も含まれる捉え方です。ですから、Integration of Creationとして聖心会では「創造界の保全」と訳していますが、Creationに被造界とい語をあてているも場合もあります。Jは世界の理念や方向性、Pは関わり方の質、ICは地球全体を範囲とする、と考えてみることもできます。

　聖心会は、修道会としてJPICを指針として、これまでも大事にしてきましたが、２０１９年６月に改めてまとめました。世界の様々な課題に対して、現実的に深く考えながら、祈りの心をもって取り組む姿勢を明確にしました。世界に存在している平和でない状況、難民、貧困、差別、このような課題に対して何ができるか、様々な人と協力して活動していこうとしています。JPICの３つの要素は実は切り離せない、密接に関連したものです。そして、この考え方はカトリック教会においても重要視されています。毎年１月１日はカトリック教会では「世界平和の日」ですが、今年のこの日の教皇フランシスコのメッセージには、正義と平和、被造界の保全は３つの繋がったテーマであり、これらを分けることも、別々にすることもできない、とされています。JPICはカトリック教会全体においても重要な考え方なのです。

　聖心会ではJPICに努力することは、「希望の作り手になること」と考えています。難しい現実に人々と共に取り組み、一歩でも前進することが、希望を作っていくことになると考えています。今年度の学校目標はこのJPICに由来しています。今回JPICの説明をしましたので、３月まで、この目標「希望の作り手になる」に心新たに取り組んでいきましょう。

　JPICにはロゴマークがあります。オープンハートの中に地球が描かれ、その地球には自然環境を象徴する緑の葉と水のしずくが添えられ、ハート全体をPを象徴するハトが支えています。PFCにもロゴマークがあります。緑の植物がオープンハートを形作り、中にPFCと書かれています。とても素敵なデザインで、JPICのロゴマークに似ています。PFCとJPICと同じ考え方にあることがわかり、とてもうれしく感じています。PFCの活動も今後さらに活発になっていくことを期待しています。（１月２０日に初等科にも同様の話をしました。）