校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

7月30日・31日初等科 夏休み前7月のつどい

2020.08.01

 いよいよ夏休みを迎えます。分散登校のため7月のつどいは2回行い、児童は教室のテレビで動画を見ての集会となりました。

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 明日から夏休みです。いつもの年より遅い夏休みの始まりです。今日も曇りの涼しい日で、まだ夏ではないみたいですが、もう7月の終わりです。心の準備はできていますか?  

 今年は4月から、みなでがんばってきました。新型コロナウイルスのために、いつもと違うことがたくさんありました。4月・5月はそれぞれ家で勉強して、学校に来られるようになったのは6月第2週目からでした。クラスの半分のお友だちにしかまだ会っていません。それでも、できる限りのことをみんなでがんばってきました。みなよくやったと思います。みな一生懸命に生活できました。学校は楽しかったと思います。

 計画していたことでできなかったこともたくさんありました。運動会、みこころの祝日ができなかったことは残念でした。それでも、初等科のみなで聖心の子どもとして今日までがんばってきました。

 今年の学校の目標は「Being artisans of hope. 希望の作り手になる」です。どんな希望を作ることができましたか?希望は、神様がいつも一緒にいてくださるから大丈夫。がんばりましょう、という気持ちで、何かに一生懸命に取り組むことです。どんなことを一生懸命にして、どんな希望を作ることができましたか?

 私は、日曜日の夕方、散歩をしながら空に大きな虹を見て、答えがまだみつからない、心配なこともたくさんあっても、神様が見守ってくださるから大丈夫、頑張り続けましょうという希望を持ちました。そして、それをこのように皆さんにお話しすることで、希望を作っています。

 教皇フランシスコは、希望は一人で持ち続けることは難しい、仲間が必要。仲間と一緒に希望は作っていくもの、と言っています。私たちは希望を作る仲間です。

 今年は東京でオリンピックが行われる予定でした。先週の連休には開会式があるはずでした。そして、オリンピックが終わった後、身体に障害のある方々のためのパラリンピックも行われる予定でした。もし開催されていたら、どんなだったでしょう?

 パラリンピックについて、皆さんも色々知っていることでしょう。身体に障害や不自由なところがある人たちが、自分の得意な所を生かして色々な種目に挑戦しています。たとえば、足の不自由な人、病気や怪我で足を失って義足をつけている人が陸上競技にチャレンジしている写真をきっと見たことがあると思います。義足は、失った足の代わりに松葉杖なしでも歩けるようにするためのものです。今の義足はとても良くできているので、普通の生活では、義足とわからないことも多いようです。そして、スポーツ用には特別な義足があります。足の歩くところ、足首から先がアーチのようなバネになっています。それをはいて、走ったり、走り幅跳びをしたりしている姿はすばらしいです。私よりずっと早く走っているし、ずっと高く、長い距離を飛んでいるし、とてもすばらしいです。すごい早さ、すごい力、すごい技です。とてもすばらしいので、特別な人だけのことで、きっと限られた人だけのことだと思っていました。しかし、その考えが最近変わりました。

 テレビで、パラリンピックの陸上競技ドイツ人メダリストが日本の子どもたちにコーチするという番組がありました。コーチを受ける子どもたちが6人集まってきました。小学校5・6年生と中学生でした。男の子も女の子もいました。普通の子どもに見えました。コーチと一緒に、まずバネのようなスポーツ用の義足をつけて、きちんと良い姿勢で歩く訓練から始めます。それから、筋肉を鍛える訓練、こわがらないで足を動かす練習を積み重ね、そして、最後は100メートルを走りました。その子どもたちを見て、私は驚きました。とても小さい時、生まれてすぐや2歳くらいの小さい時に病気がわかり、そのように小さい時に足を切断しなければならず、それからずっと義足で生活している子どもがいました。小学校4年生くらいで病気がわかり、それまではサッカーを一生懸命やっていたのに、義足にならなければならなかった子どももいました。中学生の女の子は剣道が上手で、小学生の全国大会に出るほどの力があったのに、小学校6年生のときに病気で片足を失うことになってしまいました。

 誰にでも病気になる可能性はあるのだ、ということを深く感じました。そして、義足の人たちが急にとても身近な存在になりました。それぞれの子どもの生活には不便なことがあります。義足で生活するのはやっぱりたいへんです。お友だちと一緒にできないこともあったりします。でも、みな、元気でがんばっていました。できないことがあって、くやし涙を流していることもありました。転ぶのはとても怖いそうです。番組を見ていて、私も心配になりました。でも、コーチがすばらしくて、子どもたちを真剣に、親身になって励ましていました。それができるのは、自分にも同じ障害があって、子どもたちの気持ちがよくわかるからです。そして、お父さん・お母さんの気もちもわかってあげることができ、子どもたちの家族のことも励ましていました。

 このコーチのことばで一番素晴らしいことを皆さんにも伝えます。希望の言葉です。それは、「誰かが、そんなことあなたにはできないよ、と言ってもそれを信じていけません」ということです。やって見る前に、誰かに言われたからと言って、あきらめてはいけません。やらなかったら、できたかもしれない可能性は失われます。まず、やってみること。このことを力強く言って、子どもたちを励ましました。義足だから無理、とあきらめてはいけません、という力強い言葉でした。これは、私たちにも当てはまります。私たちはときどき、「〇〇だから、無理、できない」と考えてしまいます。もし、誰かにあなたにはできないと言われたら、その言葉に流されて、信じ込んでしまうこともあります。そうして、チャレンジしないで終わってしまうことがあります。でも、このパラアスリートのコーチはそれは間違い、とはっきり言っていました。自分の経験からこの方は話しています。だから、この方の言葉はとても力強い、ほんとうの言葉でした。それを聞いて、私も本当にそうだと思いました。「誰かが、あなたにはそんなことできない、と言っても信じてはいけない。」これは、人を信じないという意味ではなく、誰かに言われたことを言い訳にして、簡単にあきらめてはいけない、という意味です。

 希望は言い訳をしません。なかなかうまくいかないことがあっても、希望があるところでは、言い訳やあきらめはありません。もし大変だったら、助け合ったり、励まし合ったりしながら、新しいやり方や工夫を考えます。そうして前に進んでいく力が希望です。

 この夏休みに「できない」という言葉を簡単に信じて、あきらめないように、希望をもってチャレンジする夏休みにしてください。

 短い休みです。健康に気をつけながら、楽しいことにも、少し大変なことにもチャレンジしてください。希望を見つけて、希望をつくってください。

 そして、毎年お話ししているように、ありがとう、ごめんなさい、どうぞ、の3つの言葉も大切にしてください。

 8月25日にみなで元気で学校にまた集まりましょう。くれぐれも健康に気をつけて生活してください。

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