校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

4月24日おもしろい本を読みましょう(45)ジミー・リャオ 「星空」

2020.04.24

 昨日の午後、よい天気だったのに急に雨が降った時間がありました。冷たい風も吹きました。空の低いところに湧き上がっているような大きな雲の塊も見えて不思議に感じました。今朝の空にも大きな雲がたくさん浮かんでいました。皆さんの家からも見えたでしょうか。

 私たちの心の中にも色々な気持ちが生じます。楽しい気持ち、うれしい気持ちもあれば、悲しい気持ちや苦しい気持ちも生まれます。今日の皆さんの心の中にはどのような気持ちがありますか?ずっと学校に行かれずに過ごしていて、皆さんの心には友だちと会えないさみしさや、学校に行かれない悲しさが感じられるかもしれません。悲しい気持ち、辛い気持ちをどのようにしたらよいでしょう。

 今日、紹介する本の主人公は、心に大きなさみしさを抱えています。誰にも言いたくないので、一人で抱えています。学校でも一人でいますが、平気なつもりです。家でもさみしいですが、平気なつもりです。主人公は小学校高学年か中学生の女の子です。一人で物静かにしていますが、実は自分ではとても強いつもりで、心の中に強力な怪獣も飼っています。この子の悲しみ、さみしさを一緒に味わってみてください。きっと共感できると思います。この主人公に出会って、私だけではなかったんだ、この子と同じ、と思えるところがきっとあると思います。

 ある日、少女は自分と同じように一人で過ごしている少年と出会います。気が合って、二人で過ごしているうちに、悲しみやさみしさを共有できる友だちになります。そして二人で旅に出て、とても美しい、大事なものに出会います。とても美しくて、大きくて、力のあるものでした。このあと二人はそれぞれに成長していきます。別れ別れになってしまいますが、もう以前のさみしい孤独な子どもとは異なるものになっていきます。自分の中に自分だけの深い世界をもっていて、そこが生き生きとしています。なぜそうなったのか、この本を読んで知ってほしいと思います。

 作者のジミー・リャオは台湾の人気絵本作家です。この本については、保護者の方々や大人の方々にお話ししたことがあります。今回は、今、家にいて、色々な気持ちを味わっている皆さんにこの本を知ってもらいたいと考えました。とても絵が美しい本です。文字はあまりたくさんありません。今の皆さんの気持ちをこの本がきっと支えてくれるでしょう。

ジミー・リャオ作・絵 天野健太郎訳 「星空」 トゥーヴァージンズ 2017年 

このページのトップへ
このページのトップへ