校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

4月16日 おもしろい本を読みましょう(39)工藤直子「のはらうた」「てつがくのライオン」

2020.04.16

 皆さん元気で過ごしているでしょうか。新型コロナウィルス感染症は猛威をふるっています。一日も早い終息を願いながら生活しています。皆さんも同じだと思います。

 近所のスーパーマーケットでは入場制限があります。店内のお客さんの人数が多くなりすぎないようになっています。入り口の前に1列に並んで待ちますが、そのときにも前後の人との間隔をあけて立つように、立つ場所にラインが引いてあります。新型コロナウィルス感染症の防止対策の一つは人との接触を減らすことです。人と人とが近づきすぎないように注意します。これを表す英単語は "social distancing" です。この言葉がテレビやニュースや色々なところで聞かれるようになりました。

 100年ほど前のこと、1918年に「スペイン風邪」と呼ばれたインフルエンザの大流行がありました。日本でも1918年から翌年にかけての1年間に、非常に多数の方が死亡した大変なパンデミックでした。そのころのニューヨークでは、今と同じく"social distancing" が対処方法だったということで、未知のウィルスに対しては今も昔も有効な手立ては同じようですと卒業生からの手紙に書いてありました。私たちも "social distancing" を実行して流行を防ぎましょう。

 今日、紹介する工藤直子は詩人です。シンプルな言葉で、読む人をあたたかく元気にしてくれます。動物が登場する詩をたくさん書いています。のはらうた.jpg「のはらうた」にはファーストステージの皆さんでも読める、ひらがなだけの詩がたくさん載っています。それぞれの詩に題名と一緒に作者名が書いてあります。たとえば、「おと」の作者は「いけしずこ」、「ひるねのゆめ」の作者は「こねこまりこ」、「かぜにゆられて」の作者は「みのむしせつこ」となっています。どの作品も工藤直子が書いたはずなのに。しかし、作者名から工藤直子のユーモアある工夫が伝わってきませんか。題名と作者名を見るだけでわくわくさせられて、どんなことが書いてあるのか読んでみたくなります。工藤直子は動物や虫になったつもりで書く詩人です。「のはらうた」はシリーズになっています。

 「てつがくのライオン」には、動物の詩と人間の詩と両方が含まれています。人間の詩も言葉がシンプルで、まっすぐに心に伝わってきます。動物の詩にはさまざまな動物が登場します。「てつがく」は哲学のことです。ライオンの姿が哲学的というところから始まります。ライオンにはライオンの深い悩みがあって、悩んでいる姿はとても哲学的なのだそうです。どのような悩みなのでしょうか。哲学ですから、サードステージの方にも意味ある詩です。

「ライオン」という別の詩もあります。短い詩です。雲が浮かぶ空を見渡せるような広い草原にいるらしいオスとメスのライオンが、そろそろ食事にするか・・・となって、「しみじみと〇〇を喰べた」と書いてあります。「〇〇」の部分にはあるものが書いてありました。何が書いてあったのでしょう。ぜひ本文で見つけてください。ライオンの気持ちになって読んでほしいと思います。佐野洋子の挿絵も楽しめます。

工藤直子 「てつがくのライオン」 理論社  

     「のはらうた」 童話屋  

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