校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

4月8日おもしろい本を読みましょう(31)「ギリシア・ローマ神話」ブルフィンチ作 野上弥生子訳

2020.04.08

 昨日の夜、月を見ましたか?大きな満月でした。月が地球に接近しているときの満月でしたので、特別に大きく見えるスーパームーンでした。ウサギのような影も見えました。餅をついているウサギと言われると、そのように見えてくるから不思議です。今晩もきっと大きな月が見えるでしょう。楽しみです。

 今日はホームページ上に始業式の言葉の動画を配信しました。見てくださった方もあると思います。ありがとうございます。今年度の目標は「 "Being artisans of hope." 希望の作り手になる」 としました。確かな希望を作っていきたいと思います。今日の話の中で、ギリシア神話から「パンドラの箱」を紹介しました。ギリシア神話はローマ神話と深く関連しています。ギリシア神話の神々がローマに受け継がれていった歴史がありますので、同じ神さまが別の名前でそれぞれの神話に登場しています。そこで、ギリシア・ローマ神話とひとくくりにされることがあります。ギリシア・ローマ神話では、神々という点がキリスト教と大きく異なります。太陽や大地や、様々なものを司る存在として神々が登場します。ちなみに月の女神はアルテミスです。

 ギリシア・ローマ神話では、世界の成り立ちの考え方がキリスト教とまったく違います。聖書には、父である神が創造主としてすべてのものを創られたとする天地創造の物語がありますが、ギリシア・ローマ神話では様々な神が登場して、いろいろなものの父、母となります。神々がお互いに好きになったり、対立して争ったり、戦ったり、人間的な活動をしながら世界を創っていくことが語られています。神々に親子関係、対立関係があり、とてもおもしろいドラマが展開されます。科学の発達した時代に生きている現代人は世界の成り立ちをそのように受け取ることはしませんが、ギリシア・ローマ神話はすたれることなく、文学や芸術の世界に今でも大きな影響を与え続けています。「パーシー・ジャクソン」はその一例でした。ギリシア・ローマ神話を知っていると、たくさんの文学作品をより良く楽しむことができます。

 ギリシア・ローマ神話は古い時代の物語なので、一人の作者が全体をまとめて書いたものではなく、いくつもの伝承や詩などから時間をかけて形造られてきました。少しずつ、細かい部分が異なることもあります。「パンドラの箱」でも今日、話したものとは異なる展開もあります。今日、紹介しているブルフィンチ作の「ギリシア・ローマ神話」の本でパンドラのエピソードを読んでみると、もう一つの説明をみつけることができます。

 たくさんの神々が出てくるので、頭を整理しながら読まないと混乱しそうになりますが、数々のおもしろいエピソードがありますし、登場する神々の中に、聞いたことのある名前をきっとたくさん見つけると思います。こういう神さまのことだったのかと気づかされることがきっとあります。ぜひ一度読んでみることをお薦めします。パンドラは最初に創られた女性なので、パンドラの話は始めの方に出てきます。

 色々な人がそれぞれに特色ある本を出しています。今日、紹介している本は若者向けにわかりやすく書いてあります。読みやすいものを選んだらよいと思います。ごく子ども向けの本もあります。学校の中高図書館には、岩波少年文庫のシリーズの一冊としてこの本があります。漢字に仮名がふってあり、芸術作品に描かれた神々の姿が挿絵になっているので、読みやすい本となっています。とにかくいずれかの本を手に取って、神々の世界に分け入ってみてください。パンドラはどのような女性でしょうか。

ブルフィンチ作 野上弥生子訳「ギリシア・ローマ神話」岩波文庫 

このページのトップへ
このページのトップへ