校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

4月6日おもしろい本を読みましょう(29)為末大「生き抜くチカラ」

2020.04.06

 学校では先生たちが新学年の準備を進めています。皆さんが登校できなくても、学校は新学年になっています。お互いに感染防止に努めながら仕事をしています。カトリック教会は昨日、枝の主日をお祝いし、聖週間に入りました。この次の日曜日、12日は主のご復活、イースターを祝います。聖週間の間は神さまがくださる恵みに信頼し、新しいいのちに希望をもって、イエスの十字架を思い起こします。短くても、静かな心で祈る時間がもてるとよいと思います。

 新聞でイタリアの神父様のとてもクリエィティブな活動が紹介されていました。教会でのミサも感染防止のために行うことができません。これは日本の教会でも同じです。日本の教会ではインターネット上でミサのライブ配信もされているので、私も昨日の日曜日にYoutubeでのミサに参加しました。このイタリアの神父様は建物の屋上で野外ミサをして、そこから近所の人々と一緒に祈っていました。近所の人々は屋上やベランダからミサに参加していました。苦しい状況の中にあっても、工夫して皆で一緒に祈る姿がとても心に残りました。"Be wise. Be creative."を色々なところで生きている人がいます。

 今日、紹介する本はどの学年の方でも読むことができます。1ページに書いてある文章はごく少なく、漢字には全部ふりがながつけてあります。楽しいイラストもあってとても読みやすい本です。でも、書いてあることは意味が深い。読む人の年齢によって受け取るものがちがってきます。1年生も、12年生も読むことができ、それぞれにピンとくるものがきっとあります。

 為末大は陸上競技のオリンピックアスリートです。シドニー、アテネ、北京のオリンピックに連続出場しました。自分の経験をもとに、とても「ためになる」50のことばを書いています。これまでに何人かのオリンピックアスリートや世界的記録をもつアスリートに会ったことがあります。そのときに感じたことは、スケールが大きい、ものの見方がダイナミック、持っている力が豊か、このようなことでした。どこか普通の人とちがう。だから、この本に書かれていることばもどこかで聞いたようで、どこかちがう。心に残ったものをあげてみると、「『自分にはこの道しかない』なんて思わずに、『ほかの道もある』と気づくだけで、いまがとっても楽になる」、「失敗は『すべて』ではなく、成功への道のりの『一部』」、「成功失敗も、自分で選んだものなら意味がある。」などなど。3回もオリンピックに出場したアスリートから、失敗についてのことばを聞くとは思いませんでしたが、それぞれのページには実感がこもっています。それぞれのことばにたくさんの説明はありませんが、そのような考えかたもあるのかと気づかされます。

 学年の始めにこの本を読んで、チカラをもらってみてはどうでしょうか。お薦めします。

 為末大 「生き抜くチカラ」 日本図書センター 2019年

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