校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

3月25日おもしろい本を読みましょう(19)A.A.ミルン「クマのプーさん」

2020.03.25

 今日、3月25日はカトリック教会では大きな祝日です。「神のお告げ」の祝日として、天使ガブリエルから、マリア様がイエスの母となると告げられたことを記念します。教会のミサでは、ルカによる福音書から1章にあるお告げの場面が朗読されます。ゆりの行列やクリスマスウィッシングで必ず読まれる、なじみ深い箇所です。マリア様は天使の言葉をよく聞いて、受け止めます。全てのことをすぐその場で理解されはしなかったかもしれませんが、祈りの心で天使から言われた神さまの思いを大切にされました。毎日様々な新しい経験をし、色々なことを感じたり、考えたりする生活の中でも祈りの心があると、本当に大事なことを見失わずに思い出し、深めていくことができるでしょう。マリア様はそのような姿勢の持ち主でした。今日はマリア様のこの姿をお祝いする日です。

 今日は初等科生の皆さんに向けて本を紹介します。皆さんはきっとディズニーのアニメーションで「クマのプーさん」を見たことがあるでしょう。とても楽しいアニメーションです。子豚の「コブタ」やトラの「トラー」が登場します。ディズニーの絵本を持っている方もあるかもしれません。プーさんのかわいいグッズを持っている方もいるでしょう。それでは、皆さんは原作を読んだことがありますか?

 ディズニーの「クマのプーさん」が好きな方は、ぜひ原作の本を読んでみましょう。原作にはディズニーとは少し違った世界が待っています。きっと不思議な気持ちがすると思います。クリストファー・ロビンはプーのことをどう思っているのかしら?読みながら考えてみましょう。上にあげた本の表紙を見てみると、クリストファー・ロビンはプーを引きずって階段から降りているようです。プーはぬいぐるみのクマにしか見えません。でも、プーとクリストファー・ロビンは色々な冒険もするのではなかったかしら。本の中のプーはとてつもなくのんきで、ゆっくりした時間の中をのびのびと、他のことはおかまいなしに生きているような感じがします。だからクリストファー・ロビンも「ばっかなクマのやつ」と言ったりしていませんか?コブタに対するイメージも変わるかもしれません。

 さて、この本の作者はイギリス人で、物語の世界もイギリスに思えます。クマや豚はイギリス人になじみ深い動物です。では、ロバやトラは?トラはイギリスの自然にはいない動物です。それなのに、なぜ?そして、クリストファー・ロビンたちは北極探検に出かけますが、北極はイギリス国内ではありません。これもこの本の不思議なところです。では、なぜ?英語で北極のことを North Pole と言いますが、単語の意味をそのまま訳せば「北の棒」となります。これが、クリストファー・ロビンたちの北極探検で発見するものの種明かしです。これらのなぜ?について考えてみるのもおもしろいです。

 ディズニーのアニメーションは名作を元にとてもすてきな世界を作り上げています。しかし、元になった本を読んでみると、新しい発見がきっとたくさんあります。文字を読みながら、自分で想像してみるのはとても楽しいことです。「クマのプーさん」に限らず、この話はもう知っていると思わないで、アニメーションの元になった本をぜひ読んでみてください。

A.A.ミルン作 石井桃子訳 「クマのプーさん」 岩波少年文庫くまのプーさん、プー横町にたった家.jpg

最初に出版された単行本を見つけたら、プーたちが森にいる、すてきな表紙が楽しめます。

このページのトップへ
このページのトップへ