校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

3月13日おもしろい本を読みましょう(10)マルタ・カラスコ 「むこう岸には」

2020.03.13

 桜の開花宣言が待たれます。学校の桜は昨日お知らせしたように、ほんの少し咲き始めています。今日は暖かい一日となりましたので、一気にたくさん花が開いただろうかと期待をもって見に行ってみましたが、あまり変化はありませんでした。開いてしまうには、まだまだ早すぎると感じます。ゆっくり、ゆっくり春になって、皆さんが学校に来るときにも桜を見ることができたらいいのにと願っています。

 今日紹介する本は初等科生向けですが、中高等科生にもふれてほしい本です。この本には、高等科生のカンボジア体験学習の準備をしているときに出遭いました。シャンティ国際ボランティア会という世界各地に向けて様々な支援を行っている団体があります。その活動の一つが「絵本を届ける活動」です。アジアの国に絵本を届けるために、この活動に参加する人は、シャンティのリストの中から送り先の国と送りたい絵本を選び、その絵本に送り先の言葉をつける作業をします。完成した本をシャンティに送り返すと、アジアの国に届けられます。その国の言葉で書かれた子どものための本があまりない国がアジアにはまだあります。そのような国でとても喜ばれるのだそうです。カンボジア体験学習に参加する生徒と一緒にこの活動に参加して、選んだ絵本がこの「むこう岸に」でした。シャンティから、日本語で書かれた絵本と、カンボジアの言葉であるクメール語の訳語が書かれたシールが送られてきました。日本語の部分にシールを貼って、クメール語の絵本を作成しました。とても楽しい作業でした。クメール語の文字はとても不思議な形をしています。

 皆さんの中には、学校に登校するときに大きな川を電車やバスで渡る方があるでしょう。神奈川県から通学する方は多摩川を、東京の東側や千葉県から通学する方は荒川や江戸川を渡ります。大きな川にかかる橋をわたるとき、わくわくすることがあります。川の岸の両側で少し町の雰囲気が違うこともあります。橋がなくて、向こう岸に行くことがもしできなかったら、どんな世界が向こうには広がっているのかな、ときっと想像すると思います。

 この本の主人公の少女は川の向こう岸を毎日見て、どんなところで、どんな人たちが住んでいるのかと想像しています。橋がないので、行くことができません。ほかの人たちはあまり関心がないようです。少女はとても不思議に思っています。ところが、ある日、川の向こう岸にわたるチャンスが来ました!行ってみて、何を発見したのでしょう?

 最後に、少女は川に橋をかけました。橋をかけることの意味を考えさせられます。

 本を届ける活動の作業で、クメール語のシールをはってしまうと物語がわからなくなってしまうので、シールをはる前に日本語で書かれた言葉を忘れないようにしっかり読みました。深く心に残る本です。絵も美しい。原作者は南米のチリの人です。チリには、どんな大きな川があるのでしょう。

マルタ・カラスコ作 宇野和美訳 「むこう岸には」 ほるぷ出版 2009年

 

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