校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

3月7日 おもしろい本を読みましょう(5)野林健 納家政嗣 編「聞き書 緒方貞子回顧録」 岩波書店

2020.03.07

 12年生の皆さんご卒業おめでとうございます。COVID-19感染防止のために縮小された形式とはなりましたが、卒業式を行うことができました。これからの皆さんの歩みを神さまが祝福してくださるよう祈ります。

 今日紹介する本はサードステージ生向け、特に卒業されたピンクの学年の方に薦めます。

 今回の卒業式校長式辞で、昨年亡くなられた本校31回の卒業生緒方貞子さんをとりあげ、リーダーシップについて考えました。ここで紹介する本は、ご本人への聞き書をもとにした緒方貞子さんの回顧録です。編者の問いに対しての答えという形の聞き書で進められるこの本は読みやすく、緒方さんの人柄がよく伝わる本です。リーダーシップについてはもちろん、国連高等難民弁務官在任中に出遭われた個別の事例についての明確な見解を通し、その知力と責任ある姿勢について多くのことを学ぶことができます。緒方さんの下で学ばれた2人の編者の質問からは、尊敬と敬意に加え、ある種の親しささえ感じられます。それだからこそ、引き出すことのできた答えの深みかもしれません。

 緒方さんが日本に対して、どのような危惧の念をもっていらっしゃるか、どのようなことを期待されているのか、この本の最後に書かれています。この本が出版された2015年から今まで、私たちはよい方向に歩んできたのかどうか考えさせられます。

 緒方さんについて、ご本人の言葉に触れることはとても重要です。この聞き書の回顧録を手始めに、緒方さんが執筆された著書もぜひ紐解いてほしいと思います。私たちが、聖心の偉大な先輩の遺志を継いでいく者となっていけたらとても幸いなことです。

野林 健、納家政嗣 編 「聞き書 緒方貞子回顧録」 岩波書店 2015年

 

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