校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

聖フィリピン・デュシェーンの祝日

2019.11.16

  11月18日は聖フィリピン・デュシェーンの祝日です。この祝日の行事としてセカンドステージでは13日に朝礼での祈りと講演会、サードステージ、ファーストステージでは14日に祈りを行いました。ファーストステージは14日の午後にWWFジャパンを招いて講演会も行いました。昨年は聖フィリピンの200年の年にあたり、春から様々な機会に聖フィリピンについて学び、特別な年として過ごしました。今年の祝日には聖フィリピンは何を私たちに教えてくれるのか、児童・生徒と共に考え、祈りました。

 聖フィリピンの人生の大きな夢はアメリカ先住民にイエスのみこころを伝えることでした。72歳という高齢になってやっと夢が叶い、聖フィリピンはシュガークリークという地でポトワトミ族の人々と出会うことができました。その場所がどのようなところなのか、コンピューター上でGoogle Earthを使って見てみました。「アメリカ合衆国カンサス州シュガークリーク」と検索すると見ることができます。アメリカの真ん中、カンサスシティの南にあたります。伝記によると、聖フィリピンたちはミズーリ州のセントチャールスからミズーリ川を船で4日間遡り、その後4日間陸上を旅して、シュガークリークに着いたとされています。ミズーリ川はセントチャールズ付近でミシシッピ川から分岐して西北へと流れていく大きな川です。Google Earthで見たシュガークリークは平坦な広い草原の中にあり、今でも人里離れたところでした。聖フィリピンたちがポトワトミ族と出会ったときは、今よりさらに荒涼とした、人の住まないところだったに違いありません。

 シュガークリークはポトワトミ族がもともと住んでいた土地ではありません。アメリカ先住民は政府の決定により、先祖伝来の部族の土地を追われ、指定された場所に移動しなければなりませんでした。このような歴史を昨年は生徒と共に学びました。ポトワトミ族の旅はとても困難で、その旅の記録を読むとその非常な悲惨さに驚かされます。軍隊に強制的に追いやられての旅には食べ物も水も乏しく、子どもや老人が旅の途中で次々に亡くなります。きちんとした葬儀をする場所も時間もなく、追われて旅を続けなくてはなりません。そのような辛い旅を経て、やっとの思いで定着して生活していた土地がシュガークリークでした。

 当時の多くの白人たちは先住民を価値がない人々と見なしていました。そのような人々のところに聖フィリピン達が来てくれたということは、部族の人々にはとてもうれしいことだったに違いありません。聖フィリピンは高齢となり、健康もすぐれなかったので、祈る以外何もできなかったと言われますが、聖フィリピンにとって祈ることは一番重要なことであり、一番心のこもっていたことでもあったでしょう。そして、聖フィリピンが祈りを捧げたのは、社会の中で大事にする必要はないとされて見捨てられ、土地を奪っても、やっつけても構わない、気に入らない、邪魔な存在とされている人々でした。ポトワトミ族の人々は、わざわざ大変な思いをして奥地まで来て、自分たちのために真剣な祈りを捧げてくれる聖フィリピンの姿に打たれたでしょう。

 朝礼で「聖心の子どもは一人で天国に行ってはいけません」という言葉について考える機会がありましたが、聖フィリピン・デュシェーンこそこの言葉を心を込めて生きた人です。聖フィリピンにとって、この言葉の意味することは、イエスを知らない人々にイエスのみこころを伝えることであり、ポトワトミ族の人々のところに行き、生活することでした。日頃私たちは人の役に立つ、人のために働くということを目指し、心がけていますが、役に立つ働きかどうかという観点で考えれば、祈りは目に見えて役に立つ働きではありません。しかし、聖フィリピンには、祈りは一番神さまに近い、一番意味の深い活動だったでしょう。その祈りという自分の最高のものでポトワトミ族の人々に尽くしたことに、フィリピンの人生の意味があります。

 今回聖フィリピン・デュシェーンが私たちに問いかけていることは、「天国に一人で行ってはいけません」というときに、一人でないなら誰と一緒に行きますか、ということです。好ましい人と一緒に行くことはたやすいことです。しかし、聖フィリピン・デュシェーンが教えてくれることは異なります。誰と一緒に神さまに向かって歩んでいくのか、私たちは考えなければなりません。この祝日に、そして、来年の祝日を迎えるまでの1年間の毎日に、聖フィリピン・デュシェーンがなさったように、仲間はずれにされている人、忘れられている人、価値がないと低く見られている人、いじめられている人、そのような人のところに行って、共に神さまの道を進むようにと私たちは呼びかけられています。

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